現代VR空間のオリエンタリズム―美少女文明はフィッシュヘッドと遭遇した
概要:第1章ではVRChat内の集団の一つであるフィッシュヘッドに関する観察事実を述べる。第2章では非当事者によってなされた、VRChatユーザーがフィッシュヘッドになる理由の分析の類型を挙げる。第3章ではフィッシュヘッド自身による言説を検討する。全体を通して、ソーシャルVR空間における民族誌学の草分けとすることを目指すとともに、ある集団を外部から観察し説明することの背景にしばしばある観察者の自文化中心主義がソーシャルVRにおいてもみられることを示す。
【更新記録】
- 2024.08.13 ヘッダー画像を追加。
- 2024.08.13 第2章に「動機4:無役割説」の節を追加。続く創作促進説から馴致啓蒙説までの動機のナンバリングを変更。
- 2024.08.13 埋没説を「没個性説」に変更。
- 2024.08.13 第2章「魚頭仮説」の図を更新した上でキャプションを「魚頭動機仮説の分類」に変更。
- 2024.08.13 第1章「歴史」の節にFISH HEADS season2、FISHHEADS REvolution、タイトルなし(Vketパラリアル横浜散策)、第185回題名のないお茶会(Fket二回目)を追加。
- 2024.08.13 第3章「フィッシュヘッドより」の節にふらっと(flat)さんの投稿を二件追加。
- 2024.08.13 「メタカル最前線」及び「ツバメヤロク」の記事の書誌情報に著者名を追加。
- 2024.08.13 参考文献を章ごとに分割。
- 2024.08.13 文章表現に軽微な修正。
- 2024.12.12 文章表現に軽微な修正。敬体を受動態から能動態に変更。第1章「歴史」の節に小林くん-NeedForestさんの影響を追加。
第1章 フィッシュヘッド…この未知なるもの
発見
あなたが、「なりたい自分になれる」とか、それに類するキャッチコピーに心惹かれて、VRゴーグルをかぶってメタバースの新天地に飛び込んだとしましょう。あるいは3Dモデルやアバターギミックの新市場で自分のクリエイタースキルを試す前の敵情視察のために、年に二度VRChatで開かれるバーチャルマーケットに足を運んだとしましょう(実際には、あなたの物理的な足はパソコン机の前を一歩も出ていないのですが)。するとあなたは、ありとあらゆるワールドを闊歩し、談笑し、配信し、販売される大勢の美少女アバターを見るでしょう。これが現代の非ザッカーバーグ式メタバースで人々がとる姿の主流なのです。そして同時に、それら美少女に交じって存在を主張する奇妙な一群のアバターたちをも、あなたは見るでしょう。
このアバターたちもまた、美少女アバターと同様にありとあらゆるところにいます。正確には、近年ありとあらゆるところで見られるようになった、というべきでしょうか。特に、学術、音楽、哲学対話、展示会などのイベントやワールドにその姿を見ることができますが、これらに限られません。彼らは彼ら自身のための集会を持ち、ワールドを持ちます。一方で、彼らはPublicにも現れます。
この奇妙なアバターたちの奇妙たる所以にして唯一の共通項は、人型の胴体の上に、魚類の全形が頭としてついていることです。厳密に言えば「魚類の全形」というのは正確ではありません。甲殻類や魚卵や寿司を頭にしているものもいるからです。さらに、「人型の胴体」というのも正確ではありません。腕を四本持つものや馬の胴体を持つものもいるからです。つまり、何一つ正確ではないということです。ただし、これらのアバターの使用者たちは概ね互いを認知しており、似たコンセプトのアバターを使う集団として多少の帰属意識を持っているように見えます。
彼らの自称に従い、これらのアバターは「フィッシュヘッド」と呼ばれています。
外見
最初のフィッシュヘッドアバターであり、2024年8月現在もフィッシュヘッドの代表例として扱われる「マンボーマン」の姿を見てみましょう。全体はHumanoidリグで作られています。頭はマンボウの全形であり、マンボウの下顎と呼ぶべき部分が下に伸びて首になり、おおよそ首の付け根以下でテクスチャが切り替わり胴体となります。胴体は衣服をつけない中性的な滑らかな形で、Unityのマテリアルエラーと同じマゼンタ一色に塗られています。しかし体の凹凸に沿って光沢もあり、本当にマテリアルエラーを起こしているのではないことが分かります。マンボウの体軸と人型の胴体の進行方向は一致しています。マンボウの口はリップシンクで動くようになっており、「え」「お」の発音の際に舌が過剰に飛び出ます。まばたきはしません。直立二足歩行をします。体高は約130センチですが、フィッシュヘッドの代表的なアイコンであるために、数メートルの大きさでワールドオブジェクトとして置かれることもしばしばあります。
マンボウの他に、様々な水生生物やそれに関連するオブジェクトを頭にしたアバターが多数あります。いくつかの例を挙げれば、メバル、ジンベエザメ、リュウグウノツカイ、シャコ、ウミホタル、ウーパールーパー、アノマロカリス、キャビア(一粒)、マグロの赤身の寿司、スカイフィッシュ、疑似餌、マンボウの入ったカレーなどです。また胴体にもバリエーションがあり、金色のもの、白く筋肉質なもの、女性体型のもの、浴衣を着て草履を履いているもの、四本腕でまわしを締めて光背を背負っているもの、馬、Akyoなどがあります。「生痕」の節で述べるように、ワールド「KAYA Avatar World with FISHHEAD」にはこれらフィッシュヘッドアバターのペデスタルが集められており、多くのフィッシュヘッドを見ることができます[2]。
生態
フィッシュヘッドは自分たちのことを「フィッシュヘッド」と称し、短く呼ぶときや漢字文化圏風の世界観に合わせるときは「魚頭」という表現も使います。一方、魚を頭とする姿をフィッシュヘッド、その集団をフィッシュヘッズ、その姿を自分のものとして用いる者をフィッシュヘッダーと呼ぶ、という提案もなされています[3]。しかし、アバターとそれを使うユーザー(いわゆる「魂」または「中の人」)とを区別すること自体がソーシャルVRにおいては必ずしも可能でも妥当でもないことから、本稿ではアバター・ユーザーの区別や単数・複数の区別なく「フィッシュヘッド」と表記します。
管見の限り、フィッシュヘッド界隈には共通の目的や行動はありません。強いて言うならフィッシュヘッドアバターを作ることですが、自作しない方たちもいます。また、不定期にフィッシュヘッド同士で集まることも特徴と言えるかもしれませんが、一人でフィッシュヘッドアバターを使っていてX(以下、書誌情報として記載する場合を除き「twitter」)などでもアピールしないユーザーは不可視化されているということに注意するべきでしょう。とはいえ、私たちの前に現れるフィッシュヘッドはまずその多様さによって私たちを驚かせるので、新しいフィッシュヘッドアバターを作り他のフィッシュヘッドと見せ合うという側面は、少なくとも私たちから見えるフィッシュヘッドを考えるにあたり無視できない構成要素だといえます。
フィッシュヘッドアバターの多くはワールド「KAYA Avatar World with FISHHEAD」にペデスタルとして置かれたり、BOOTHで販売されたりします。多くの場合、BOOTHでの販売価格は無料です。Vketのフィッシュヘッドのブースで展示されているのも、これらアバターやモデルです。マンボーマンに倣い、フィッシュヘッドアバターは頭にした生物の名前に「マン」(場合によりウーマン)をつけた名前で公開されることが一般的です。ちなみに、非フィッシュヘッド、つまり典型的には人の頭を頭とし人の胴体を胴体とする姿を呼ぶ言葉は定まっていません。「人頭族」「マンマン」「ヒトヘッド」などが提案されています[4][5]。
フィッシュヘッドアバターの作者は、アバターそのものに加えて魚のみのモデルやテクスチャ画像、ギミックなどを提供していることもしばしばです。また、Vket 2024 Summerではマンボーマンの対応衣装「選択」が公開されました[6]。これはフィッシュヘッドの対応衣装としては最初のものです。
VRChatの他の多くの界隈と同様に、フィッシュヘッドはVRChatの外でもtwitterやDiscordにおいて交流します。twitterでのコミュニケーションは、主にイベントの告知や感想、新コンテンツの発表、一般人をフィッシュヘッドに引き入れようとする試み、物理現実で見つけた生物の写真などを内容とします。
フィッシュヘッドは集会を開きます。「歴史」の節で詳しく述べるように、「フィッシュヘッド集会」の名で集まってワールドを巡ったり、バーチャルマーケットのような大規模イベントの会場を歩いたり、フィッシュヘッドをイメージした特設ワールドでDJイベントを開いたりします。2024年7月にはフィッシュヘッドアバターの展示会「Fket」を開催しました。イベントはPublicかGroup Publicのインスタンスで行うことが多く、その理由は第3章の「動機8:馴致啓蒙説」の節で検討します。また、VRChat内の集会につきものの集合写真も撮りますが、その際には体と頭を横向きにして(つまり、魚部分の面積ができるだけ広く映る向きで)撮る習慣があります。
前述したDJイベントは、Chitose(ちとせ)さん(以下「ちとせさん」)の主宰するVRChat内のDJグループ「QroQujaQue」(以下「黒孔雀」)と共同開催されています。この際には音楽と特設ワールドが黒孔雀のメンバーにより提供されています。黒孔雀は、フィッシュヘッドが界隈単位で交流を持っている相手としては2024年8月12日時点で唯一のものです。この関係に至った経緯は遅くとも2022年8月にまで遡れますが、正確なきっかけは分かっていません。
しかしながら、フィッシュヘッドのコミュニティに参加しているユーザーは、フィッシュヘッドアバターしか使わないとは限りません。ほとんどのユーザーはフィッシュヘッド以外の界隈とも交流を持っており、界隈や相手によってアバターを使い分けることが一般的です。
フィッシュヘッドの人数は一定せず、正確に数えることも困難ですが、フィッシュヘッド集会でよく使われるワールドである「長魚頭村山口」の人数上限が2024年8月12日時点で77人であることから、VRChat上での一度のイベントに集まる人数は数十人の規模だと推測されます[7]。Discordサーバー「fish heads」の参加人数は2024年8月12日時点で134人であり、この方たちは必ずしもVRChat上で集まらないまでも他のフィッシュヘッドと交流を持ちたいと考えているとみなせます。従って、コミュニティ規模は2024年8月上旬時点で100人前後と言えるでしょう。参加に承認を要さないVRChatグループ「フィッシュヘッドたち」もあり、2024年8月12日時点で282人が参加していますが、VRChatグループはイベント開催が通知される程度の機能しかなくDiscordに比べて参加のハードルが低いため、この参加人数に見るべき意味を見出すのは現状では難しいところです。
一方、活発にコンテンツを発信していて中心的な役割を担うとみなせるユーザーはいます。例えばマンボーマンの作者でありフィッシュヘッド集会の主催者であるカヤ(kaya)さん(以下「カヤさん」)、カヤさんと共に最初期のフィッシュヘッドであり「魚頭族族長」を名乗るzhoney666さん(以下「ジョニーさん」)、ワールド「長魚頭村山口」や「Sushi Aquarium」(Kaiiiiiiiiiさんとの共同制作)の作者であるlong-potatoさんなどです。
本稿では、Discordサーバーの参加者やtwitterで言及する人たちを含めた広めの交流圏を「コミュニティ」と呼び、集会に参加したりコンテンツを作ったりすることでVRChat内部での交流に直接参加する範囲を「界隈」と呼びます。また、VRChatのユーザーのうちtwitterやnoteなど他メディアでのユーザー名がVRChatと異なる方については、原則としてVRChatのユーザー名で表記します。
生痕
フィッシュヘッドの活動の痕跡は、VRChat上に目に見える形でいくらか残されています。2024年8月12日時点でフィッシュヘッドに関連するワールドは、Publishされた順に、
KAYA Avatar World with FISHHEAD(カヤ(kaya)、2023.04.19)[2]
長魚頭村山口 (long-potato、2023.08.28)[7]
アン干゙ーマ゚ノ ネΘオ土゚ ⁄ japanese fish shrine(Fuganbya、2024.01.09)[8]
魚頭昇り (ふらっと(flat)、2024.05.06) [9]
FISH HEAD MUSIC (ゆえ / yue、2024.07.06)
Fish Field XP (Fuganbya、2024.07.30)[10]
があります。これらの中核をなすのがKAYA Avatar World with FISHHEADで、2024年7月31日時点で215種類のアバターのペデスタルが設置されており、その大多数がフィッシュヘッドです。なお「長魚頭村山口」は、2024年7月21日にバーチャルマーケット2024 Summerに合わせて開催されたフィッシュヘッドアバターの展示会「Fket」に合わせて、「Fket 2024 Summer - 長魚頭村山口」に改称されて展示会用に改変されています。「FISH HEAD MUSIC」は、黒孔雀との共同開催イベントの際に使われるワールドですが、2024年8月12日時点ではPrivateであるため、参考文献欄にリンクを記載しません。
また、フィッシュヘッドを直接の主題としないもののフィッシュヘッド関連オブジェクトのあるワールドとして、
Sushi Aquarium 海洋棟 (Kaiiiiiiiii、2024.02.04)[11]
Sushi Aquarium 淡水棟 (long-potato、2024.02.04)[12]
Vket2023W Dragon's Back -Montynemesis- (VirtualMarket5、2024.01.15)[13]
Vket2024S Komorisaki Village - Hikiko-Mori Tale (VirtualMarket5、2024.07.20)[14]
Vket2024S Komorisaki Village - Komori-Matsuri Tale (VirtualMarket5、2024.07.20)[15]
Vket2024S VketMall˸ Open Closet (VirtualMarket5、2024.07.20)[6]
があります。
歴史
フィッシュヘッドの起源については既に多くのことが分かっています。VRChatで開催されたVket 2023 Winterの一般会場の一つ、「Vket2023W Dragon's Back -Montynemesis-」にあるブース「FISH HEADS」の壁画には、「令和四年にカヤがマンボウマンを作った ロンポテ」という文章がみられます[13]。「ロンポテ」は壁画作者のlong-potatoさんを指しています。
2022年10月29日、あふろだアフロさん主催の集会「第21回questアバター制作会」にて、カヤさんは「マンボーマン」を発表しました[16][17][18]。このマンボーマンが最初のフィッシュヘッドとされ、2024年8月現在もフィッシュヘッドの代表的な姿として扱われています。マンボーマンは同11月1日にBOOTHで発売されました[1][19]。カヤさんはマンボーマンに先立って、その頭部にあたるマンボウをアバターとして制作・公開していますが、このマンボウのマテリアルの制作にはちとせさんが協力しました[20]。また、マンボーマンの胴体の色をマゼンタにしたこともちとせさんの発案であるとされています[21]。
2022年12月3日、マッスンさん主催の集会「第57回VRCアバター自作交流会」にて、透明な体の手にカジキをつけて泳いでいるように見せるアバターを作っていたnanaminamiさんがカヤさんと出会い、テクスチャやマットキャップについて情報交換をしました[22][23]。
2023年2月4日には、「第59回VRCアバター自作交流会」にて、ジョニーさんがカヤさんとは独立に作っていた、架空の魚を頭にした「フィッシュ竹中」を発表しました[24][25]。この参加はジョニーさんのフレンドのpenchan77さんを引率するためのものだったとみられます[26][27]。「フィッシュ竹中」は漫画『ギャグマンガ日和』に同名の登場人物がいることから、後に「御魚金次郎」または「お魚金次郎」に改称されます[28][29][30]。ここでカヤさんとジョニーさんが初めて出会ったことが界隈としてのフィッシュヘッドが成立した瞬間とされ、また「フィッシュヘッド」という呼称がVRChatのユーザーのtwitterに登場するのはこのときが最初であることから、この呼称もここでジョニーさんが初めて提案したものと考えられます[31]。
2023年2月22日、nanaminamiさんがカジキを頭にしたアバターを完成させ、カヤさんとkabocha_さんに報告しました[32]。nanaminamiさんがこのアバターを同3月11日の「第60回VRCアバター自作交流会」に持っていったところ、フィッシュ竹中を使っていたジョニーさんと初めて出会い、カヤさんのマンボーマンも合わせてフィッシュヘッドが三人揃いました[33][34]。このときのnanaminamiさんのカジキのアバターのことを、後にzhoney666さんは「カジキ1世」と呼んでいますが、当時からその名前がついていたかは定かでありません[35]。
2023年4月19日にはKAYA Avatar World with FISHHEADが公開され[1]、2023年5月26日にはBlenderUnity初心者集会(現BlenderUnity交流会)にて、KuroMiomiさんが「クマノミガール」を持参しカヤさんやnanaminamiさんに報告しました[36][37]。しかし、それ以前からカヤさんにはクマノミガールを見せていたものと思われます[38]。フィッシュヘッドが写真を撮るときにカメラに体側を向ける習慣もこのBlenderUnity初心者集会のときに発生したという説があります[36]。
その後のフィッシュヘッド界隈の拡大の過程はあまり明らかになっていません。アバター自作関連集会の参加者を中心に徐々にフィッシュヘッドのバリエーションが増えていったことが推測されるのみです。ジョニーさんが「族長」と呼ばれるようになった経緯についても調査が必要です。
カヤさんが生物学の論文を参照してモデルを制作しており、VRChatの学術界隈との交流があったことから、学術・技術・哲学対話界隈には2023年前半からフィッシュヘッドが認知されていました。2023年1月中旬以降に小林くん-NeedForestさん(以下「小林くん」)が非人間アバターの姿で活発に学術・哲学会話界隈に出入りしたことも、フィッシュヘッドの認知を広げる一因になったと考えられます。
2023年7月1日と同2日には第1回フィッシュヘッド集会が開催され[39]、2023年12月のバーチャルマーケット2023 Winterでは初めてフィッシュヘッドの名を冠したブースが出展されました[12]。2024年7月には独自の展示会が開かれるに至っています[40]。twitterで確認できる限りの、2024年7月までのフィッシュヘッド集会の開催日時は以下の通りです。
第1回 2023年7月1日・2日 21:30-22:15 [39]
第2回 2023年7月23日・29日 21:30- [41]
第3回(副題「納涼!魚頭肝試し」) 2023年8月14日 22:30- [42]
第4回(副題「主役は君だ!魚頭文化祭」) 2023年10月1日 21:30-22:30 [43]
外伝(副題「魚頭体育祭」) 2023年10月15日 [44]
第5回(副題「魚頭ハロウィン」) 2023年10月31日・11月5日 21:30- [45]
第6回(黒孔雀と共同開催) 2023年11月26日 21:30- [46]
第7回(Vket散策) 2023年12月10日 21:30- [47]
第8回(副題「We're fish with a merry Christmas」「マンボー年会」「新春ニシン年会」) 2023年12月26日 21:30-、2023年12月28日 22:00-、2024年1月3日 21:30- [48]
第9回(Sushi Aquarium散策) 2024年2月4日 21:30- [49]
第10回 2024年2月29日 22:00- [50]
FISH HEADS music 2(黒孔雀と共同開催) 2024年3月23日 21:00-24:00 [51]
FISH HEADS season2 2024年4月28日 21:30-、2024年5月5日 21:30- [52]
FISHHEADS REvolution 2024年5月26日 21:30-、2024年6月1日 21:30- [53]
FISHHEAD MUSIC vol.03(黒孔雀と共同開催) 2024年7月19日 22:00-、2024年7月26日 22:00-、2024年8月4日 23:00- [54][55]
タイトルなし(Vket散策) 2024年7月27日・28日 21:30- [57]
タイトルなし(Vketパラリアル横浜散策) 2024年8月4日 16:00- [58]
第185回題名のないお茶会(Fket二回目) 2024年8月11日 14:30-16:30 [59]
第2回以降はVRCグループ「フィッシュヘッドたち」にjoinする形で開催されています。
以上のように、フィッシュヘッドは既に一つの界隈と呼べる規模の人数を擁しており、当事者たちもコンセプトを共有する集団としての広義の集団的アイデンティティを形成しており、界隈の外のユーザーからもその存在と生態が認識され、大規模イベントにも参加することでさらに認知を広めつつあります。このような在り方は、特に界隈の外のユーザーとの関係において、VRChat内における一つの民族になぞらえることができます。
第2章 文明の階段を登る
分析対象としてのフィッシュヘッド
申し遅れました。私はVRChatユーザーのソーサツ・チエカと申します。美少女をめぐる社会的・心理的現象に関心を持っており、その一環としてソーシャルVRを舞台にした小説を書いたり、「美少女場の量子論」と名付けた社会物理学上の仮説を研究したりしています。私自身はフィッシュヘッドではなく、ただ一つの美少女型の姿を常に使います。
最初にフィッシュヘッドと接触を持ったのは2023年6月12日、フレンドの小林くんとライテルさんに会うためにjoinしたワールド「仮想山 観心寺 The Japan Temple」で偶然「ニジマスマン」の姿のカヤさんとお会いしたときのことでした。以来少しずつフィッシュヘッドの方たちとご一緒する機会が増え、また私が時折twitterで言及する性癖や表現の自由などへの関心が一部カヤさんや小林くんと共通していることも手伝って、現在ではフィッシュヘッドの外部に立つフレンドとして交流させていただいています。とはいえ面識があるのは少数のフィッシュヘッドに留まります。
私はtwitterにおいてたびたびフィッシュヘッドに言及してきました。私自身は美少女という様式に、人間の好感や欲望を集めやすいという点で特権的な地位を認めるため、ともすればフィッシュヘッドと対立しかねない立場です。しかし一方で、私はかねてより関心を持っている表現の自由(特に、性表現の自由な流通)というテーマについて、欲望が記号的に表現されたものを多数参照しながら性癖を自己分析することが望まない加害を減らすという立場をとるため、フィッシュヘッドを分析可能かつ擁護されるべき特殊性癖として扱うことを選びました。
この「特殊」という部分になおも表れている、私とフィッシュヘッドの立ち位置の違いを読み取るのは容易なことです。私の他に複数人のVRChatユーザーが、フィッシュヘッドを自分自身のプレイスタイルとは異質なものとみなし、フィッシュヘッドたちがそれらのアバターを選びコミュニティに参加し続ける動機を分析しようとしてきました。それらの分析は、アバターが人の心理や行動に与える影響、逆に人がアバターに期待するものの一側面を示すとともに、異なる動機で異なるコンセプトのアバターを使っている人々が混在する社会で起きることを理解する助けになるでしょう。言い換えれば、現代VR空間における多文化共生を考える材料になるということです。
本章では、2024年8月12日現在で提出されているそれらの言説を概観した上で、私自身の分析を述べます。
動機1:脱規範説
2024年7月20日に公開された、いとよ(ITOYO)さん(以下「いとよさん」)のnote記事『フィッシュヘッドになったら新しい扉を開きかけて、あわてて閉めた話』では、普段単一の美少女アバターを使っている筆者が初めてフィッシュヘッドアバターを着た時の感想が述べられています[60]。いとよさんは、最初は自分が「泉のマンボウ」の姿であることを気持ち悪く感じていましたが、他のフィッシュヘッドたちと遊んでいるうちに徐々に心地よく感じるようになったと述べた上で、その理由を、その場の全員がフィッシュヘッドであることによって、美しいものは良いという価値観や人を不快にさせず円滑に他人と交流すべきという規範から自由になれるからだと分析しています。
このような理解は「脱規範説」と呼べるものです。主流であるアバター様式(ここでは美少女)から外れたアバターを集団で使うことにより、主流の規範をその集団内に限って無効化し、真の自己実現という目標を思い出すことができる、その効果を得るためフィッシュヘッドを使う、というロジックです。さらに、ソーシャルVRの外にまで射程を延ばして考えることで、「VR内での美少女アバター」対「VR内外を問わない、美少女アバターでない外見全て」という対比において、物理肉体とフィッシュヘッドは同じ側にあるとも主張されています。
この仮説は、「なりたい自分になれる」と謳われるソーシャルVRのアバター選択が、なおも社会規範によって歪められていることを指摘するものであり、また議論の射程を自然に物理現実にまで拡張する点で興味深いものです。しかし一方で、ここでの議論は「VR内外を問わない、美少女アバターでない外見全て」について当てはまりそうなものであり、なぜフィッシュヘッドでなければならないのかという疑問に答えるものではありません。
動機2:帰属意識説
「動機1:脱規範説」で挙げたいとよさんの記事へのコメントとして、tamtam_07さんはtwitter上の引用RTで以下のように述べています[61]。
この仮説は、フィッシュヘッドアバターが主流の規範から外れたものであることを認めた上で、それを使うことがフィッシュヘッド界隈の独立性(言い換えれば、主流の規範からの逸脱をさらに強調すること)と界隈への個々のユーザーの帰属意識の強化に役立っているとするものです。このような仮説を「帰属意識説」と呼ぶことにします。
確かに、全員がフィッシュヘッドになって横を向いて映っている集合写真をSNSで公開することには、フィッシュヘッドという界隈が存在することを外部に周知する効果があります。主流である美少女アバターと異なり、同コンセプトのアバターを使うという圧力がなければ自然には発生しなさそうな状況だからです。また、その場の流れで複数人で同じアバターになって楽しむことの多いVRChatにおいても、集合写真はイベント後にSNSで公開されることが暗黙の了解になっているため、集合写真に映るアバターの選択には特別な意味合いがあります。それは、「自分が何者としてここに参加しているか」を反映するということです。その点でフィッシュヘッドアバターはコミュニティとアイデンティティ両方の強化に寄与していると言えるでしょう。
一方、この仮説も反規範説と同様に、「なぜフィッシュヘッドでなければならないのか」を説明しません。加えて、剃髪や刺青と異なり、フィッシュヘッドの外見になることは不可逆ではなく、いつでもやめることができるという点にも留意する必要があります。
動機3:没個性説
元の発言者を特定できないものの、「没個性説」と呼ぶべき別の仮説があることがカヤさんのtwitterでの発言から推測できます[62]。
この発言の「没個性になれて」の部分が指しているのが、VRChat全体の中での没個性なのか、フィッシュヘッド界隈の中での没個性なのかは判然としません。しかしどちらであるとしても、この「没個性」は正確には、個々のユーザーのパーソナリティをフィッシュヘッドアバターに反映しづらいということを(その真偽はどうあれ)指していると考えられます。また、多くがBOOTHで無料配布されていることからも窺えるように、フィッシュヘッドは互いにフィッシュヘッドアバターをcloneし合うことに寛容であり、物理現実の魚群のように同じアバターが多数群れている様子を面白がる傾向もあります。そのような場では、フィッシュヘッド集団の中に埋没する感覚はあるはずです。
一方、VRChat全体の中での字義通りの意味での没個性だとするなら、美少女アバターに交じってフィッシュヘッドを使うこと自体が強烈な自己主張でありえますし、フィッシュヘッド界隈の中での字義通りの没個性だと解釈するなら、精力的に新しいフィッシュヘッドアバターや関連コンテンツを作り続けていて名前の認知されているユーザーには当てはまらないことに注意するべきでしょう。
動機4:無役割説
「動機1:脱規範説」で取り上げたいとよさんの記事と同時期に、あるいは記事に呼応してか、Shajinさんはフィッシュヘッドの在り方や立ち位置がVRChatの別のアバター改変界隈であるパラディンフォースに近いとした上で、そう考える理由として「没我的な集団性、中心のあいまいさ、物語構築の意志」を挙げています[63][64] 。ここでの没我という言葉は、何らかの形で集団に同調する意思を示せば、それ以上特定の役割を求められることなく集団の中に受容される、という状況を指していると読み取れます[65][66]。そして中心のあいまいさとは特定の役割を求められているユーザーがいないこと、物語構築の意志とは個々のユーザーの行動を共通のコンセプトで意味付けしようとすることを指しているとみられます。
この意味における没我は、「動機3:没個性説」で取り上げたような没個性とは異なるものです。与えられている役割によって個人を識別したり価値を判断したりすることがないなら、たとえ個々人のアバターや活動にパーソナリティが反映されていたとしても、その集団は「没我を実現する集団」とみなすことができます。従って、このような集団は個人に帰属意識を与えたりただ埋没させたりするに留まらず、自己実現すらもたらすことができます。フィッシュヘッドがこの性質によってユーザーを惹きつけているという仮説を「無役割説」と呼ぶことにします。
フィッシュヘッドには確かにカヤさんやジョニーさんのような代表的なユーザーがいますが、この方たちもフィッシュヘッドの活動に目的を設定したり個々のユーザーの活動を目的に沿って制約したりしているわけではないため、中心は依然として曖昧だと言えるでしょう。そして個々のユーザーの活動やコンテンツは、集団の明示的な目的のためになされるのではなく、「人間とは異質で、不気味に誘う生き物たち」とでも呼べるようなコンセプトに沿って行われ、また解釈されているように見えます。このコンセプトが特定の舵取り役によって設定されるのではなく、集団そのものによって自律的に生まれてくるのだというニュアンスが、「没我」という言葉選びからは読み取れます。
パーソナリティをアバターに反映しないこと、あるいは人間においてするのとは異なる形で反映すること、同種のアバターで群れることなどについては、フィッシュヘッドと同じく人外であり改変アバターが多く無料公開されているAkyoのコミュニティや、ほとんど同じ外見を持っていて一つの物語的世界観を共有しているますきゃっとのコミュニティなどと比較検討する必要があります。例えば小林くんが光学迷彩Akyoの体験に寄せて「いるけどいない感じ、すごく居心地が良かった」と述べているのも、役割を持たないことが許される状況を透明なアバターを通して意識したためだとみることができます[67]。
動機5:創作促進説
以上の他のユーザーによる仮説を受けて、私はさらにいくつかの仮説を提示したいと思います。
上に挙げた四つの仮説では説明できない、なぜフィッシュヘッドでなければならないのかという点に対しては、「創作促進説」と「性癖説」という二つの仮説を立てることができます。まず、創作促進説について検討します。
水生生物を頭にするという特徴は、主流である美少女の顔を使えないという意味では強い制約に見えますが、同時に水生生物というカテゴリの中にある豊かな生物相に目を向けさせるものです。例えばエイの仲間だけを見ても、マンタ(マンタヘッドとマンタマン)、アカエイ、イトマキエイ、マダラトビエイ、ウシバナトビエイ、ヒマンチュラ・チャオプラヤのフィッシュヘッドがいます[2]。物理現実の生き物から着想を得てアバターを作れることは新しいアバターのアイデアを生みやすいと考えられますし、胴体やギミックとの組み合わせではバリエーションはさらに増えます。さらにテクスチャに凝ることもでき、例えばジョニーさんは「カツオマン」の制作にあたって、テクスチャ画像を得るために本物のカツオを一尾購入しています[68][69]。
このように、フィッシュヘッドアバターの制作はフィッシュヘッドというお題に沿った大喜利のような性格を持っています。このフィッシュヘッドというお題は「魚類を頭にする」というような厳密なものではなく、マンボーマンから始まりシャコや寿司などへと範囲を拡大していくさなかにあるものです。おおよそのイメージを共有しながらも、過去に作られたコンテンツからの連想ゲームのような形で常にその定義を少しずつ拡張しようとする在り方は、現代のネットと共進化するタイプのコンテンツには頻繁にみられるものです。例えば「オタク」「ライトノベル」「美少女」といった言葉は明確な定義を持たず、あるものがその概念に含まれるかどうかは、既にそこに含まれているものからの連続性によってのみ判断されます。マンボーマンとシャコタウロスとスシマンが同じフィッシュヘッドに含まれる事態は、このような連続性に基づく定義によってのみ理解できるものです。
一般に不気味なものとして扱われ万人受けしないという事情が、かえって実験的なコンテンツ制作を促すという側面もあるはずです。フィッシュヘッドと同様に人間ではないというコンセプトのもとでアバターのアイデアを出し合い実装し合う界隈であるAkyo界隈と比較して、フィッシュヘッド関連のアバターやワールドは「狂気」と評されることが少なくありません。これは魚の不気味さだけに向けられたものではなく、制作者がそれを先鋭的な形で取り入れていることへの評価でしょう。逆に、魚を頭にするというコンセプト上、先鋭的に見える形にならざるを得ないとも言えます。最初のマンボーマンのデザインがその後の界隈の方向性をある程度決めてもいるでしょう。オリジナルのデザインの制作者が現在でもコミュニティの内部にいて積極的にコンテンツを作り続けている点もAkyo界隈と異なりますが、このことは「マンボーマン路線」を長く維持するのに寄与していると考えられます。
動機6:性癖説
加えて私がフィッシュヘッドとの接触の初期から注目していたのが、水生生物が持つ、人間のある種の原初的な興奮を喚起する性質です。例えば子供は生活環境が許せば蛙や魚を探して遊ぶのを好むことも多いですが、これは珍しさや動きの面白さに加えて、柔らかく湿ったものが与えてくる(または想起させる)感触が快楽に繋がるからだとも考えられます。文化人類学者の中沢新一は次のように書いています[70]。
ここでの中沢の議論はラカン派精神分析を援用したものであり、ラカン派精神分析は常に言語(記号・象徴)の支配する意識と言語以前の無意識との境界部分に欲望や自我の起源を求めます。母子の分離が起こって言語が獲得された後でも、世界は時折言語では表しきれない姿を覗かせることがあり、このような「言語でできた世界の破れ目」を対象aと呼び、それを現出させた具体的なもの(ここでは蛙の感触など)が執着の対象となると考えます。
このような執着の対象となりうるものをより探しやすくするために、私は「言語では表しきれない」という性質を「知覚のオーバーフロー」あるいは「無限性」と言い換えることを提案しています[71][72]。つまり、自分の知覚が(言語を通して納得できるところまで)処理できる刺激の範囲を何らかの意味で超えることを予感させるものが興奮を引き起こすのではないかと考えています。典型的な性行為に含まれる、他者の粘膜の感触や刺激の繰り返しなどもこの条件を満たすものですし、水生生物にもその要素が多く含まれます。そのため、私は性的興奮と生き物観察の興奮を、同じ心理機能に根差したものだと考えます。
水やその手触りは母子一体の時期の母親の皮膚や子宮内壁の手触りであると同時に、海や池などの環境から連想される大きなもの、中の窺い知れないもの、それでいて人の元いた場所と繋がっているものというイメージを伴います。また凹凸の少ない体表は手触りの途切れなさを想起させますし、体温の低さや表情の乏しさ、人間からかけ離れた形などの「異質さ」さえも、知覚の限界を超えて興奮をもたらすものです。マンボーマンに代表されるようなディテールのない胴体も、同種の興奮を強化しているかもしれません。
また、生き物の個体数の多さやバリエーションの多さも、知覚を圧迫したり「まだ知らない種類がいるかもしれない」という感覚を引き起こすことで言語の世界の破れ目を示すものとなり、自然観察の面白さの一端を担っています。魚や水辺の生き物に対して感じるそれらの感覚を、KAYA Avatar World with FISHHEADはよく再現しています。
このように、魚自体への関心やフィッシュヘッドのデザイン自体の魅力によってフィッシュヘッドのコミュニティに参加しているユーザーは一定数いると考えられます。例えばカヤさんは日常的に物理現実で生き物を探したり飼ったりしていますし、long-potatoさんは昔から生き物が好きだったと「メタカル最前線」のインタビューに対して答えています[73]。
動機7:観客説
「動機5:創作促進説」の節で検討したように、フィッシュヘッドは面白いコンテンツを生み出す条件のいくつかを備えています。また「動機6:性癖説」で検討したような水生生物の魅力は、なることよりも先に見ることによって意識されるでしょう。水生生物であること自体を考慮に入れないとしても、フィッシュヘッドはモデリングやシェーダーの技術の高い集団としても認知され始めています[74]。そうだとすれば、フィッシュヘッドコンテンツを「見て楽しむ」ためにコミュニティに参加するユーザーが一定数出てくるはずです(例えば、私はこれにあたると思います)。もちろんコンテンツ制作者も他のユーザーの作ったコンテンツを見るときには鑑賞者の立場になるのですが、ここでは自分ではコンテンツを作らずもっぱら見るだけの層を考えます。フィッシュヘッドの活動が拡大し、知名度が上がるにつれ、このような層が増えてくると予想されます。
このようなユーザーが界隈に定着すれば、帰属意識説にも部分的に当てはまることになるでしょう。仮にフィッシュヘッドアバターにならないとしても、集会などにいて集合写真に映ることで、「主流から外れたものを受け入れられる自分」というアイデンティティを強化できるからです。
つまりこの観客説に当てはまるユーザーは、創作促進説の裏側に生まれる存在であり、性癖説を併せ持つ場合があり、時間経過とともに帰属意識説にも当てはまるようになりうるものです。ただし没個性説とは共存しませんし、観客であることは一つの役割として機能するため、無役割説とも共存しないと考えられます。また、フィッシュヘッドの中に非フィッシュヘッドアバターで混じることで、フィッシュヘッドコミュニティの外の規範を持ち込む(つまり、脱規範説を脅かす)可能性があります。
ここまでに挙げた仮説は、フィッシュヘッドや魚そのものを求めるか何かからの脱却のためにコミュニティに属するかという「積極的―消極的」軸、およびフィッシュヘッドになるかフィッシュヘッドコンテンツを見るかという「なる―見る」軸の二つの軸からなる平面の上のどこかに位置づけることができます。
この分類は、フィッシュヘッド以外のコミュニティへの参加動機を分析する上でも利用できます。特に観客説を動機の一つとして含むことによってコミュニティの性質の時間変化を考慮することができるため、サキュバスや両声類のように、コンテンツを受容するだけの参加形態も許されているコミュニティの分析には有用だと期待されます。ただしコミュニティによっては、性癖説に当てはまるユーザーを過剰に多く、または過剰に少なく見積もるおそれがあることには注意が必要です。第3章の「動機8:馴致啓蒙説」で述べるように、まさにフィッシュヘッドにおいて性癖説は非フィッシュヘッドによって過小評価されてきました。
第3章 魚頭戦争
フィッシュヘッドより
それでは、フィッシュヘッド自身は自分たちのことをどう考えているのでしょうか。管見の限り、フィッシュヘッドはそれぞれの仮説に表立って賛否を述べることは多くなく、非フィッシュヘッドによる分析を通して分析者の考え方や世界認識を垣間見ることを楽しんでいるようです[62][75][76][77]。
ワールド「Sushi Aquarium 海洋棟」やヤドカリアバターの作者であるKaiiiiiiiiiさんは、「技術を持った人間がわざわざ時間を割いて工夫しながら」フィッシュヘッドコンテンツを作っていることを魅力だと評しています[78]。これは創作促進説と観客説に近い立場に見えます。
小林くんはオパビニアアバターを使ったときのことについて、「内面的な自己認識に一致する部分があり、それを引き出せる姿形」と述べています[79]。これは没個性説と逆の、「個性一致説」とでも呼ぶべき立場にあたると言えるでしょう。
しらきさんはフィッシュヘッドの内部の立場から、没個性説に疑問を呈しています[80]。
ふらっと(flat)さんは男性が美少女アバターを使うことによってジェンダー規範から解放されるという言説に呼応する形で、「可愛いアバターよりもフィッシュヘッドの方が「「解放」」されるよ」と述べています[81]。これは没個性説か無役割説にあたるでしょう。また別の場面で、フィッシュヘッドにとってアバターは作品であり、自己を表現するものという意味合いは薄いとも述べているのは、創作促進説を動機に持つユーザーを指していると考えられます[82]。
異化と同化
フィッシュヘッドの界隈内のユーザーがフィッシュヘッドコンテンツで遊ぶに際して、「なぜフィッシュヘッドになるのか」という議論は本来必要ないはずであり、数少ない言説も外部の言説に反応する形で出てきたものです。一般に、当事者が自分たちの行動の動機について語るのは、自分たちが主流から外れていることを意識した上で理論化の必要に迫られたときです。多くの場合それは迫害や病理化・犯罪化への抵抗という形をとります。フィッシュヘッドにとってそのときがまだ本格的に到来していないのは喜ばしいことですが、あらゆる少数派の文化がそうであるように、やがてそのときが来る可能性は高いと私は考えています。
前章で挙げた仮説は全て、フィッシュヘッドの外部からなされた分析の類型です(その「外部」には私も含まれます)。分析がなされるためには、その対象が分析者にとって分析されるに値するものとみなされる必要があります。それは、分析者にとって当たり前でないもの、特殊なものとみなすことと同義です。フィッシュヘッドの場合、VRで使用されるアバターの多数を占める美少女でないことや、魚部分のリアルな作り込み、頭と胴体の不連続性などが注目され、不気味でグロテスクなイメージのもとに語られることが少なくありません。その典型をTsubameya Kogaさんのブログ「ツバメヤロク」の記事にみることができます[83][84]。フィッシュヘッド自身もこのイメージを受け入れているようですが、このイメージがあればこそ、「なぜ、好きこのんでそれになるのか」ということが問われるに値する問いになります。
相手の存在を紹介するだけでなく、動機にまで踏み込んで分析することは、相手が自分の持っている理論的枠組みに収まるだろうという予断、または外部に立つ自分の方が当事者である相手よりも的確に言語化できるだろうという予断を前提とした、ある種傲慢な行いにならざるを得ません。これは前近代に(あるいは現代でも)西洋人が東洋人の文化に対して行ってきたことや、精神分析家が患者に対してしばしば行うことであり、権力や武力を背景にして相手の在り様を決めつけ、侵略や治療的介入を正当化するものです。VRChat上の「少数民族」であるフィッシュヘッドに向けられる分析的な視線も、同じ傲慢と危うさを持っているのではないでしょうか。
それにもかかわらず私が本稿でフィッシュヘッド外の言説のいくつかを紹介したのは、それらの言説によって説明しきれないもの、私たちが世界へと投げかける言語という網から常にはみ出していくものに宿る輝きを、より鮮明に浮かび上がらせたいと思うからです。そして現に、前章で挙げた動機のどれにも属さず、「積極的―消極的」「なる―見る」軸の上に位置づけることのできない言説が、フィッシュヘッドの内部から発せられています。ここではそれを「馴致啓蒙説」と呼ぶことにします。
動機8:馴致啓蒙説
これまで挙げた仮説は暗黙のうちに、「フィッシュヘッドのコミュニティのメンバー間で何かをする動機」を明らかにしようとしていました。これは非フィッシュヘッドによる言説が、フィッシュヘッド集会などフィッシュヘッドが集まるイベントのタイミングで、告知や感想に誘発されて交わされてきたものであり、「身内で集まって遊ぶ集団としてのフィッシュヘッド」を想定したものだったからです。しかし実際にはこれに留まらず、コミュニティ外で単独または複数人でフィッシュヘッドコンテンツを露出する行いもみられます。
例えば、普段から非フィッシュヘッドの前でもフィッシュヘッドアバターを使うユーザーがいますし、一部のフィッシュヘッドは自分たちに興味を持った外部のユーザーをフィッシュヘッドにしようと積極的に勧誘し、時にはフィッシュヘッドアバターや魚のモデルをBOOTHのギフトとして送りつけることもあります。勧誘は断った場合に危害を加えるような強引なものではありませんが、これに応える形でフィッシュヘッド界隈に参入したユーザーもいます[85][86][87][88][89]。また、「生態」の節で述べたように、フィッシュヘッド集会はPublicもしくはGroup Publicで開かれることがあります。
このような外向的なふるまいに意図的な側面があることを、カヤさんの発言から窺い知ることができます。もちろん、カヤさんがフィッシュヘッドの代表的ユーザーの一人であるからといって、その意見をフィッシュヘッドの総意とみなすことはできないのですが、多数派の好みから外れるとみなされる表現を使うことについてカヤさんは長期にわたって一貫した主張をしており、フィッシュヘッドの活動のうちカヤさんの裁量による部分にはその意見が反映されていると考えられるため、ここでカヤさんの意見を取り上げます。
カヤさんは虫が好きであることを公言しており、人前でゴキブリをはじめとする虫アバターを使うことが非難されるという状況に対してしばしば異議を表明してきました[90][91]。その際の論法の中核は、「個人が嫌悪感を持つこと自体はやむを得ないが、その嫌悪感によって他人の権利を制限することは最小限にするべきであり、長期的には嫌悪を社会的に再生産することも止めるのが望ましい」という主張です[92][93]。
嫌悪感を理由にして他人の表現を制限することへの批判は、VRChatの外で虫や性的な事柄に関する表現が議論されるときにもみられますが、カヤさんの主張で注目すべきは嫌悪の再生産をも批判している点です。個々人の好悪の感情を変えることは難しいですが、嫌悪が社会通念として広まることに対しては、歯止めをかけるための現実的なアプローチが表現者の側からもできるからです。
嫌悪が再生産される例としてカヤさんは、虫に興味を持った子供に対して保護者が「危険で、かつ気持ち悪い」と教えることや、コンテンツをSNSに投稿する際に「閲覧注意」の注意書きやセンシティブ設定を使うこと、特定のアバターに嫌悪感を示すユーザーのために棲み分けや一時的なアバター変更を提案すること、またその棲み分けに従って自重すること、を挙げています[94][95][96][97]。そして、特定の種類のコンテンツへの嫌悪が再生産されて広まると、悪意を持った人はますますそのコンテンツを使って人に危害を加えるようになり、元々そのコンテンツを好んでいた人はますます肩身が狭くなるとも主張しています[98]。人の持つ嫌悪がどこまで後天的なものかは明らかになっていませんが、本来自分自身ではさほど強い嫌悪感は感じていなかったユーザーでも、周囲の少数のユーザーが表明した嫌悪に同調し、特定のアバターを使うユーザーを排除するといった片方に大きな負担を強いる手段を容認するような事態があることにもカヤさんは懸念を表明しています[99]。棲み分けに本来必要な「好きな人に届く」ことさえ、排除された状態ではままならなくなるとも[100]。
カヤさんは実践面では、嫌悪感を持つ人に対しては、嫌悪感の出所を自分自身に問い、コンテンツへの嫌悪とそれを好む・使う人への理解とを分けて考えた上で、相手を排除する前にHide Avatarのような自衛手段を視野に入れることを勧めています[101][102][103]。対して嫌悪される側としては、既存の美の基準に迎合しないまま嫌悪を乗り越えさせるようなデザインのアバターを作ることと、嫌悪されていたような種類のアバターが人目に触れる機会を増やして人々を慣れさせることを宣言しています[104][105][106]。
上記のことを、カヤさんはマンボーマン以前にはハルキゲニアのアバターで人前に出ることで実践していましたが、同じ方針がフィッシュヘッドにも受け継がれていると考えるのはさほど不自然ではありません。現にフィッシュヘッドはPublicに出ることによって知名度と新規参入者を獲得し続けており、互いに価値観を押しつけないという規範が物理現実よりも強い世界であるVRChatにおいてこのような啓発活動の成功例は稀です。のみならず、マンボーマンに胴体があることや、アノマロカリスの体表に使われている虹色のマテリアルなどにも啓発的な意図を読み取ることは不可能ではありません。これらは生き物を写実的に再現して鑑賞したり教材に使ったりするためには必要のない要素ですが、人の嫌悪に抵抗するという補助線を引いて考えれば、そのシュールな面白さによってリアルな作り込みの生物モデルに親しみを抱かせる意図があると推測できるようになります。
そして、ソーシャルVRにおいて既存の美意識に収まらない表現が増え、それらにユーザーが慣れて受容できる風潮が浸透するにつれて、物理現実にもその風潮が漏れ出していくであろうことをカヤさんは仄めかしています[107][108]。
こうした意図はフィッシュヘッドが集団として活動する中で明示されてはいませんが、活動の根底には常に流れているはずのものであり、そして現在少しずつ実を結びつつあるものです。
本章では、前章で挙げたような仮説や本稿自体が持つ、フィッシュヘッドを自分たちとは異質なものとみなした上で自分たちの理解できる枠組みに当てはめようとする自文化中心主義的な姿勢を指摘した上で、そこに収まらないフィッシュヘッド自身の活動動機を、公開情報をもとに可能な範囲で推測しました。私たちがフィッシュヘッドの観察や分析を試みる限り、それに対峙する形で、馴致啓蒙説は立ち上がってくるものです。恐らくは、私たち自身がフィッシュヘッドになるまで。
おわりに
本稿全体では、まず現時点で分かっているフィッシュヘッドの活動内容と歴史を整理した上で、奇異に見えるフィッシュヘッドになる理由について外部のユーザーによってなされた分析を7類型に分類し、最後にフィッシュヘッド自身が自分たちの活動について発した言説の一例を紹介しました。フィッシュヘッドをめぐるこうした議論は、集団のアイデンティティと集団間の摩擦・権力関係といった、現代の社会学でもなお重要であるテーマを含んでいます。物理現実において長い間議論されてきたそれらのテーマがソーシャルVR空間においても見出せることは、社会学にとってのフロンティアの存在を示している以上に、人間(他に的確な言葉がないためここでは便宜的にそう表記します)の普遍的な性質がそれを支えていることを示しているでしょう。また同時に、ソーシャルVRという新しい環境でなら、物理現実では未だ解決の難しい問題を新しいアプローチで解きうる可能性をも示しています。本稿がさらなる議論の礎となることを願います。
参考文献
第1章
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第2章
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[48] @KAYA_Vchat、X、2023.12.26投稿、https://x.com/KAYA_Vchat/status/1739420760702427312 、2024.08.12閲覧
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[51] @KAYA_Vchat、X、2024.03.19投稿、https://x.com/KAYA_Vchat/status/1770084020438872534 、2024.08.12閲覧
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[53] @KAYA_Vchat、X、2024.05.25投稿、https://x.com/KAYA_Vchat/status/1794175248121872714 、2024.08.12閲覧
[54] @chitose0107、X、2024.07.16投稿、https://x.com/chitose0107/status/1813219020314931363 、2024.08.12閲覧
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[56] 「Fish ketto websit」、https://uooo000.wixsite.com/fketo 、2024.08.12閲覧
[57] @KAYA_Vchat、X、2024.07.27投稿、https://x.com/KAYA_Vchat/status/1817138717850750982 、2024.08.12閲覧
[58] @flat_vrc、X、2024.08.05投稿、https://x.com/flat_vrc/status/1820141302727708982 、2024.08.12閲覧
[59] @ochakai_vrc、X、2024.08.07投稿、https://x.com/ochakai_vrc/status/1821093671879782905 、2024.08.12閲覧
第3章
[60] いとよ(バーチャル僧侶)『フィッシュヘッドになったら新しい扉を開きかけて、あわてて閉めた話』、note、2024.07.20投稿、https://note.com/itoyo_monk/n/n12f3b4c6cf2b 、2024.08.12閲覧
[61] @tamtam_vc、X、2024.07.23投稿、https://x.com/tamtam_vc/status/1815412863147852027 、2024.08.12閲覧
[62] @Kaya_Vchat_2、X、2024.07.23投稿、https://x.com/Kaya_Vchat_2/status/1815436664342511901 、2024.08.12閲覧
[63] @ShajinShajin、X、2024.07.22投稿、https://x.com/ShajinShajin/status/1815366170117320739 、2024.08.12閲覧
[64] @ShajinShajin、X、2024.07.22投稿、https://x.com/ShajinShajin/status/1815395039096558010 、2024.08.12閲覧
[65] @ShajinShajin、X、2024.07.22投稿、https://x.com/ShajinShajin/status/1815397963163631640 、2024.08.12閲覧
[66] @ShajinShajin、X、2024.07.22投稿、https://x.com/ShajinShajin/status/1815400527116804147 、2024.08.12閲覧
[67] @koba_in_forest、X、2023.09.02投稿、https://x.com/koba_in_forest/status/1697944913055568266 、2024.08.12閲覧
[68] @zhoney666、X、2023.08.18投稿、https://x.com/zhoney666/status/1692474277180878869 、2024.08.12閲覧
[69] ジョニーの怪しいツールボックス「【輝け!!】実際に買ってきた『カツオマン』【超VRChat対応3Dアバター】」、BOOTH、https://zhoney666.booth.pm/items/5025550 、2024.08.12閲覧
[70] 中沢新一『ポケモンの神話学 新版 ポケットの中の野生』、KADOKAWA、2016.10.20
[71] 操刷法師『「謎の少女、再び(迷宮)」とは我々にとって何であったか』、note、2022.09.30投稿、https://note.com/sosatsuhoshi/n/n6260cdc9e5b9 、2024.08.12閲覧
[72] 操刷法師『性衝動と無限性~ルギアの太腿から出発して~』、note、2023.07.11投稿、https://note.com/sosatsuhoshi/n/n8e5357a48ab5 、2024.08.12閲覧
[73] きんとと『生き物好きがこだわり抜いたリアルテイストのバーチャル水族館「Sushi Aquarium」体験レポートと制作者インタビュー!』、「メタカル最前線」、2024.02.07投稿、https://metacul-frontier.com/?p=9721 、2024.08.12閲覧
[74] @chitose0107、X、2024.02.05投稿、https://x.com/chitose0107/status/1754373160122863927 、2024.08.12閲覧
[75] @KAYA_Vchat、X、2024.07.23投稿、https://twitter.com/KAYA_Vchat/status/1815587923053642218 、2024.08.12閲覧
[76] @flat_vrc、X、2024.07.23投稿、https://twitter.com/flat_vrc/status/1815589119697068170 、2024.08.12閲覧
[77] @KAYA_Vchat、X、2024.07.23投稿、https://twitter.com/KAYA_Vchat/status/1815608528352268343 、2024.08.12閲覧
[78] @kaiiiiiiiii、X、2023.06.26投稿、https://x.com/kaiiiiiiiiiVRC/status/1673002675032702976 、2024.08.12閲覧
[79] @koba_in_forest、X、2023.10.30投稿、https://x.com/koba_in_forest/status/1718805009645904328 、2024.08.12閲覧
[80] @sssiraki、X、2024.07.23投稿、https://x.com/sssiraki/status/1815600777270014054 、2024.08.12閲覧
[81] @flat_vrc、X、2024.04.14投稿、https://x.com/flat_vrc/status/1779494763563266291 、2024.08.12閲覧
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[83] 燕谷古雅『【VR日記】謎の生命体が続出!夜の山村ワールド「長魚頭村山口」でフィッシュヘッドを追え!』、「ツバメヤロク」、2024.02.15投稿、https://tsuba-roku.com/entry/2024/02/15/123937 、2024.08.12閲覧
[84] 燕谷古雅『【VR日記】バーチャルマーケット公認!?フィッシュヘッドが集まる「フィッシュケット」とは何だ?』、「ツバメヤロク」、2024.07.27投稿、https://tsuba-roku.com/entry/2024/07/27/100151 、2024.08.12閲覧
[85] @sigmaz111、X、2023.12.26投稿、https://x.com/sigmaz111/status/1739477327204303097 、2024.08.12閲覧
[86] @flat_vrc、X、2023.12.26投稿、https://x.com/flat_vrc/status/1739478143583600845 、2024.08.12閲覧
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[90] @KAYA_Vchat、X、2022.04.19投稿、https://twitter.com/KAYA_Vchat/status/1516089751560134656 、2024.08.12閲覧
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[104] @KAYA_Vchat、X、2023.01.13投稿、https://x.com/KAYA_Vchat/status/1613596708289810432 、2024.08.12閲覧
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[106] @KAYA_Vchat、X、2023.02.16投稿、https://twitter.com/KAYA_Vchat/status/1626167752271736832 、2024.08.12閲覧
[107] @Kaya_Vchat_2、X、2024.05.03投稿、https://x.com/Kaya_Vchat_2/status/1786271459167654267 、2024.08.12閲覧
[108] @Kaya_Vchat_2、X、2024.03.30投稿、https://x.com/Kaya_Vchat_2/status/1774055738983485820 、2024.08.12閲覧
〈以上〉