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イギリス発老舗百貨店マークスアンドスペンサーに行きたくて東南アジアを旅する

イギリス生まれの老舗百貨店マークス&スペンサー(Marks & Spencer、通称M&S)に定期的に行きたくなる。

M&Sに行っても買うのは大抵ポテトチップスやクッキー、紅茶のティーバッグで、物凄く特別な商品というわけでもない。
日本で売っているポテチの方が美味しいかもしれないし、近所のお気に入りの紅茶店の茶葉の方が日常ではよほどよく飲む。

だけど、このお店は何かが特別なのである。このお店でなければならない何かがある。

イギリス生まれの店舗であるが、かつてイギリス領だった国には今でも進出しているらしい。
東南アジアだと、シンガポール、マレーシア、香港の主要都市には多くのM&Sがある。
M&Sを目的に旅行先を決めるわけではないけれど、旅行先にあったら嬉しい。そういうお店である。
旅行先にはしなかったけど、タイへの旅行の際、わざわざ香港でトランジットして寄ったこともある。
5時間の乗り換え時間の間に香港国際空港から一番近い店舗へ買い物に行き、限られた時間でお菓子を買いあさってほくほくしながら空港に戻ったものである。

イメージとしては、日本で言うと成城石井や紀伊国屋のような、ちょっと良いスーパーマーケットが近いと思う。
食品に加えてファッションやコスメを取り扱う店もある。クリスマスの時期になるとオーナメントやカードも売っている。
食材も、加工食品はもちろんのことお惣菜やパンもある。いずれもオーガニックにこだわった食品や商品が多く、そうした点は日本のスーパーよりも更に意識が高いかもしれない。
とはいえ、このグローバル化のご時世、M&Sでなければ手に入らない食材や商品があるわけでもないと正直思う。
頭ではそう理解しているのに、それでもときどき無性に行きたくなるのだ。

そもそも、M&Sに行っても言うほど大量購入するわけでもない。大抵は見て回って満足する。だけど、例えばシンガポールならば、ショッピングモールを回るたびついつい立ち寄っては商品を眺めてしまう。
おそらく、何か特定の商品を買いたいというよりも、あの空間が好きなのだ。

M&Sのあの空間で、普段はなかなか目にしないヨーロッパ生まれのお菓子やヨーロッパな思想溢れるオーガニックやサステナブルに全振りした商品を眺めてワクワクしている時間。
ちょっと日常から離れて、そうした時間に浸るのが好きなのだと思う。
その一方で、肩ひじ張ったような小難しさやフォーマルさは無くて、カジュアルに足を運べる。その心理的な距離が心地いい。

そういう意味では、日本でいうと無印良品が近いかもしれない。
M&Sの提案するライフスタイルを売っている店で、そのライフスタイルを浴びに行く。
こういう丁寧な暮らし良いよね、こういう丁寧な暮らしをしたいよね。
日々の暮らしよりもほんの少しだけ高い目線を知ることができて、そこに憧れを抱く時間。
それがM&Sでのお買い物時間なのかもしれない。

とはいえ、そんな高尚なことを書いてみたりもしたけれど、M&Sに何度も何度も足を運び、最後に買ってくるのはポテトチップスとチョコレートクッキーである。
せっかくなので一例を紹介してみたい。

・ブラックペッパーの利いたポテチとスイートチリ味のポテチ
どちらも日本のものより少し大人な味付けで美味しい。
小袋もあるので、フライトのお供にもぴったりで、大体帰国までに数袋なくなってしまう。
日本のポテチよりも食べ応えがあるのも嬉しい。

https://marksandspencerfood.gr/en/product/sweet-chilli-hand-cooked-crisps-2/

・紅茶のティーバッグ
50バッグ程入っているので、1シーズン飲み続けても飲み切れない。個人的には、チャイのティーバッグが美味しかった。

そうしたお菓子たちを後生大事にスーツケースにしまい込み、次に行けるのはいつだろうか……と想いを馳せながら帰国する。もちろん、ポテチは数日でなくなってしまうが。
そういう嬉しさ、そして食べ終わってしまって想いを馳せる切ない時間。
それらも含めてM&Sは楽しい。

今年の年末年始は長期休み。果たして、M&Sがある国に行けるだろうか。

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