見出し画像

Goethe-Zertifikat C2: GDS受験の記録

10月8日(火)にドイツ語の試験を受けてきた。C2レベルに合格することは今回の滞在中に成し遂げるべき目標の一つ。二ヶ月ほどまえ、二ヶ月あればなんとか受かるのでは?と申し込んだがその間にマイコプラズマ感染症で二週間ほど寝たきりだったりして、満足に勉強できたとは言えない。そもそも、テストが難しすぎて、二ヶ月では足りなかったと思う。テストの概要は、日本のゲーテインスティテュートのサイトを参照。東京では二ヶ月に一回ほど受験できるみたい。


集合からテスト開始まで

朝8:30にミュンヘンのゲーテ・インスティテュートの指定された待合室に集合した。が、時間になっても係の人が現れない。10分ほど経ってから担当者が来て、テストのレベルごとにグループでまとまって教室まで向かった。教室では携帯の電源を切って担当者に預け、荷物と服は後ろにまとめて置くように指示された。水筒やペットボトルを机や床に置いておくことについては何も言われなかった。担当者が受験者の人数を数え間違えたり、時計が壊れていたので残り時間をどう知るかを協議したりして10分は開始時間が押したと思う。

Modul Lesen(読解)(80分)

Teil 1 四択問題(10問)

1000語程度の文章で著者がどういう意見を言っているか、四択から一つ選ぶ。質問の答えとなる内容が、質問の順番と同じ順に並んでいるので解きやすい。ドイツで投票率が低下していることについての文章だった(オバマの名前が出ていたので、10年ほど前の文章ではないかと思う)。

Teil 2 各段落の内容を表す文を選択する問題(6問)

選択肢は8つあるが、そのうち2つは間違いで選択肢としては使えない。内容の単純な言いかえではなく、少しひねっているので答えにくい。

人類と塩に関する文章で、内容は歴史関係で少し馴染みがあるし興味深かったが、短時間で合うものを選ぶのがかなり難しいかった。

Teil 3 テキストの抜けを埋める問題(6問)

テキスト内に6か所抜けている部分があり、それぞれに対応する文章を選ぶ。選択肢は7つある。どんな内容か全く覚えていないが、選択肢に迷う箇所が2か所ほどあった。テキストだけではなく、選択肢もかなりの分量があるので速読が大変。

Teil 4 条件に合う文章を選択する問題(8問)

教育に関する求人情報4件を読む。休みの条件、応募に必要な資格などを伝える8つの短文に合う求人をそれぞれ選ぶ。毎回求人情報が出題されるわけではなく、何らかの広告などの場合もあるようだ。

この問題には10分程度必要とされているが、10分では間に合わない。回答に必要ではない情報もたくさんあるので、そこをどう読み飛ばすかが鍵なのだと思う。何回か読み直したがどうしてもわからない問題が一問あった。

Modul Hören(聞き取り)(約35分)

再生が始まったら音質が思ったより悪く、ものすごく動揺した。家でもあまり性能のよくないスピーカーで聴いて音質対策はしていたはずなのに…。外で模擬試験の音源を聴いたりして、音が悪くても聞き取れるように訓練する必要があるかもしれない。

Teil 1 ラジオ番組

ラジオ番組の一部を聞き、その内容に合う選択肢を選ぶ(5つの音声それぞれにつき3問。選択肢も3つ)。音声の再生は一回のみ。テーマとして、魚の冷凍、兵役の代わりに行われるボランティア活動、などがあった。全然聞き取れなくて半分以上勘だった。ラジオのニュース1テーマ分くらいの長さなので、文脈をとらえるのが難しく、私には鬼門。

Teil 2 友人同士の会話

一組の男女が何らかのテーマについて話し合うが、それぞれが対立する立場を取っている。5問それぞれにつき、その内容が男性の意見なのか、女性の意見なのか、ふたりとも同意見なのかを判断する。音声の再生は一回のみ。

今回は、クラシックコンサートに行ったら踊れる楽しい曲ばかりでクラシックの名曲がないことに不満いっぱいの女性と、新しい音楽で楽しめる方が若者も来るしそもそも音楽は楽しいものじゃない?という意見の男性の会話でほぼ喧嘩にしか聞こえない。問題集の模擬テストでは、それぞれ最後まで相手の話を聞いていたが、今回の試験では男性が話し終わる前に女性がかぶせてくるし、かなり会話のスピードが速いので戸惑った。内容は把握できたと思う。

Teil 3 識者へのインタビュー

何らかの専門家へのインタビューを聞いて、専門家の意見はどれか、3つの選択肢の中から一つ選ぶ。問題は10問ある。音声は2度再生される。

今回は都市計画の専門家に、ヨーロッパの都市の利点、ドイツの都市計画の課題などを聞くインタビューだった。音声が2回再生されるので、一回目にわからなかったところを確認できるから気は楽。2、3問わからないのがあった。

Modul Schreiben(記述)(80分)

苦手なのにほぼ対策せず、全然だめだった。

Teil 1 文法問題

与えられた単語を使って文章の一部を書き換える文法問題が10問出題される。よくある文法問題と違い、長文の中で書き換えるのが特徴だと思う。動詞の名詞化や、名詞を動詞に書き換えて複文にするなど、対策していればできそうだが半分くらいしか解けていないと思う。

Teil 2 自由記述

テーマに沿って記述する問題が出題される。その場で与えられたテーマについてか、毎年発表される2冊の文学作品いずれかについてか、試験開始前に確認されて、それぞれに専用の問題用紙が配られる。私は、いきなり知らないテーマで書くのが嫌だったので文学作品Junges Lichtにした。

選んだ本についてFacebookで感想を書く課題で、問われるのは、1. 作品の簡単なあらすじ、2. タイトルJunges Lichtの意味、3. 友達に本を推薦する推薦文、である。一回オーディオブックを聞きながら読んだだけであらすじしかわからず、約350ワード書くという指示なのに、気づいたらあらすじで200ワード使っていた。あらすじと推薦文はいつも問われるので、それだけは少なくとも練習するべき。

Modul Sprechen(口頭試験)(準備15分、面接約15分)

何も準備しておらず、受験せずに帰ろうかと思ったくらいだが、とにかく体験はしてきた。

午前中の筆記試験で渡される紙に口頭試験の時間と集合場所が書いてあり、試験の時間15分前までに集合場所に行く。時間を過ぎると担当者が迎えに来て、まず携帯と荷物を預けて別の部屋に通される。本当はそこで身分証も確認するようだが、私は間違って荷物と一緒に預けていたので確認されなかった。もし、午後の口頭試験だけ受けるなら、担当者が絶対に確認しなければならないと思うので取りに帰らされたのかもしれない。

部屋で問題用紙と下書きの紙を配られ、15分間準備時間が与えられる。C2は、5分間の発表とディスカッションの2つの課題を準備しなければいけないので、時間が全然足りない。15分経ったところで手を止めるよう指示される。すぐにそれぞれの担当者が呼びに来て面接を行う部屋に行くのだが、私は前の人が長引いたのか、5分ほど待たされた。受験者1人と面接官2人で試験は進行した。

Teil 1 発表

問題用紙に2つのテーマが記載されており、いずれかを選ぶ。1つはビジネス系のテーマ、もう1つはドキュメンタリーの魅力で、ビジネスはわからないのでドキュメンタリーを選んだ。これまで、準備時間10分程度で5分も同じテーマで話し続けたことなどないので、つっかえながら多分3分くらいしか話していないと思う。短時間で構成を考える練習と、5分間何らか話し続ける練習が必要。

受験者が話し終えると、面接官が内容について質問する。私には、「昨今、特にコロナ禍以降、ドキュメンタリーがたくさん作られて、視聴者も好んで見るようだが、なぜだと思うか?」という質問と、私の「ドキュメンタリーは真実を描いているように見えるが、結局は製作者の視点が入っているので、そこは差し引いて鑑賞する必要がある」という意見に対する「それならば、教室で子供にドキュメンタリーを見せることについてはどう思うか?」という質問をされた。前者には、インターネットの発達で世界中の情報が入るようになり、別の地域の人々の暮らしに興味をもつ人が増えて需要があるのではないか、と答えた。後者には、子供にとって映像だとわかりやすいから見せたら喜ぶのではないか、とずれた回答をしてしまった。

Teil 2 ディスカッション

2つのテーマから1つ選び、賛成か反対かいずれかの立場を明確にしてから議論を始める。私は老人ホーム是か非か?で賛成の立場を取った。Teil 1で質問した面接官とは別の面接官が担当する。

お年寄りの立場から、心身ともに体調が悪くなっても安心、というのと、家族の立場から、介護から解放される、という意見で老人ホームを擁護したが、面接官は老人ホームでやるべきことがないと生き甲斐がなく、弱ってしまうのではないか?と入居者側からの反論で一貫していた。それに対する強い反論は思いつかなかったので、議論としてはいまいちだったのだが、ああやってはっきり賛成反対の立場で見知らぬ人と議論するのは楽しくもあると思った。

まとめ

C2、難しい!ドイツ在住だがドイツ語で発信する機会がほぼないので、自分でかなり追い込んでやらないと上達の見込みがないことがはっきり分かった。記述、口頭試験はまだまだかなりの訓練が必要。

聞き取り、読解は得意分野なので何とかなる気がしていたものの、語彙が圧倒的に不足しているので(特に動詞と副詞)読解に時間がかかりすぎるし、聞き取りでも細かい情報を落としてしまう。複雑な構文になると聞き取れないし…文法の本で構文をしっかりやらないといけない。

今回時間がなくて聞き取り・読解に勉強を絞ったから読むのが速くなり、聞き取りも前よりはできるようになった。それは収穫だった。しかしC2はあらゆるモジュールでネイティブ並みのスピードが求められるので、まだまだ訓練が必要。

読解と聞き取りが受かるかどうか微妙で、他のふたつは多分無理なので、間違いなくまた受験する必要がある。結果が出たら、対策コースに通うかどうかも含めて対策を練らなければ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?