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いちぢくのジャムを作る

4年前に他界した母は、春には苺ジャム、秋にはいちぢくのジャム、気が向いたらマーマレードやアメリカンチェリーのジャムを作っていた。瓶を煮沸して、脱気して、長いこと保存できるようにして子供や友達に配っては嬉しそうにしていた。

小さな頃は、母が作る苺ジャムの匂いがアパートの部屋いっぱいになるのが嬉しかった。いちぢくのジャムを作り始めたのは亡くなる数年前で、私は初めて食べたときいちぢくってこんなにいい香りがするの、と驚いた。

母が生きてた時は自分で作ることはなかったけど、今は自分で作るしかない。コロッケや干し大根のキムチ、母の得意な料理をぼんやりと思い出しながら、コトコトジャムを煮る。

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