戻ったぜ、5年ぶりの海┃新ミュージカルスタミュ team柊単独公演 Caribbean Groove 10/4-6公演感想

【まずはじめに】

カリグルおかえり!ただいま!

普通に(?)全通する気だけど何かしら受け入れ難いことがあって全通できなかったらどうしよう……という不安が初日前の時点で2割くらいあったのですが杞憂でした。
最後まで元気に通います!

というわけでめちゃくちゃ楽しんでいる人間の感想ですが、全肯定ではないかもしれない。
あと過去作や先代との印象の違いの話をわりとしますが、何かしら誰かしらを下げる意図は一切ないのであしからず。
思い出した順に書いているので順番はわりとめちゃくちゃ。

某テニスみたいになんかいい感じの呼び方が欲しいところなのですが観測範囲内で統一されている印象がないので、本稿では便宜上以下のように統一します。

・ミュージカルスタミュ team柊単独レビュー公演 Caribbean Groove(2018)=レビュー公演
・ミュージカルスタミュ team柊単独公演 Caribbean Groove(2019)=19版
・新ミュージカルスタミュ team柊単独公演 Caribbean Groove(2024)=24版


【諸々つれづれ】

IMMってステージが四角いぶんアンフィほど奥行なさそうだし盆もないし奈落もないし演出かなり変わりそうだな~船がせり上がっても奥から出てもこないし盆は回らないしベッドがせり上がってもこないカリグルか~という気持ちが若干あったのですが、実際始まったら一瞬で手のひら返しました。意外と奥行はあるのか船は普通に奥から出てきたし、幕の奥から出てくるので幕開き感もあってわくわくするし、盆は回らないけど船は手動で回ってた。そういえばスタミュミュってそうだったわ。

スタミュミュに限らず吉谷さんの演出好きな人はだいたい同意してくれると思うのですが、布を使った演出良いよね。19版だと襤褸を死体や炎に見立てるシーンが好きだったのですが、今回は特にジョバンニの述懐や悪夢をみるクリスのシーンで、あの大きな幕が影絵のような使われ方をしているのが好きでした。レビュー公演の時の柊先輩の言葉によればあちらの世界のカリグルって言わずと知れた有名ミュージカルらしいし、やっぱり柊先輩の教え子たちの公演なので、こういうシーンで映像を使わず良い意味で古典的な演出してくれるの興奮する。

***
演出変更でいうとオーシャナリティの印象がかなり変わっててびっくりした。19版の銃声とともに始まる絶望感が好きで好きでたまらなかったので(語弊)、そこがなくなったのはちょっと寂しい気もしたのですが、一方で「いつだって隣に君はいたよね」の時のブルズがふたりで航海図や星をみたり剣を持ち自慢げなクリスとその傍にいるアルベールの回想になっていたのがとっても好きでした。銃声効果もあるのか19版だと隣に君はいたよね(≒隣にいたのに)的な悲壮感が強かったけど、24版だと純粋に懐かしい過去をそこに見ているような印象も混ざる感じ。まあそれはそれでしんどさ増すんですけど。

というかそもそもクリスとアルベールの関係、先代のふたりと全然印象が違う。

初日にひっくり返ったところがもう1……いや2……3か所あって、
①オーシャナリティ冒頭の「君のために俺には何ができる?」でクリスがアルベール(概念)を抱き締めているところ
②懐かしの丘の最中、クリスからアルベールに手を差し出して階段をおりてくるところ
③懐かしの丘のあと、握りしめたアルベールの手をクリスが離したくなさそうにじっとみているところ

……なんですが、
①を最初にみた時点では「君のことを守りたい」を視覚的に全面に出してきたなくらいに思っていました。いやそんな冷静ではなかったが。

(追記)
あと櫻井クリスって「君のために俺には何ができる……!」って自問だったけど、牧田クリスって「君のために俺には何ができる?」って問いかけな気がするから、やっぱり今年のクリスってそこにアルベールを見出しているんだな……

で、問題なのが②で、あそこみた瞬間本格的に!?になった。
丘の亡霊なのでここは円盤を見返すまでもなく照合ができたわけですが、19版だと「これからはそばに」でアルベールが手を差し出して、「いて欲しい」でクリスがその手を取り、それこそエスコートよろしくアルベールがクリスの手を引く形で階段をおりてきていたので「これからも変わらず傍にいます(いてね)」という感触だったし、クリスは大人になりアルベールは過去に区切りをつけつつ、それでも根っこの部分は変わらない関係が続くんだな(大好きの意)、という感情だったんですよね。
それが今回明確にクリスの方からアルベールに手を差し出して、(まあ単純にセットの都合もあるかもですが)ふたりで同じ段を踏みしめながらおりてくる形になったことで、「これからは手を引かれるんじゃなく対等な関係で歩いていきたい」という感触になったし、このふたりはこれからは並んで隣を歩いて、守り守られしていくふたりなんだな(大好きの意)という感情になって……

なのでその後のリプライズに至るクリスの感情も、19版だと今日までずっと守ってもらったから、の方を強めに感じたけど、24版だともう君から何ひとつ奪いたくない、の方を強めに感じていました。どっちのクリスもきっとどっちもあるし、それ以外の感情もたくさんあるんだろうけどね。

そしてこれは演出意図とかは一切考えていない私の個人的嗜好に基づく妄想なんですが、②を踏まえて③をみた時に、ずっとずっと大きな手だと思っていたけどいつの間にか自分とほとんど変わらない大きさになってたんだな、ってモノローグ(?)が本気ですっと入ってきたんですよね。これは先代のふたりと体格が逆転してるのもあると思うんですが。
でも実際このクリスとアルベール、明らかにここから関係性が変わるんだなって確信がもてるふたりだなって思います。

***
夢冒険で星空が広がってるの大好き過ぎる。南十字星〜!

あとこれ初日が終わった瞬間からずっと言ってるんですが、真実のゆくえイントロの舞台写真を絶対に売ってください。
夢冒険と同じように星空の下に立つアルベールとクリス、あの光景が本当に美しいんですけど、でもこの美しい時間って本当のことを告げたら終わってしまうと少なくともアルベールはずっと思ってたわけだし、そうでなくともこのあとアルベールはクリスを置いて船をおりるんだよなって思うと胸に来た。イントロとともにセットが回り出すのが時間が動き出してしまったかのようで余計にきっつい。
残酷だけど一番最後の一番美しい光景だったよ……え〜絶対売って……

***
トップシークレットの立ち位置変更良かったな〜!
これ19版が絶対にアンフィの機構じゃなきゃできない演出(盆の中央でブルズによる過去回想をやりつつ、それぞれ別のセットに乗って盆の縁をまわるクリスとティエラがその光景を見ている)だったのでどうなるのかな〜と思ってたんですが、そのへんの演出がなくなった代わりにティエラがクリスに真っ向から過去を聞かせるような形になっていて、その語り口の半ば怒鳴るくらいの荒さと重さも含めすっごく良かったです。上手入ると特にそうだけど毎回心臓ぎゅーってなる。


【各キャラキャスト雑感】

時間が足りなくて全員書けなかったのであとで追記するかも。

◆クリス/辰己/牧田くん
クリスについては既にだいぶ書いたところではあるんですが、二部をみてたら辰己がすごく板についてきたな〜と。前回公演の時、東京の中盤から圭登くんの辰己に似てきたなという印象がすごくあったのですが、今回なんというかものすっごい原作の辰己を感じてびっくりしました。
柊先輩の綺麗な声が〜とか、その柊先輩を見てる目が本当めちゃくちゃ原作の辰己なんですよ。どこがどうとか上手く言えないけど。

◆アルベール/栄吾/小椋くん
そもそも地声が尚弥に似てるので前回公演はあれ尚弥続投だったっけ?になることが多かったんですが、アルベールのアプローチかなり違ったのでびっくりした。どっちが良いとかの話ではなく。
これはふたりみたから言えることだし他のキャストの芝居との兼合いもあると思うんですが、なおベールはクリスから見たアルベールって感じ、おぐベールはティエラから見たアルベールって感じ。その歳になってみないとわからないけど実際20歳ってそんなに大人じゃないよねというか、葛藤というよりは苦悩が前面に出てる印象が強かった。
二部はとにかく可愛かった。短期集中!の時さすがにウキウキし過ぎてて可愛い。

◆ジョバンニ/戌峰/たいがくん
シンプルに上手い。びっくりするくらい上手い。
ジョバンニの本当はこんなことしたくない感が台詞なんてなくても一瞬一瞬から感じ取れて、なんなら表情はちゃんと取り繕ってる時ですらはっきりと感じ取れて、あまりにも芝居が上手過ぎていっそちょっと怖かった。
あれをさんざんみた後にお出しされるカメレオンスター、説得力がとんでもない。世界に見つかる前にやれるだけ戌峰をやって欲しい。
あと個人的に、笑いの塩梅が今回ちょうど良くて嬉しい。

◆ティエラ/虎石/勇成くん
各所で言われまくっていることと思いますがめちゃくちゃ上手くなりましたね!??
既に書いたけどトップシークレットの語り口の荒々しさが本当に好き。おぐベールを前述のように感じるからというのもかなりあると思うんですが、勇成くんのティエラも洸より青く感じるというか、俯瞰具合薄めで必死さを感じるシーンが多かったなって気がする。
アルベールにとってクリスがどれだけ大切かということを誰よりも知ってるのはティエラだもんねと改めて思わされてめちゃくちゃしんどかった。

◆アンリ/卯川/新谷くん
伝わるか微妙なライン過ぎる好きポイント→ワイルドクラウンのあと甲板で不貞腐れてる時の脚ぶらぶらがすっごい高速というか小刻みなとこ、ワンチャンスの間でかくてうるさいジョバンニに蹲って耳塞いでる時の手の動きもめちゃくちゃ小刻みなとこ
神経質そうで警戒心高めなアンリでとにかく可愛い。
あと特に原作再現を最重要視しているというわけではないんですが、新谷くんの卯川もものすごい原作の卯川だな〜と思う。やっぱり上手く言えないけど。


時間なさ過ぎて二部に触れてる時間がないんですがこれだけ置いておきます↓

ジエレの導入だけ雑過ぎて初日窒息死するかと思ったけどジエレの導入ってわりといつも雑だったわ
(忘れもしないレビュー公演の何の脈絡もないジエレ)

明日も楽しむぞ〜!



いいなと思ったら応援しよう!