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トロトロ層に優しく/豊倉町営農組合【地エネの酒for SDGsプロジェクト2021 #2】
トロトロ層に優しく/豊倉町営農組合
「たぶん、冬期湛水のこの田んぼは、水中の環境がほかの田んぼとは違う。むしろ池や沼に近いのでは」。豊倉町営農組合の岩佐尚宣さんは、オオアカウキクサが現れた冬期湛水田について考えます。
豊倉町営農組合が地エネの酒「環(めぐる)向けの田んぼで実践している冬期湛水は、無農薬無化学肥料の有機栽培の米作りで使われる農法です。
冬から水を張ることで稲刈りの後に田んぼに残った稲株などの有機物が水中の微生物に分解され、トロトロ層というクリーム状の泥の層ができます。
このトロトロ層ができるおかげで、雑草の種に光が届きにくくなり、発芽しにくい環境が生まれます。また、とても地面がなめらかになるので、土を掘り起こす耕運作業を大幅に減らせます。
冬から湛水した田んぼは、豊富な微生物が有機物を分解し続け、稲が吸収しやすい栄養が供給されるので、肥料はいりません。数年続けると肥料成分が多くなりすぎて山田錦は倒れてしまうそうです。
エネルギーの視点でみると、農機を動かすための石油や、農薬・化学肥料の製造や運搬に使う化石燃料が減らせます。
田植え前に地面を平らにするための代かき作業は、このトロトロ層の力を損なわないよう、表層だけを丁寧にかき混ぜます。
トラクターの後にハローという、短いつめがついた専用のアタッチメントをつけてゆっくりと進みながら、トロトロ層の有機物と土とを混ぜるイメージだそうです。
「代かきをすると、土に生える雑草はすき込める。でもこれは浮き草なので残ってしまう。これが肥料になって肥料過多の状態になれば、山田錦が育ち過ぎて倒れてしまう」。岩佐さんの心配はつきません。
こちらは、山田錦の種をまいた土を入れた箱を田んぼに並べる作業。一ヶ月近くすると、苗ができあがります。
(つづく)