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緑色の夢。あなたとあたしの距離。
夢に色をつけるなら何色がいいかな。青好きのあたしは青がいいに決まっている。でも寒色系が好きなので緑色もいいかもしれない。すっきりと爽やかな夢。
濃厚な緑はなんだから迫ってくるアメーバのよう。あたしの中に入って支配してくれればいいのにね。誰かがあたしの身体を乗っ取って生きていく。うーん。それはやっぱり嫌かな。
まだまだ彼とあたしとの間には距離があって。埋まるわけがない。埋められるわけがない。その距離がもどかしいけど愛しくて、その距離によって救われるものもあるし、つなぎとめられているものもある。
どうなのかな。あたしはこの1ヶ月、夢のように幸せでした。最初は戸惑いばかりですこし拒んでもいたけれど、でも案の定ほだされて、ぐんぐん引き寄せられてしまいました。まあ、想定内です。こうやって女は男におとされる。でもね、油断をすると蟻地獄で、こっちの方がずぶずぶにはまってしまう。安部公房の「砂の女」と同じですね。
都合のいい女にはなりたくなくって。なんのためにあたしはこの1年半を過ごしたの。涙がすこしで済むうちに切り上げましょう。だから言ったでしょ。覚悟を持ってねって。
大丈夫。あたしには大好きな世界がある。文学がある。うーん、昔からこういうことがあるたびに毎度そう思ってきたなあ。成長していないのね。
とりあえず彼の強い要望で切らなかった、この長い髪をばっさり切ろうかな。失恋、とかじゃなくて、もともと切りたかったの。この自粛生活で驚くほどに伸びて。きっと栄養をたくさん吸ったのね。乾かすのが大変で、ばっさりいきたいと思ってたの。
男は世界を変えたがって、女は自分を変えたがる。
誰か著名な人が言ってた、何か問題にあった時の男女の対処の違い。そう、女は自分を変えたがるから、髪を切るのよ。