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陶芸の失敗と工夫の記録 / 正解を求めない・窯の煙突設置から学んだこと
2024年以前までは、電気窯を使っていました。
電気窯にはたくさんのメリットがありましたが、私の作るものと量の関係や大きさの兼ね合いから、能登半島地震以後、電気窯を手放すことになりました。
①灯油窯をいただいた!
ご近所の方から灯油窯をいただけることが決まったのが2024年の夏ごろ。
輸送の段取りを決め、うちの倉庫に運び込まれました。
(この時の輸送の話も、またそのうち書きたいことのひとつです)
灯油窯は、今まで使ったことがなく、経験が全くありません。
移設を頼んだ業者さん、西浦商事さんに移設したその日にボイラーの試運転と灯油窯の使い方を簡単に教わることができました。(奈良県の西浦商事さんには本当に本当にお世話になっております!)
灯油窯は、灯油タンクから伸びているホースを送風機付きボイラーにつなぎ、そこから灯油と風を供給しながら温度を上げて行くという構造になっていること。
煙突はなくても温度は上がるが、あったほうが排気ができて良い。
換気が必要であること。
灯油タンクから伸びているホースが割れやすいので、踏まないように注意すること。
点火芯は傷みやすく交換が面倒なので、点火できたらすぐに運転スイッチに切り替えること。
灯油タンクは同じ室内には設置せず、壁を隔てたところに置いた方が良いこと。
大まかに上記のことを教えてもらいました。
②煙突ってどうなってるの
さて、窯がやってきたとはいえ、まだまだ焼成にはたどり着きませんでした。煙突をどう設置したら良いか、わからなかったのです。電気窯には、煙突はついていないものなのです。
灯油窯がもともとあった場所では、保管されている状態であったため、どのように煙突を設置していたか教えていただくことはできませんでした。
灯油窯で検索をして見ても円柱と四角柱のパーツが組み合わさったものが、本体から固定されて伸びています。しかし、目の前の灯油窯は本体とは別に、金属の錆びたパーツがある。これを乗せるだけで、本当に大丈夫?という疑念がずっと頭から離れなくなってしまいます。
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私が困っていることは、以下の5点でした。
窯と本体をつなぐ部品がないこと。また、それに使っていたであろう鉄のパーツは錆びていて、固定できるものではないこと。
鉄のパーツは、いただいてきた煙突の直径とピッタリ合わないこと
煙突はまっすぐ取り付けるものなのか、曲げて取り付けるものなのか
煙突の長さ、曲がるながさなどはどうすば良いか
煙突の固定方法は?
③窯の会社に問い合わせてみる
まず、どうすることが正解なのかを知りたくてシンポの会社に問い合わせます。シンポの窯はニデックドライブテクノロジー株式会社というところで取り扱っているようで、そちらの問い合わせフォームを利用させていただきました。
Q・煙突は取り付けず使用することは可能でしょうか。
灯油窯の煙突についてですが、煙突は取り付けてご使用ください。
灯油窯は数年前に製造中止になっており、メーカーでは部品を用意することが出来ません。
Q・煙突と煙道の接続部分について、四角い煙道の出口から、丸い煙突に繋がる接続方法を模索しています。過去に作られていた部品やパーツの図面など推奨される方法についてご存知のものがありましたらご教授いただきたく思います。
煙道についてですが、文面では説明しづらいのですが、当時は四角の煙道に合わせた鉄板の中央に、煙突より若干小さ目の径の穴をあけ、
その穴に5cmくらいのリング状の立ち上がりを溶接して、その立ち上がり部分を煙突の内側に差し込んで取り付けしていました。
図面は開示することができない為、これぐらいの案内しかすることができず、申し訳ございません。
返信はすぐに送ってくださいましたが、手に入れることができないパーツをどうしたら手に入るかだけをずっと考えていました。
④知人に相談する
次に、灯油窯を使っている知人ふたりに連絡してみました。
まず、どのように煙突を使っているか聞いてみました。知人の一人は、灯油窯は、窯業資材を扱う会社に相談し、購入から設置までやってもらったとのことでした。煙突自体の写真も送ってもらいました。
窯業資材を扱う会社の連絡先を教えてもらい、すぐに電話をしました。
写真付きでメールを送ることになり、返信を待つ間、二人目の知人に連絡を取りました。
もう一人の知人の灯油窯の煙突も業者の方に取り付けてもらったとのことでした。
灯油窯の形やサイズが似ていたので、煙突と窯をつないでいる方法についても相談にのっていただきました。
錆びた鉄のパーツの上に煙突が乗っているだけでも他の部分を固定していれば、容易く動くものではない。また、錆びた鉄のパーツと煙突の直径が合わなくても、煙が逆流しないから、なんとかなるのではないか、ということを教えてもらいました。
なんとかなるのではないかという希望が見えたのですが、心の何処かで、「正解」を求めてしまい、一歩踏み出すことができず、煙突と本体をつなぐパーツがどこかで作れないか、売っていないかネット上を検索し続けてしまいます。
⑤いつまで経っても前に進めない状態
その後ネットで検索をし続けるも、新しい「答え」も見つからないまま日はどんどん過ぎてゆきました。
初めに友人に問い合わせをしてから二週間、業者さんからのメールの返信もいただけず一週間、とにかくどうしようもなくなり、もう自分でやってみようと決意しました。
煙突は、まっすぐ取り付けるか、曲げて取り付けるか、で還元のかかり方が強かったり弱かったりするので、煙突は重要な役割があります。長さも焼成に影響することのようなので、悩みました。天井に上がるのはあまり勇気が出なかったので、失敗しても良いから、側面のトタンに穴を開けて、煙突を作ることにしました。
煙突の直径をマジックで写し(めっちゃ雑ですが)
金属用のドリルビットで穴を開け、その後金切りばさみで丸く切断。
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煙突の長さは、元あった煙突で賄えるように、また、壁の木材部分から近づかないような距離で取れるようにしながら決めました。
窯場の建物内で一度折れ曲がり、建物外で一度折れ曲がって設置しました。
窯からの距離と、窯に対しての煙突の長さは、判断しかねたので、もう一度業者さんに煙突の設置写真を(メジャーで長さがわかるような写真を)添付させていただいて、判断を仰ぎました。
メールの返信はすぐに送っていただくことができました。
屋根付近の煙突の固定を行うことと、折れ曲がっている箇所には鉄の釘を打っておくと良いことを教えていただきました。
後から思うのですが、最初にお送りしたメールを見返してみると、曖昧なメールの内容だったので、返信いただけなかったのだな、と反省するところがありました。相手の方もお忙しい時間をメールの返信や説明に費やしてくれていることを忘れてはならない、と改めて猛省しました。
⑥そして
メールでご指摘いただいたことを改善し、ついに自力で煙突を取り付けることができました。
鉄の錆びたパーツは不安要素ではあるものの、思っていたよりも簡単に設置できたので、自分でも達成感が湧き上がってきました。煙突がついたら、窯ができるので、わたしにとっては大きな大きな一歩です。これだけのことを躊躇していたのか、と自分でも驚くほど簡単だったのです。失敗を恐れ、躊躇したばかりに、たくさんの時間を費やしてしまいました。
先日散歩をしていた時に、それぞれの家の造りを見ながら、思うところがありました。カーポートと母屋のつなぎ方、畑のビニールハウスの材質、元々茅葺き屋根だったであろう屋根をトタン張りにしているところの側面。それぞれに違いがありました。家々が違うからこそ、作り手や住人それぞれに工夫や、やり方があるんだなと、やり方はひとつじゃないのだと、すっと理解することができました。
正解を求めることは間違いではないかもしれないけれど、時には無駄になることもあるのだ、と学びました。
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後日、無事、煙突もしっかりと機能して還元もかかるようで、ホッと一安心しました。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました☻
月に一度の更新を、目標に。
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