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無職が1タイトルに月5000円突っ込んだマンガ

 どうも、チーズフライささ美です。最近はYoutubeライブのコメントもくじ職人が本業です。

 まずは野生のフィールドワーカーであるゆーさんが書いたこのnoteをご覧ください。時間のない方は、リンク下の引用部分だけで結構です。


 今はまだうまく言えないのですが,この「贈られたと勘違いする能力」はとても大事なものに思えます。この「贈ったつもりじゃないものを受け取る力」を贈られ感度と呼ぶことにしましょう。贈られ感度の高い人は,「推しのある人」に多いように思います。推しの一挙手一投足が,贈与になる可能性があるからです。

 この文章を見て、非常に思い当たる節がありました。

 さて、私は元小説家なのですが、世間の例にたがわずお金がありません。収入面でいったらフリーター以下、無職やニートと違いがない、そう言っていいほどお金がありませんでした。

 それでも、たった1タイトルのマンガに月5000円をぶっこんでいた時期があります。

「ブス界へようこそ」というマンガです。(リンクからなんとkindleで【無料】で読めます)

 この漫画は2020年5月現在も連載中で、しつこいようですがkindleで無料で読めます。さらに、月500円支払えば先行公開のあるファンクラブに入会できます。

 お金がないにも関わらず、500円どころか5000円……私は実に10倍のお金を支払いました。なぜでしょうか?

 それはやっぱり、「贈られ感度」に関わってくると思うのです。

 無料で公開されてるコンテンツ、ネット上にたくさんありますね。タダより高いものはないと言いますが、無料コンテンツは立派な贈与であり呪いです。特に感情を大きく揺り動かす創作物は、個人的に呪い度が高いと思っています。

 最初に「ブス界へようこそ」(以下、ブス界)を読んだとき、私は号泣しました。画面に叩きつけられた熱量の大きさ、大手出版社に認められずインディーズに甘んじるしかない悔しさ。

 メタ的なストーリーも合わさって、私はブス界にひどく心打たれたのでした。続きが読みたいという気持ちももちろんありましたが、とにかくこの作者に「生きていてほしい」という気持ちの方が大きく、月5000円を躊躇なく支払いました。

 舞台は突如、東京都檜原村に移ります。実家暮らしがイヤになった自分は、家賃無料にホイホイとつられて檜原村のシェアハウスを見学していました。(寒すぎるので移住は断念しましたが)

 そこで出会ったのが、「まるちゃん」という方です。まるちゃんはなんと「ブス界の作者であるこーのさん」と友人であるというじゃないですか!

「ブス界最高です5000円プランで支援してます」とそこでポロっと漏らしました。

「ブス界いーよね!」と盛り上がり、二人とも檜原村を去りました。

 さて実家に帰ってみるとお金がない。埼玉から檜原村までの交通費とか、地味に高かった。口座の残高が500円を切っていました。

 私は泣く泣く5000円プランを解約し、以後はkindleでひっそりと応援していました。(無料でも読むだけで作者にお金が入るらしい)

 すると翌日、こんなnoteが。

その中でも最高額を支援してくださっている方と、僕の友達のまるちゃん(幻冬舎の編集者箕輪厚介さんのトゥクトゥクのドライバーをやっている爽やかなイケメン)が、僕のいないところで実はあって話したことがあるよとまるちゃんが教えてくれました。
まるちゃんが言うには、「この人はここで終わっちゃダメな人だから支援してるんだ」と熱く語ってた。でもめちゃくちゃお金持ちだからってわけじゃないと思うで。すごいよな。と。

「解約したこのタイミングでこんな感動的なnoteォ!?」

 もちろんこのnoteには非常に感動しましたが、それ以上のいたたまれなさがありました……


 この一連の流れ、やはり私の「贈られ感度」の高さがキモになってきます。

 500円でいいところをわざわざ5000円突っ込んだのは、見栄でもなんでもありませんでした。(今は多分、過去に支援していた金額からかどうしても見栄が入り込んでしまう)

 無料マンガから大きな感情を「贈られた」、それが勘違いであれそうでないであれ、私は「これが無料とかおかしい、間違ってる、さらに言えば500円ではまったく充分ではない」、そう感じたのです。

 無職に月5000円支払わせる、贈与のパワー。実に恐ろしく、そして頼もしい力です。

 もちろんこーのさんも、後にkindleインディーズマンガ大賞を受賞するくらい素晴らしい実力の持ち主です。しかし、彼のマンガを最初から500円のコミックスなど有料で購入していたら、「は~~むちゃくちゃ感動したわ~~」だけで終わっていたでしょう。

 まず最初に贈与があり、贈られ感度の高い自分がどっさりと返したくなる。構造上の現象だとは思いますが、26年という短い人生の中でもかなり興味深い出来事でした。

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