先人の地域デザイン6【地域デザインの目線#15】
次は、六甲山のある神戸・阪神地域です。開発が進んで市街化されたいまからは想像しにくいですが、六甲山から海までのこの地域は、菜の花の黄色い花が彩る農村でした。
そこで、地域のデザインの中心となったのは六甲山から流れる急流河川でした。
この写真は、神戸市東灘区を流れる住吉川ですが、西の生田川から、西宮の夙川まで、傾斜のあるまっすぐな川が並んでいます。
江戸時代、この小河川に水車がたくさん造られました。菜種から照明用に使われた菜種油を搾るためです。
さらにこの水車の力を、お酒をつくるための米の精米に使うようになります。それまで人力だった精米に水の力を生かすようになったことで、よく磨かれた米が大量に手に入るようになりました。おいしい酒が大量生産できる条件が整い、この地で日本酒の技術革新が起きました。
水の力で大きく発展をとげた兵庫の日本酒のストーリーは、地球温暖化対策として自然エネルギーへの転換が重要なテーマとなっている世界にもっと発信すべきだと思います。
(つづく)
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