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頑固な「昭和の型」【地域デザインの目線#2】
「地エネと環境の地域デザイン」という持続可能な地域を考えるためのプラットフォームを立ち上げたのは、「エネルギー」と「環境」が、地球温暖化対策とポストコロナの地域デザインについて考え、世界とつながるための最も重要なキーワードであるからです。
一方で、世界で時代を動かす軸となっているこの二つ言葉が、日本の大きな課題である頑固な「縦割り」などの「昭和」に形成された「型」に縛られている状況が見えてきます。それが、日本で循環型社会への転換が遅れている原因となっていると考えます。
日本では戦後の昭和30年代に、電気やガスが急速に普及しました。エネルギー革命とも呼ばれます。そこを境に、地方では薪や炭、小水力などのエネルギーの地産地消の営みが急速に失われ、エネルギーは大手電力、ガス、商社に任せになる時代が長く続きました。
しかし、21世紀に入り、地球温暖化に伴う問題の深刻化とともに、あらゆるインフラを化石燃料から自然エネルギーに転換する競争の時代に突入しています。
昭和の経済成長に役立った石炭火力や原発などの大規模一極集中型電源に頼るエネルギーシステムから、地域のエネルギー資源を生かす自立分散型の地域づくりへの取り組みが求められていますが、経済の成功体験と結び付いた硬い昭和の型に新しい動きが阻まれています。
また、日本では化石燃料や食料など輸入資源利用中心のシステムが長く続き、身の回りの地域資源を利用するノウハウがすっかり失われてしまいました。
それとは対象的に欧州では、地域資源を生かす技術をコツコツ磨き続け、いまでは「地エネ」先進国となっています。(づづく)