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先人の地域デザイン4【地域デザインの目線#13】
押さえておきたいのは、こうした山地利用のサイクルが太陽を元手にしたエネルギー利用の営みが中心だったということです。動力(牛)を得るための草原、薪や炭などの燃料を得る里山林、そして食料を得る焼き畑農業。
ですので、スライドのようなスギなどの建築目的の木々で山を覆い尽くす植林は、古くから続いてきた人と自然の営みとはまったくかけ離れたものです。
建築材を大量に輸入するようになったこともあって、戦後の植林でできたスギ林は手入れ不足のため、水害が多発するようになってしまいました。
水害が起きた時の映像を見てもらうとよく分かりますが、川やまちに流れ混んでいるのは、まっすぐなスギなどの人工林の木々です。
荒れた日本の森林の災害を減らすには、現在のヨーロッパやかつての日本のようにエネルギー利用する営みをつくっていくしかないと思います。
(つづく)