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先人の地域デザイン2【地域デザインの目線#11】
こうしたスギ、ヒノキ林は、戦後、住宅など建物の建築材を得るために全国で行った植林によって生まれました。いまでは当たり前のようですが、人と森林の長い歴史の中では、ごく最近できた風景なんですね。
ではそれ以前はどうだったのか。人と森林の地域デザインの原型がよく分かる地域があります。それが兵庫県北部の但馬地方です。
これは、新温泉町の但馬牧場公園。山の上まで草原になっているところと、木が生えているところがあり、冬はスキー場に使われています。
実は、地元の高齢者に聞くと、昔はこんな感じのところがいっぱいあり、山地の半分ぐらいくらいは草原だったそうなんですね。
その理由が、兵庫が世界に誇るの但馬牛。中国山地の但馬地域では、物資の運搬や耕作に但馬牛の力が欠かせませんでした。この地域で牛の力を借りて生きていくためには、牛の餌となる草を得るために山地の半分くらいを草原にする必要があったのですね。
(つづく)