むかしの話:にわとりが先か、たまごが先か
社内向けのエッセイとしての下書きでしたのでその名残がありますが、少し直して掲載します。
書いたのは今年の3月ころです。
先日、約半年ぶりに東京へ出張に行ってきました。
商談や展示会、そして行けなかった間にオープンしたお店を見たりして、久しぶりに脳が刺激されました。インプット大事です!
わたしは20歳から約20年近くを東京で過ごしました。
社会人生活をほぼ過ごした街ですので、私にとっては東京もふるさとです。
東京には友達も尊敬する先輩たちもたくさんいます。
今回は緊急事態宣言が発令され、20時までしか飲食店が空いていませんでしたので、ほとんど誰にも会うことができませんでしたが、逆にゆったりと一人の時間を過ごせたせいか、いろいろなことを考えました。
飲み会における、おじさんたちのむかし話
わたしが社会人になった20代のころ、団塊世代のおじさまたちがバリバリと現役で働いている社会でした。
「24時間戦えますか?」というキャッチコピーがある時代です。もう20年以上前!
24時間働くおじさんたちは、お酒を飲むのも大好き。もちろん月に何度かは付き合わされます。
(またおじさんをdisってるみたいに聞こえますが、そんなことありません。笑
時代背景を想像してお読みください。
その当時は女性の上司はいませんでしたので。)
そんな時に、おじさんたちの昔話をよく聞きました。
当時の若いわたしは、「そんな話されてもね。」と、思っていたかも。今の若いみなさんと一緒。
でも、今になってそんな飲みながら聞いた話がいいなー!って思うこともあるのです。
イマドキの世代間の交流って・・・
そこで、サツドラの環境を考えると、普段そういう世代の違う人と話すことってあんまりないのかもしれないなーと思ったのです。
10歳とか20歳の世代差があると、どういう風に考えて生きているのかっていうのは、どちら側からみても、意外にわからないし謎に包まれてますよね。
でも、いつも一緒にいる友達や家族以外の人から話を聞いたりすることで、価値観が変わったり、新しい考え方ってできると思うのです。
サツドラではみんながそれぞれの持ち場で働いているので、例えばどこかの店舗で働いている人が仮に、「私もいつか商品開発したいんだけど、フジモリさんってどういう人なんだろう?どうやって今のキャリアを積んだんだろう?」と思っても、話す機会を作ったり、飲みに誘うのはなかなか難しい。(いや、こういう状況じゃなければ、誘ってくれていいんですよ!)
私は何回か転職し、違う会社でずっとキャリアを積んできたので、いろんな人と会って、いろんな話を聞いて、経験を積みました。なので、そういうサツドラプロパーの皆さんとはすこし違う経験をして、すこし違う価値観で生きていると思うのです。
そしてなんといっても、一回りとか、20歳くらい年下の部下ができる年齢に自分もなり、ジェネレーションギャップを感じるわけです。
逆に若い人たちにしたら、一回り以上年上の上司や先輩たちは「怖い」と感じることも多い。実際に、わたしは怖いと思われてます。きっと。笑
わたしにも、上司や先輩たちを「怖い」と思う時代がありました(信じられないと思うけど)。でも、昔だからこそ、飲み会や他愛もない会話のコミュニケーションによって、その人たちの考え方や性格を理解することができ、だんだん「怖い」という感情はなくなりました。
このwithコロナの時代、そういう直接的なコミュニケーションはむずかしいけれど、noteみたいなツールを使うことによって、団塊世代に育てられた40代の考えていることってこうなんだーというのが伝わって、少しでも身近に感じてもらえるといいなーと思い、たまにむかし話を書こうと思います。
おじさん達みたいに!
尊敬する巨匠のエピソード
最初の話は、わたしが20年くらい前に働いていた会社の社長の昔話です。
その方をAさんと呼びます。
私は彼のことをとても尊敬していて、巨匠と思っています。いろいろなことを巨匠から学びました。
とても好きな話です。だいぶ前に聞いた話なので、若干脚色されていると思います。笑
しかも無許可での掲載です。(巨匠・・・読むかな?)
Aさんは、以前とあるマヨネーズを作る会社で働いていました。
今から40年くらい前の話。
マヨネーズって、卵黄と油と酢が主な原材料です。
卵をものすごい量使います。自動割卵機(かつらんき)という機械で、卵を割りながら黄身と卵白に分けていくのですが、テレビで見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
Aさんは当時営業担当でした。基本的にその会社はマヨネーズの会社ですが、ドレッシングをはじめとしたいろいろな商品を作っています。
ある日Aさんは上司に呼ばれました。
「卵白の在庫が大量にあるから、売ってこい!」
そうです。マヨネーズには黄身しか使わないのです。
卵白は一斗缶に入れられ、冷凍されていますが、それが売れないので、倉庫のスペースを圧迫しているし、賞味期限も近づいてくる。
40年くらい前ですから、インターネットも携帯電話もありません。
Aさんは会社の書庫(昔はだいたいの会社に書庫ってありました。小さな図書館みたいな感じ)に行って、片っ端から卵白を使うレシピを探しました。
できるだけたくさん使うものは何か。
そうしたら・・・パンかスポンジだ!となったのです。
卵白を泡立ててパンやスポンジにいれると、よりふわふわになります。
Aさんはスポンジをたくさん焼く会社はどこかを調べました。たぶんなんらかの本で。
そうしたら・・・とある大手メーカーだ!となったのです。さっそく営業に行くと、在庫が過剰でスペシャルな価格が設定された卵白はすぐに採用されました。
上司にも褒められ、商品も売れて一安心。
きっとおいしいビールを飲んだことと思いますが、数週間後思わぬ事態になります。
「卵白が足りない」
大手メーカーからの卵白の発注と、自社のマヨネーズの生産の速度が合わず、卵白が必要だからマヨネーズを作らなくてならないという事態になったのです。
今度は上司からひどく怒られ、パン屋に納品できないお詫びをしに行くことになったとのこと。
卵だけに、卵が先か、鶏が先かの黄身と白身バージョンだったんだよ。
というお話でした。
仕事とは問題を解決することだ
このタイトルの言葉は、巨匠の会社に入社したときに言われました。わたしは問題に直面したとき、いつもこの言葉を思い出します。
みなさん、問題に直面したときに、どうやってそれを解決しますか?
今回のAさんの立場なら、(当時の)普通だと自分の得意先に片っ端からアポイントを取って、営業に行くというのが最初の行動パターンです。
でも彼はそうしませんでした。
すでに営業していて、取引先からは買ってもらえない理由をたくさん聞いていたのかもしれませんが、大量の卵白を売るなら、卵白を一番たくさん使うところはどこだろう?って考えたのです。
こういう柔軟なものの考え方ができて、行動に移せるということが、すばらしいなーと思うのです。
今の時代に生きる人なら、どう行動するでしょうか?
そして、わたしがこの話の好きなところは、卵白を一番使うレシピを調べて、「パン屋だ!」ってAさんが気が付いたというポイントです。
その時、めっちゃテンション上がったよなーと思うのですよ。
彼の人柄も知っていますし、よりリアルに想像できます。
たぶんその時、もうこれ以上ないアイデアだ!って思ったと思うのです。
そういうことは、なかなか人生でありません。
この上ないアイデアだったので、売れすぎて怒られるという結末も好きです。笑
Aさんはこの後、日本で初めての「カップサラダ」を開発します。
容器にサラダを入れて初めて売ったのはコンビニです。
そのカップサラダをAさんは作り上げました。
それまですぐに食べられる状態で売られている生野菜はありませんでした。
マヨネーズやドレッシングを売るには、生野菜を食べてもらわなければなりません。
だから、簡単に野菜を食べられるように、カップにサラダを入れて、ポーションのドレッシングを作りました。
これもある意味、卵が先か、鶏が先かですね!
巨匠とわたし
Aさんはその後独立され、食品メーカーを立ち上げます。私はそこで働いていました。
Aさんと私の歳の差は・・・30歳くらいあると思います。でも、今でも二人で飲みに行きます。その度に会わない間の楽しいエピソードを教えてもらい、毎回ステキなお言葉をいただきます。
最近は会えていないので、さみしいです。
確かに、直接の部下だった時はちょっと怖いな!と感じる場面もありました。もちろん彼は経営者ですから。
でも、信頼関係が生まれたら、年齢や性別やいろいろな差は関係なくなります。お互いに違う時代を生きて、いろんな仕事(問題解決)を経験しているからこそ、歳の差や性別なんて関係なく、いろんな話ができるようになるのです。
わたしはしあわせなことに、そういう人たちにたくさん出会えました。
また、思い出したら書きますね。むかしの話。
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