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アゾラ出現!/豊倉町営農組合【地エネの酒for SDGsプロジェクト2021 #1】
地エネの酒for SDGsプロジェクト2021スタート!
食と農の廃棄物を発酵させて、熱と電気に使えるバイオガスを取り出し、副産物の「消化液」で酒米山田錦を育て、地エネの酒「環(めぐる)」を醸す。人と自然を新しい資源循環でつなぐ「地エネの酒 for SDGs プロジェクト」が2021年度もスタートしました。3農家で始まった酒米づくりを報告します。
アゾラ出現!/豊倉町営農組合
60アールある水田を赤く染めるように水草が覆っています。ここは豊倉町営農組合(加西市)が地エネの酒「環(めぐる)」向けに山田錦を栽培している田んぼです。
「やつは突然発生した。うちのほかの田んぼにも池の水が流れてきていますが、この風景はここだけ」。豊倉町営農組合の岩佐尚宣さんは渋い表情で田んぼを見つめます。
たしかに、2週間前に訪れた時はこうでした。
水草の名前はオオアカウキクサ。アゾラとも呼ばれる水面に浮かぶシダ植物の仲間です。池や沼が赤く覆われているのはたまに見かけますが、田んぼでこうした風景を見るのは久しぶりです。
空気中の窒素を取り込んで成長する浮き草は1990年代にアイガモ農法でアイガモの餌として盛んに導入されました。肥料として活用する人もいます。
海外から持ち込まれた外来種が各地で大発生して問題になったこともある一方で、日本の在来種は、絶滅が危惧されています。最近は稲作での除草剤の使用などで生育できる環境は減っているそうです。
豊倉町営農組合は、冬から水を田んぼに張る「冬期湛水」を生かした除草剤なしの農法に取り組んで2年目。除草剤を使っていないことを示す存在ともいえますが、いろいろ懸念材料も…。
自然環境への負荷を減らす酒米づくりの道は一筋縄ではいきません。
(つづく)