「トラペジウム」を観て
映画「トラペジウム」、観てきました。語りたいことが多すぎるので、noteにぶつけてみます。映画を見終わった直後に帰宅中の電車のなかで書いてるから、多少の間違いは許して。
注意!! トラペジウムのネタバレを含みます
まず始めに、もともとあまり本作品について調べていなかったのと、公開からしばらくしてから観に行ったため、ネタバレ防止で事前に情報をほとんど入れずに映画館へ向かいました。(知ってたのは、原作は元乃木坂メンバーの人が書かれた作品だってことと、羊宮妃那さんが出演しているってことくらい)
映画が始まってしばらくして、ゆうが東西南北から女子高生を集めてアイドルとして活動していくことがこの作品のゴールなのだと初めて知りました。この4人が揃うまでは、正直テンポが早すぎてこの作品の伝えようとしたいことが捉えきれなかったです。しかし、この作品の本当の意味でのストーリーは4人が揃ってアイドル活動を始めるまででなく、アイドル活動を始めてからでした。限られた時間のなかで1つの小説を映像化するのだから情報の取捨選択は必要になってくるし、その意味だとアイドル活動を始めてからの4人の心情描写がしっかりと描かれていることで伝えたい部分を描ききれていたので良かったのかと思います。
そして、アイドル活動を始めてから最初の頃は4人ががむしゃらに練習し、テレビに出演し、忙しいながらも幸せそうに毎日を過ごしていました。
しかし、徐々にくるみの表情に陰りが見えてきて、美嘉の彼氏とのツーショット写真の流出がきっかけでゆうは一線を超えて暴言を吐き、東西南北メンバー内に不穏な空気が漂います。結局ゆう以外のメンバーが事務所を抜けることで東西南北は解散となってしまいました。
このことからも分かるように、東ゆうってやつは自分がアイドルになるって夢を叶えるためなら平気で周囲の人を踏みにじり、傷つけるような、いわばクズなんです。でも、私はゆうにかなり共感できるし、正直私も夢を叶えるためなら手段を問わないような気がします。この作品が賛否両論わかれているのって、きっと東ゆうって人間に共感できるかできないかの違いなんですよね。私自身がクリエイター(?)系のサークルに入り、それなりな夢や目標を持って活動しているので、今後学年が上がり任される仕事が増えてきたら自分の考えを通すために周りの人に強くあたることや傷つけることだってあると思います。(だって自分の夢を叶えたいんだもん。しょうがないじゃん。)ライブ前に西南北の3人だけ口パクで出演するように言われ、
「私歌下手だからちょうど良かった」
とチームに言い聞かせていた蘭子に対してゆうが言った
「だったらもっと練習すればいいじゃん」
ってセリフとか、全くもってその通りだなってうなずいていました。まぁ、みんなのことを思って蘭子が言ってくれたのに、そんな気持ちにお構いなしで思ったことをズカズカと言える辺り、やっぱりクズなんですね。
結局東西南北は解散し、クラスでも浮いてしまったゆうは居場所がなくなり孤立してしまいます。(ここでストーリーが終わってたら、今年一の鬱アニメ認定するところだった) しかし、解散後まず初めに美嘉がゆうのもとへ寄り添ってくれました。そして、東西南北のCD発売をきっかけにまた4人が集まり、最終的にそれぞれが未来に向かって歩み進めるということで、きれいに本作品は締められていました。この、チームをまとめたり、ゆうをチームに引っ張ってくれるのって毎回美嘉なんですよ。ボランティアで山を登ったときも、4人みんなでご飯を食べようとゆうを誘ったのは美嘉でした。小学生の頃に助けてもらったことをきっかけに、高校生になって逆にゆうを救い出してくれる存在になっているのってなんかいいですよね。(「私がゆうの一番最初のファンだから」って美嘉が言ったセリフ、本当に好き)
この映画は、最後に東西南北のメンバーが文化祭で撮った"10年後のあなた"の集合写真をゆうが見るところで終わります。その写真が第2弾入場者特典なんですよ!もう映画を観終わったらしばらくそのポストカードをガン見してました。紆余曲折あったとはいえ、彼女たちが最終的に目標を見つけ未来に向かって歩み出せているのなら、一時のアイドル活動は彼女たちにとってプラスのことだったんじゃないのかと思います。まぁでも写真のように全員が素の笑顔を見せることはもうないのでしょうが…(アイドル活動を始めたての頃が、観ていて一番幸せで楽しかった)
この作品は、原作を元乃木坂46のメンバーの高山一実さんによって手掛けられました。自身の経験を映した自伝式の作品ではなく、あくまで創作作品なのですが、当時国民的人気アイドルグループに所属していたこともあって作品内の東西南北メンバーの悩みや葛藤は高山さんの実体験が少なからず反映されているはずです。近年アイドル化が進む声優コンテンツにはまっている身からすると、なんとも言えない気持ちになります。アイドルということでファンに理想を押し付けられ、交際相手が知れ渡れば別れないといけない。アイドルももちろん人間なので自由に生きる権利があるだろ!っと言いたくなる一方で、私も憧れの人へは自分の中の理想を押し付けてしまっているので、絶賛ジレンマに押し潰されています。(そもそもなんで声優オタクやってるんだっけ、自分?)
賛否両論わかれていますが、私からはこれだけは言えます。
「観て良かった! から、みんなも観て!」
今後は、原作も買って本作品のストーリーを補間していこうと思います。
映画を見終わり、興奮が覚めないままこの記事を殴り書きしてるので、そのうちちゃんとしたやつを投稿します。(多分…)
最後に、
大河くるみ役の羊宮妃那さんについて語らせてください。
最初にセリフを聞いたとき、正直このキャラに羊宮さんのようなウィスパーボイスは合わないのでは?と感じていました。くるみみたいなゆるふわ系のキャラってあざとさのある声の方がいいと思うんですよね。しかし、くるみが事務所で泣き叫ぶシーンを観て、羊宮さんがくるみ役に抜擢された理由がわかりました。
あのシーンを観た瞬間全身で鳥肌が立ち、思わず手を口に当ててしまいました。泣いたり叫ぶように感情を露にする演技で観客を惹き付け、作品の世界へと沈めてくるような演技ができる人ってかなり限られてしまうでしょう。しかも、作品内でグループ解散のきっかけとなる重要なターニングポイントで演技を全うできる人っていったら、そりゃ羊宮さんが選ばれる訳です。あのシーンは多分一生忘れないと思います。本当に観てて辛かったし、そこで声をかけに行こうとした東ゆうってやつはどうしようもないクズでして…(冒頭に戻る)