毎日書かない出来事日記:虫レスキューで善ポイントを貯めた話
最近よく、虫助けならぬ虫レスキューをしている。
これを読んだ人はすぐさま、「何ですかそれは?」と思われるだろう。
私も何だそれは?と思う。
しかし事実だ。
そもそも地方の緑多い場所に住んでるので、虫や生き物はよく見かける場所柄なのだが、ここ最近なぜか多いのだ。
ある日、電車に乗っていた時だった。
ふと車窓を見て驚いた。
なかなかけっこうな大きさの虫が窓にへばりついていた。
バッタやハチのような一見して分かる虫ではない。
ひょろんと細長い胴体で、ハンミョウとゾウムシを組み合わせたような、それでいてサイズ的にはカミキリムシに並びそうな、そんなフォルム。
いや君何の虫?というかなぜここに?
刺さない?刺さないよね?
おっかなびっくり眺めていると、どうやら外へ出たそうに窓にへばりついてウロチョロしている。
どうしよう、外に出たいのか?
まぁ…そうよね、出たいよね。
猛暑の外から涼しい冷房車を目指して来たんでもない限り、虫にとって樹液もなければ餌もいない、電車の車内になんの用もないだろう。
しかしどうしたものか。
てんとう虫とかハナムグリタイプなら私でもあら可愛い☺️などと微笑んで、ひょいとつまんで森へおかえりとばかりにリリースできるのだが、そんな虫界のアイドル的なものとはまるで違う。
正体不明。大きめのバッタサイズ。どこを持ったらいいかも分からない。
さすがに私もこれは無理…。
しかし、そうこうしている間もその虫は窓を上へ下へとジタバタしている。
分かる。
出してくれ。ここから出してくれ。
虫なりに、全身全霊で言っている。
…多分。
しかし、さすがに私の手には余る。
虫と心を通わせる姫ならばまだともかく、子王蟲どころではない、私の目には大王蟲、むしろ森で攻撃態勢マックスのでかい虫に出くわしたくらいの難易度だ。
ティッシュごしに掴んでみるか?とかまえたものの、数秒構えただけでギブ。
もういっそ別の席に逃げ出したい。
どうしよう。
どうしたらいい。
その時、カバンの中から出て来たのは紙の小袋。こ、これならいけるかも!
そっと虫に袋を近づけ、そっと袋の中に落とす。即座に口を閉じる。ちょうど来た停車駅で、開いたドアからホームにそっと虫をリリース。私と紙袋は電車に残り、閉まるドア。走り出した電車の窓から見ると、虫はホームをトコトコしていた。
やっと外の空気を吸えて、ほっとしていた…のかもしれない。
そんな謎の虫との攻防があってから後日。
家のベランダでひっくり返って飛べなくなっていたカナブンがいた。
ホウキの先にしがみつかせて、家の外へと連れ出した。
その2、3日後、突然子供に呼ばれた。
行ってみると、前に助けたのよりひと回り大きなカナブンが、どこからどう入ったのか、廊下でオドオドきょどっている。
窓は基本開けっぱなしにしないし、したとしても網戸は閉めているのに、どこから入ったんだ、キミは。
とはいえそんなこと聞いたとて仕方がない。小さな虫取り網にそっと取り、これまた外へと連れ出した。
多い。
同じ月に3回もあればこれは多いと言ってよいのではないか。
いや、実際やったことは大したことではない。虫を屋内から外へ移動しただけである。虫レスキューとも言えるかどうか怪しい。
でも、とりあえずいいことしたとカウントしていいのではなかろうか。
善は天に積むものだというが、今回の善行ポイントは天に貯まったのだろうか。
虫のピンチをいちおう助けたのだとして、これは私にいつか何かの形で返ってくるのだろうか。
何かピンチの時に助けが入る的な。
トイレ見つからなくてピンチの時にいつもはない場所に仮設トイレがあったりとか。
財布に待ち合わせなくてピンチ!と思ったらセールで割引になって払えたとか。
どれも普段から気をつけとけ、なピンチだけど、人間どこでどんなことに遭遇するか分からない。
とりあえず、何かあった時にはこの善行ポイントが発動することを祈っている。