調査「メタバースでのアイデンティティ」レポートの感想と私の回答

本記事は、2024年6月24日から同7月12日にかけてバーチャル美少女ねむさんとリュドミラ・ブレディキナさんによって実施された定性調査「メタバースでのアイデンティティ」の集計後、同11月25日に公開されたレポートを読んでの私の感想です。この調査には私も回答しました。

また、記事の後半に私自身の回答の一部を掲載します。これは、アバター選びの背景にある思考の、このレポートや巷の言説ではまだ「個人的な嗜好」などとして曖昧になっている部分を、(私の場合に限りますが)可能な限り詳しく言語化して広く議論に役立てるためです。

レポートは11月25日13:00時点のものを参照しています。

日本の知見を海外にも発信するために、英語版も用意しています。(近日公開)



総評

この調査は、2021年と2023年に実施された「ソーシャルVRライフスタイル調査」の追加調査にあたるものです。過去二回(「メタバースでのハラスメント」を含めれば三回)の調査が選択回答式の定量調査だったことから、集計された結果の背景にある回答者たちの考えを具体的に知りたいという希望が寄せられました。この総評では、2021および2023の調査にまたがる経時変化について私が感じたことを書きます。

自由記述部分

まず、自由記述部分の集計結果に新鮮味はない、という印象を持ちました。つまり、私の予想や、ライフスタイル調査2021の結果への考察を交えて書かれた『メタバース進化論』の記述から逸脱するような意外な回答はみられない、ということです。レポートに掲載されたのはあくまで典型的な回答例で、一つ一つの回答を見ていけば面白い記述があるとは思いますが、カテゴリとしては「美少女アバターの方がコミュニケーションしやすい」「個人的な嗜好」「衣装のバリエーションが多い」などの、既にしばしば語られている理由に回収されています。特に「個人的な嗜好」は全ての質問項目に現れるのですが、私はこの「個人的な嗜好」の内実がもっと詳細に分析されてほしいと常々思っています。「個人的」をつける必要もないのかもしれません。下に述べるように、嗜好は個人的であるべきでありながら、社会的に構築される側面が必ずあるものだからです。

新鮮味のない結果が出るということは、これまで想定されていたソーシャルVRユーザー層と比べて今回の回答者層が大きく偏ってはいないということでもあります。しかし、これまでの全ての調査の回答者層がソーシャルVRユーザー全体から見て偏っている可能性は常にありますし、それ以上に、回答者が自分のアバター選択の動機やアイデンティティを振り返るときの語彙や考え方そのものが、過去にアバターやメタバースについて語られてきた言説に引きずられている可能性を私は強く意識しています。例えば「美少女アバターの方がコミュニケーションがしやすい」という回答などは、回答者の本心なのかtwitter上の言説の内面化なのかを区別することがもはやできません。メタバースでのアイデンティティというテーマに関心のある回答者なら、なおさら他の言説にも触れて引きずられている可能性が高くなります。

これは質的調査という手法そのものの原理的な限界だと私は思いますので、是正するための提案をできるわけではないのですが、分析者の手腕によっては、そのように社会的に構築された側面のある回答たちの中から非自明な洞察を引き出してくることができるかもしれません(分析者が回答をカテゴリ分けする時の分け方にも、回答者の側と同様にバイアスがあります)。あるいは、社会的な言説に引きずられているということ自体を示せるなら、それも一つの価値ある洞察でしょう。そもそも、たとえ数年前と同じ言説の再生産になるとしても、アバターコミュニケーションや日本アニメ的表現に馴染みの薄い方に新しく届くのなら、そのことにも意義があります。

今回の調査では、回答をカテゴリ分けする仕方(例えば、人間アバターを選んだ理由を「没入感が高まるから」系や「親しみやすさのため」系に分類するような)が、あまり互いに独立になっていない、つまり複数の理由名が実質的に同じことを言っていたり、ある理由名が別の理由名を実質的に含む意味合いになっていたりする点が気になります。これも恐らく、回答者の中で自分の理由を十分な解像度で言語化できていないことと、分析者がそのような回答の中に隠れている核心を抽出できていないことによります。ただし、回答に書かれていないことを勝手に読み取ることは避けるべきですから、このレポートではこのくらいの冗長さを残した分類に留めておいて、それを叩き台としてより踏み込んだ洞察がなされることに期待するべきでしょう。全ての回答が公開されないのが惜しいところです。

また、一人のユーザーが複数の要素を含む回答をした場合に、集計上はどのように扱われるのかということについて明記されているとなおいいと思いました。

(2024.12.05追記:11/30の調査報告会配信によれば、一つの回答に複数の理由が含まれる場合、数の上ではそれぞれの理由に一票ずつ入るものとして扱われたようです。)


なお、本記事では自由記述の分析結果のページの各欄を、以下の画像のように呼び分けることにします。

本記事では自由記述の分析結果のページの各欄について、このように表記します


選択回答部分

女性型アバターの使用率の減少や、過半数がVRでのアイデンティティを物理現実の知人に対して隠さないという結果からは、仮想空間を物理現実から一定程度隔離されたものとして扱い、物理現実では実現の難しい願望を反映した姿をとるという、「バ美肉への夢」とでも呼ぶべきメタバース観が薄れてきているという印象を受けました。これはライフスタイル調査2023でも片鱗の表れていた傾向です。

また、欧米の回答には露骨に昨今の思想の流行が表れていると思いました。欧米で性別「その他」が増加したことは、Xジェンダー・ジェンダーフルイド・クエスチョニングの方が多く流入したか、従来のユーザーがそう名乗るようになったという理由からだと思います。一方、欧米で女性型アバターが減少した理由は、増加した19歳以下層を中心としてFPSなどの感覚でメカアバターを使うユーザーが増えているか、女性のステレオタイプの強化だと非難されるのを恐れて男性または人外・ケモアバターを使うユーザーが増えているかでしょう。仮に欧米のインターネット社会が、アイデンティティの揺らぎに名前をつけて社会的に承認し、かつ、美少女を女性表象と同一視しやすい環境であるとすれば、上記のような結果は説明できます。またアバターの年齢の集計結果にも、児童に見えるキャラクターを使うことへの恐れが窺えます。

ただし日本について言えば、企業によるClusterの利用が増えたであろうことが集計結果に大きく影響していると思います。この層はVRでのアイデンティティを物理現実に対して隠さないでしょうし、自分と似た年齢のイメージのアバターを選ぶ傾向が強いでしょうからです。私は各質問項目について、とりあえず「日本かつVRChat」の層だけの集計結果が見てみたいと思います。

扉絵

人を属性によって語るのは大変失礼だとは承知しているのですが、「白人物理女性ジェンダー論研究者枠」のミラさんが、よりにもよっておはツイ最強格である萌を選んでいることを本当に心強く思います。


各項目への評

矢印(→)で示した数字の比較は、特に断りのない限りライフスタイル調査2023との比較です。また、Resoniteは2023のNeosVRと比較しています。

p.5 回答数

2023の結果と比べて、地域による内訳がほとんど変わっていません。強いて言えば北米が少し増えた程度です。恐らく、2023の回答者がそのまま今回も回答したというのがほとんどなのではないでしょうか。新しい層にリーチできていないと言うこともできるでしょうし、海外にも安定してリーチできるルートが確立されたと見ることもできるでしょう。

pp.11 よく利用するソーシャルVR

日本でClusterの割合が変わっていない(7%→7%)のは、これが一過性のブームや物見遊山ではなく目的を持った利用であることを表しているかもしれません。Resoniteの増加(4%→7%)は、Resonite開始時にNeosVRから移ってきた方たちのキャンペーンの効果と、VRChatのアバターを持ち込むことが容易になったことの効果によるものでしょう。しかし日本以外のアジアでResoniteが急増(1%→12%)している理由は分かりません。

p.12 物理性別

北アメリカとヨーロッパで、女性の割合は変わらないままに男性の少なからずが「その他」に移りました。ソーシャルVRで美少女アバターを使っているうちにシスジェンダー自認が怪しくなってきた、という可能性はあります(シスヘテロ男性であることとバ美肉お砂糖することとが矛盾しない日本では比較的起こりづらいことです)。

p.13 年代

欧米での19歳以下の増加(北アメリカ5%→12%、ヨーロッパ2%→14%)は、ここ数年Meta Quest2によって流入してきていた低年齢層が調査に回答するほどに社会性を身につけ始めた、ということなのでしょうか。そしてバーチャルキャストの残酷なまでの高齢化……

pp.17-18 アバター種族

欧米で亜人間が増えているのは、アバターの性別「その他」の増加と合わせて考えれば、恐らく獣人寄りのケモでしょう。日本以外のアジアのResoniteユーザーで人型ロボット・サイボーグがわずかに増えている原因は分かりません。

p.19 “人間”の理由

「アバターへの親しみやすさのため」の項で挙げられている回答例は、むしろ「物理現実の自分の姿と近づけたい(没入感が高まる、など)」の項に属するものだと思います。ここで「アバターへの親しみやすさ」を「没入感が高まる」「人としてあるため」「見た目が好み」とは違う理由として扱うなら、それは他人から見たときの親しみやすさのことであるはずです。

「人としてあるため」「見た目が好み」という理由名はもっと詳しく言語化できるはずだと思います。例えば「人としてあるため」は、恐らく「没入感が高まる」か「他人から見た親しみやすさ」に還元されるのではないでしょうか。しかし、単に「人間じゃないと気持ち悪いから」とだけ書いてある回答をこのどちらかに分類するのも強引ですから、集計結果としてはこう分類して、考察で分類のし直しを試みるのがいいのでしょう。

p.20 “亜人間”の理由

全体的に納得できる結果ですが、「個人的嗜好」という理由名に属する回答例は「見た目が好み」の項に入るべきだと思います。

「ケモノ界隈」と回答した方が、なぜケモノ界隈に関わることになったのかということを自由記述でもっと知りたいと思います。これには日本と欧米とで大きく異なる事情があるはずです。

p.21 “人型ロボット・サイボーグ”の理由

ロボットが中立的であるというのは、つまり生活感や性の匂いを感じないということなのでしょう。生活感や肉体の生々しさのようなものまで出さないようにしようとすると、さすがにまめひなたなどでも実現できないでしょうから、ロボットが選ばれることになります。しかし同じ回答例が同時に小さいロボットの親しみやすさにも言及しているのを見ると、この回答者も「人の原始的な情動にどの程度訴えかけるか」という点で葛藤を経験しているのかもしれません。

p.22 “動物”の理由

予想通りの結果です。

p.23 “モンスター”の理由

予想通りの結果です。

ところで、フィッシュヘッドはどのアバター種族に属するのでしょう? 多くが実在する魚をモチーフにし、人型ではあり、しかし組み合わせ方は明らかにモンスターであって、「その他」に入れるには生き物感の強すぎる彼らは? 手足の生えた野菜が「植物」に属するなら、フィッシュヘッドも「動物」に属してもいい気がしますが、どうも直感に反しますね。このような分類困難な集団を生み出すアバターの多様性を私は歓迎します。

pp.24-25 物理性別とアバターの性別

ヨーロッパの女性アバターの「-25%」は-14%か-15%の誤植だと思いますが、それでも注目すべき減少幅です。減った分は男性型とその他の両方に移っていますが、この中には異性型のアバターを使うことで道徳的な問題があるのではないかと恐れた層、男性型アバター市場の充実によって自分の嗜好の表現として男性を選べるようになった層、男性型アバターは使いたくないが女性型アバターにも抵抗がある層が混在しているのだと思います。

Clusterで女性型アバターの割合が変わらないのは意外でした。男性型が減ってその他が増えているのは、新規に始めた方のロボアバターなどでしょうか?

日本以外のアジアだけで女性型アバターが増えているのも面白い結果です。私はこれについて、日本やアメリカの流行が数年遅れで伝わる構造があるのではないかと考えています。例えば、台湾ではtwitterがあまり浸透しておらず、ソーシャルVRに限らないネットでの情報交換やイベント告知の手段としてはfacebookと掲示板が優勢だと聞いています。

p.26 男性が“女性型アバター”を選ぶ理由

日頃語られている通りの結果だと思います。

p.27 男性が“男性型アバター”を選ぶ理由

納得できる結果ですが、各理由名と地域とのクロス集計が見たいと思います。

p.28 女性が“女性型アバター”を選ぶ理由

挙げられている回答例だけを見れば、男性型アバターを使う物理男性に比べて、自分の外見的な特徴を反映したアバターをさらに衣装などで着飾る傾向が強いという印象を持ちます。

p.29 女性が“男性型アバター”を選ぶ理由

「“女性”性からの解放」の項が、回答数としては最も多いにもかかわらず「主な理由」の1位に来ていないのはなぜでしょう。

ところで、「イケメン」をHandsome guyと訳すのは実情にそぐわない気もしますね。私は「美少女」をbeautiful girlと訳さずbishojoと表記することに賛同する立場ですが、イケメンもこれと同じようにikemenなどとするべきなのかもしれません。現代日本的なイケメンは、中性的な、つまり(男性としては)美少女に近い顔つきをしているかどうかで判定される側面が強くあります。

pp.30-31 アバターの年齢

ここにはおそらく、欧米で児童に見えるキャラクターに欲望を向けることが忌避されていることが表れているでしょう。ただし、具体的にどのアバターが少年とみなされているのかは日本とは違うはずです。あるキャラクターを何歳くらいとみなすかにはアジアと欧米とでかなりの差があることが知られており、現にこの違いによって、日本の漫画やアニメの性的なシーンが児童への性的搾取を描いたものとみなされたり、コスプレが児童ポルノに準ずるものとみなされたりすることがあるからです。これはアジア人の方が子供と大人の間で外見の差が小さいことによると考えられています。

とはいえ日本人から見ても、特に青年と壮年の区別には迷うところがあると思います。日本の漫画やアニメのキャラクターの多くは、生身の人間の何歳の容姿に近いかということに関係なく14歳や17歳に設定されており(これはもちろん現代の物理現実の中学校や高校の制度に由来するものですが)、その文化圏にいる私たちもこれらの年齢を「物語の登場人物となるのにふさわしい年齢」として学習し、その結果、アバターについても「日本式美少女なのだから外見がどうであれ17歳ぐらい」と考えることはありえます。この質問の後に具体的な年齢を記入してもらう欄があれば、日本やアジアに限っては、12歳・18歳・22歳くらいにきれいな境界ができるだろうと思います。この境界は、各ユーザーがソーシャルVRでどのようにふるまい、どのような人物として人から見られたいかということにかなり強く結びついているはずです。学制というものが人の人間観に及ぼす影響はそれほど大きいと私は思っています。

日本のVRChatで少年とみなされているアバターの多くは、恐らくまめふれんずではないでしょうか?(ハオランは素体は少年に見えますが、改変して普段使いする方の多くは15歳以上に見えるような姿になるのでは?)

p.32 現実-アバター年齢性別マッピング

ねむさんは日頃から対談配信などでも「日本では性別よりも年齢の方がコミュニケーションを強く制約している」と仰っているので、ソーシャルVRで年齢の壁がどれほど打破されているかを調べようとしたものだと思います。斜めに赤い線が浮かび上がるような分布ならアバター年齢と物理年齢の相関または逆相関があるということになりますが、美少女アバターに関してはそれは見られません。ただし、物理男性の使う男性型アバターについてはわずかに(有意に、と言えるかは計算していませんが)相関があるように見えます。

p.33 理由:少年(5~14歳)

納得できる結果です。

p.34 理由:青年(15~24歳)

「若さが可能にするもの・許容するもの・呼び起こすものを得るため」という言い回しはかなり私の好みです。若い外見という目に見えるものそのものではなく、その背後にある何か抽象的な価値が欲望されている、という考え方を私は好みますし、いわゆる美少女(女性型アバターやキャラクター)や性癖についても同じように考えます。

ただし、その「若さが可能にするもの~」が具体的に何なのかはもう少し突き詰めたいところです(突き詰めた結果としてルッキズムなどが浮上するなら、それはアバター文化を盛り上げたい側としても否認するべきものではなく、「ルッキズムでも問題ないのだ」という論陣を張るべきだと思います)。この項の回答例として挙げられている「ゲームで中年オッサンの外見や見た目に似てるの厳しいじゃん」は「若くありたいから」とも「若い見た目が好み、個人的嗜好」とも「若さが可能にするもの~を得るため」ともとることができ、ここからさらに詳しい「若さが可能にするもの~」の内実を明らかにするためには直接のインタビューしかないと思います。

p.35 理由:壮年(25~44歳)

予想通りの結果です。ちなみに私はここです。

p.36 理由:アバターは外見上の年齢を持たない

予想通りの結果です。

pp.37-38 物理世界の自分との類似性

女性の方が物理現実の自分の似たアバターを選ぶ傾向が高いことには、自分自身の好みと、流行に従うと自然と美少女アバターになって物理男性の美少女アバター使用者よりは物理現実の姿に近いとみなせるという事情が混在しているでしょう。しかし「女性が“女性型アバター”を選ぶ理由」の質問に対する回答例も合わせて見ると、変身願望よりも物理現実の自分をベースに着飾る願望の方が強いという層も無視できない規模でいると思われます。欧米は変身願望と着飾り願望の中間で、「美少女にはなるが、自分自身をよりよく見せるという願望の表現でもある」というアバターデザインなのかもしれません。

アバター種族の質問でケモを亜人間に含めたことで、Resoniteに「物理世界とは全く違う外見」が突出して多いことの内訳(NeosVR時代からのケモ文化なのか、VRChatなどからの流入層なのか)が分かりづらくなっていると思います。しかし、ケモを他の亜人間から区別する明確な基準を作るのも技術的・道義的に難しいでしょう。

p.39 物理世界の自分に似せた理由

予想通りの結果です。

p.40 物理世界の自分の要素を含む理由

「アバターへの親しみやすさのため」の項は、もし「没入感を高めるため」とは違うのであれば、基本的には他者あるいは鑑賞対象としてアバターをデザインしつつ、それとの間の親密な関係を感じたりそれを鑑賞することへの罪悪感を軽減したりするために自分に属するものだという性質も持たせようとしているのかもしれません。

ちなみに私はここです。

p.41 物理世界の自分と全く違う理由

予想通りの結果です。これら以外の理由は思いつきません。

pp.44-45 行動の変化

地域とサービスのクロス集計が見たいところです。VRChatよりもClusterの方が「ある程度変わる」が多いのは、アバターコミュニケーションに慣れていない層がClusterに多いからなのか、物理現実の自分とアバターを地続きに考えがちな欧米のユーザーがVRChatに多いからなのか判然としません。

バーチャルキャストとClusterで「全く変わらない」の割合がほとんど同じなのは意外です。配信を続けていると徐々に物理現実の思考回路や口調が出てきて、あるいは物理現実でのふるまいがキャラクターに近づいてきて、別のキャラクターとして維持できなくなる方が多いのでしょうか?

pp.46-47 理由:ある程度変わる

この質問は「なぜある程度変わるのですか?」ではなく「なぜ『ある程度変わる』と答えたのですか?」なので、変わる理由と変化の具体的な記述とが混在しています。詳しく見るべきは変化の具体的な記述の方でしょう。変わる理由を答えられる人は、つまり意図的に変えているということで、その理由は多かれ少なかれ「『違う自分になる』的メタバース観への期待」というよく知られたものに回収できるだろうからです。

英語で書かれた回答例に「VRの中では、より穏やかな心の状態を練習しようとしています」とあるのは、日本語圏ではアバターによって感情表現が活発になるとされているのとは逆の事例で興味深いものです。

p.48 理由:全く変わらない

予想通りの結果です。

pp.49-50 良い影響か悪い影響か

私は当初、日本及び日本以外のアジアでは欧米に比べて自虐趣味を前面に出す傾向が強いだろうと考え、「睡眠時間が減った」系の回答が多くなると予想していたのですが、結果は日本以外のアジアのみ「悪い影響」が頭一つ出ました。思うに、台湾や韓国などの受験競争の激しい地域、あるいは台湾以南の夜の活動が(日中が暑いことにより)活発になる地域で、寝るのが遅くなる影響が深刻に見積もられているのではないでしょうか。また、物理男性の方が物理女性よりわずかに「悪い影響」が多いのも自虐趣味の差なのではないかと思います。

p.51 良い影響

予想通りの結果です。私がねむさんたちの立場なら、メタバースのプレゼンでは毎回このページを見せるでしょうね……いえ、あまりに美辞麗句が並びすぎているでしょうか……?

p.52 悪い影響

予想通りの結果です。

pp.55-56 VRアイデンティティを隠すか

私のVRChat肌感覚通りですが、認めたくない結果です。とはいえ、ソーシャルVR歴が数年にわたると隠し続けるのも難しいだろうとも思います。同居人のいる方はもとより、物理現実とVRにまたがる知人がいるとそこから急速に二つの生活が交わっていきます。さらに、現実とは違う可能性を模索できるというメタバースの社会機能を高く評価している人ほど、物理現実の人たちにもそれを体験してほしいと望み、布教するためには自分がメタバースユーザーであることを明かさざるをえない、というジレンマもあるでしょう。VRアイデンティティと物理現実のアイデンティティや人間関係の、どの部分をどの程度重ねるかということについては、私自身もVRChatを始めたときから今まで試行錯誤の途上にあります。

バーチャルキャストとClusterの対照的な傾向は予想通りですが、この二つを抜いた日本と欧米との比較が見たいと思います。もしVRChatとResoniteだけで見てもなお日本が隠さない傾向にあるのだとすれば、それはアバターコミュニケーション先進地域で起こることの先行事例ということになり、欧米も今後数年でそれに追随する可能性があるからです。

日本以外のアジアであまり隠さないのは、私の知る限り台湾において、ネットを仮名で使う習慣がないことも影響しているでしょう。

p.57 VRアイデンティティを隠す理由

世知辛いですね……。英語で書かれた回答に「ケモナーであることに対する偏見が、私のキャリアや職場での人間関係に悪影響を与える可能性があります」とありますが、欧米ではケモであることとケモナーであることのどちらがより偏見を持たれているのでしょう? あるいは、「欲望を向けること」と「なること」は区別されず、門外漢から見れば全てケモナーに回収されてしまう?(ここでのfurryがケモのことか単独のケモナーのことかは分かりません。)

p.58 VRアイデンティティを隠さない理由

納得できる理由です。

pp.59-60 人生のメインのアイデンティティ

評価に迷う結果ですが、とりあえず欧米と日本の対比から、欧米では一つだけアイデンティティを持つ形を望み、しかも新しく形成されたアイデンティティを優越させることを望むのに対し、日本やアジアは異なるアイデンティティが併存することを望むのではないか(いわゆる分人主義)、とは考えられます。

この項目の年齢別の集計結果も見たいと思います。社会人になる年齢でも「すでにVRがメインのアイデンティティ」が増えてくるようになれば、本当にメタバース原住民が増えてきたと言えるのかもしれません。

バーチャルキャストとVRChatで大きな差が見られないのはやや意外です。ライフスタイル調査2023では、バーチャルキャスト住民は「VRで生計を立てて生きていきたい」が極端に少なく、それは配信者として商売の厳しさを知っているからだと分析されていましたが、アイデンティティへの意向は収入の見通しとはまた別ということでしょうか。また、配信者がしばしば陥るとされる「喰われ」の影響も見えていません。

そもそもここで「アイデンティティ」という言葉を使うのは的確なのだろうか、とも思ったのですが、他によさそうな言い方も思いつきません。「キャラクター」や「ペルソナ」とは呼び難いケースもあるでしょう(VRと物理現実で完全に一致している場合や、逆に完全に分離しようとしている場合など)。

p.61 理由:すでにVRがメインのアイデンティティ

納得できる結果ですが、時間経過を経て徐々にそうなったのか、最初からそうだったのかということも知りたいと思います。

p.62 理由:VRをメインのアイデンティティにしたい

納得できる結果です。

p.63 理由:VRをメインのアイデンティティにしたくない

「アイデンティティを別々に分けておきたい」が少なからずいるのは私にとって喜ばしいことです。

ちなみに私はここです。ごめんね。

p.64 理由:VRと物理世界で同じアイデンティティを使っている

納得できる結果です。

p.65 総評

大山さんの研究室ではジェンダーアイデンティティとアバターへの没入感との相関を定量的に評価する実験(https://conference.vrsj.org/ac2021/program/doc/2B1-2.pdf)などをされており、既にそのような関心を持っている方の書かれた評としては当たり障りのない印象を受けます。私としては分析手法などにも触れてほしかったと思いますが、それはこの総評の目的ではないのでしょう。


私自身のソーシャルVRライフスタイル:


私の回答

以下は私の回答の一部です。


1. Generic questions regarding the user // ユーザーに関する一般質問

Q1-1 Please select the "area" you are currently residing in // あなたの現在お住まいの「地域」を教えて下さい

非公開

Q1-2 If you do not live in Japan, please state the "country" you are currently residing in // 日本以外の方は、あなたの現在お住まいの「国」を教えて下さい

非公開

Q1-3 Please state your age group // 年代を教えて下さい

非公開

Q1-4 Please state your sex in the physical world (If it is not on the list, please fill in "other") *The purpose of this question is to distinguish between ”physical” sex and avatar appearance (Masculine/Feminine) in the virtual world // 物理現実世界における性別を教えて下さい(当てはまるものがない場合は「その他」に記入して下さい)*この質問は仮想現実世界におけるアバターの性別と物理性別を区別するためのものです

非公開

Q1-5 What social VR do you use "the most"? // 「最も」よく利用するソーシャルVRを教えて下さい

●VRChat
Neos VR
Resonite
cluster
Spatial
Virtual Cast // バーチャルキャスト
Horizon Worlds
ChilloutVR
Rec Room
Roblox
Mozilla Hubs
その他:

2. The avatar appearance // アバターの外見

Q2-1 What type of avatar do you use the most? (If it is not on the list, please fill in "other") // 最もよく使うアバターの種別を教えて下さい(当てはまるものがない場合は「その他」に記入して下さい)

●Humanoid (human looking) // 人間(現実の人に近い人間型)
Semi-Humanoid (human-like with added fantasy elements, such as cat ear, tails, etc. Including "furry") // 亜人間(動物の耳や尻尾や羽が生えているなどファンタジー要素のある人間型。いわゆる"ケモノ"を含む)
Humanoid Robot or Cyborg // 人型ロボット・サイボーグ
Animal (non-fantasy animal, non-humanoid) // 動物(実在する動物、人型でないもの)
Plant (non-fantasy plants, non-humanoid)// 植物(実在する植物、人型でないもの)
Monster (fantasy animal or plant, non-humanoid) // モンスター(実在しない生物、人型でないもの)
その他:

Q2-2 Why did you choose the specific avatar type? // なぜそのアバター種別を選んだのか教えて下さい

以下の(A)かつ(B)かつ(C)の理由によります。
(A)物理肉体の形に最も近く、没入感を得やすいと思ったからです。没入感を得たいと思ったのは、物理肉体とアバターの間に共通点を作ることで、アバターを使うことで形成される新しいアイデンティティが物理肉体での生活にフィードバックされて未知の心理現象を引き起こすことを期待したからです。
(B)その種別が持つとされている典型的な慣習、例えば言語コミュニケーションや性愛に参加するという意思を他のユーザーに対して示したいと思ったからです。
(C)姿を見たり声を聞いたり関係を持ったりする対象として、その種別を好んでいるからです。鏡で自分の姿を鑑賞する慣習がソーシャルVRにあることはソーシャルVRを始める前から知っていました。

Q2-3 Does your avatar (the one you use the most) look masculine or feminine? (If it is not on the list, please fill in "other") // 最もよく使うアバターの外見上の性別を教えて下さい(当てはまるものがない場合は「その他」で回答ください)

Masculine // 男性
●Feminine // 女性
その他:

Q2-4 Why did you choose a masculine or a feminine avatar appearance? // なぜそのアバターの外見上の性別を選んだのか教えて下さい

(A)キャラクター表現とその文化に以前から関心があり、その中核にある美少女キャラクター表現に新たな展開をもたらしている領域がソーシャルVRだと考え、自分自身もそれを体験しその振興に貢献したいと思ったからです。
(B)また、自分自身の一部の側面をその性別に関係するイメージで表すことを以前から物理現実の服装やカスタムキャストによってしており、そのデザインをそのままアバターにも反映したからです。その性別に関係するイメージは、その性別の人間と同様に自分にとって、姿を見たり声を聞いたり関係を持ったりする対象として好ましいものです。自分自身の一部の側面をその性別のイメージで表すことをしていたのは、それによって、
(B-1)自分自身を自分にとって好ましいものとして肯定的に捉える、
(B-2)自分の物理性別が持つ社会的にネガティブに扱われる要素を隠す方法を模索する、
(B-3)自分が好ましいと思う姿を見たり、ポーズを取らせたり、行動をさせたりすることを、他の人の許諾を得る必要なく自分の権利として自由に行う、
(B-4)他の人から自分に向けられる、外見・声・仕草に対する評価や関係を持ちたいという欲望に対して寛容にふるまうことで、欲望を持つことと表明することに対して寛容な社会規範を作り出す、
(B-5)自分自身を好ましい他者のように扱って呼びかけることで、寂しさを緩和し、また自分を客観視する助けとする、
という目的のためです。
理由(A)と(B)は互いに関連しており、(A)に挙げたキャラクター表現とその文化に関心を持ったのは、その領域では(B)が比較的容易にでき、(B-1)から(B-5)までの目的の達成に近付くことができるから、また(B-1)から(B-5)までの目的を持ったのは、(A)に挙げたキャラクター表現とその文化によって、そのようなことができるかもしれないと触発されたからです。触発された(B-1)から(B-5)までを自分の目的として受け入れた理由についてはお答えできません。

Q2-5 Does your avatar resemble your appearance in the physical world? // あなたのアバターは物理世界でのあなたの外見に似ていますか?

My avatar looks similar to my physical world self // 私のアバターは物理世界での私の姿と似た外見です
●My avatar includes some elements of my physical world self // 私のアバターは一部物理世界の私の姿の要素を含んでいます
My avatar looks completely different from my physical world self /// 私のアバターは物理世界での私の姿とは全く違う外見です
その他:

Q2-6 Why did you choose the avatar that either resembles or does not resemble your appearance in the physical world? // 物理世界でのあなたの外見に似た、あるいは似ていないアバターを使う理由を教えて下さい

Q2-2の回答のうちの理由(A)と同じく、物理世界での自分自身の外見と一部共通する要素を持たせることで、その共通点を通じて、アバターを使うことで形成される新しいアイデンティティや身体感覚が物理世界でのアイデンティティにフィードバックされて未知の心理現象を引き起こすことを期待したからです。共通する要素を一部しか持たせなかったのは、物理世界でのアイデンティティをそのままメタバースに持ち込むのではなく、新しいアイデンティティが形成されることを期待したからです。

Q2-7 Please tell us what age the avatar you use the most looks like? // 最もよく使うアバターの外見上の年齢がどう見えるか教えて下さい

Infancy (0 to 4 years old) // 幼年 (0~4歳)
Juvenile (5 to 14 years old) // 少年 (5~14歳)
Youth (15 to 24 years old) // 青年 (15~24歳)
●Adult (25 to 44 years old) // 壮年 (25~44歳)
Middle-aged (45 to 64 years old) // 中年 (45~64歳)
Senior (65 years old or older) // 高年 (65歳以上)
Avatar doesn't look a specific age // アバターは外見上の年齢を持たない

Q2-8 If your avatar has a look of a specific age, please explain why you chose for your avatar to look a specific age // アバターが外見上の年齢を持つ場合、なぜその年齢を選んだのか教えて下さい

典型的な社会通念に照らして、以下の(A)かつ(B)かつ(C)を満たすのがその年齢層だと考えたためです。
(A)思慮深く慎みのある人物として他の人に認知される、
(B)姿や声を好ましいものと見られる、
(C)私的な関係を持ちたいという欲望を向けられる、
ことを望みました。

3. The user behavior and identity // ユーザーの行動とアイデンティティ

Q3-1 Does your behavior in social VR (such as the way you speak, react, and act) differ from how you behave in the physical real world? // ソーシャルVRにおけるあなたの行動(喋り方、リアクション、ふるまい方など)は物理現実世界の場合と変わりますか?

It does not change at all // 全く変わらない
●It changes to some extent // ある程度変わる

Q3-2 Why did you choose the answer to the previous question? // 前の質問について、なぜその答えを選んだのか理由を教えて下さい

以下の(A)かつ(B)の理由によります。
(A)話し方とリアクションとふるまい方を意図的に変えているからです。意図的に変えている理由は、
(A-1)Q2-6の回答のうち、物理世界での自分の外見と共通する要素を一部しか持たせなかった理由と同じく、新しいアイデンティティがメタバースで形成されることを期待したから、
(A-2)Q2-8の回答の(A)と同じく、思慮深く慎み深い人物として認知されることを期待したから、
(A-3)Q2-4の回答の理由(A)に述べたように、美少女キャラクター表現の前線としてのソーシャルVRが振興するためには、互いを尊重する穏やかなコミュニケーションが浸透することが重要だと考えており、自分でそれを体現したいと思っているから、
です。
(B)声を物理世界で使うものとは違う声に変えていることによって、話し方とリアクションとふるまい方が自然に変わるからです。Q2-8の回答の(A)(B)(C)の理由によって、目標とする年齢層のイメージに近い声になるように調整しているため、そのイメージに合わせるように話し方とリアクションとふるまい方が変わります。これは自分にとって、労力を費やして演じるのではなく、自然にそのようなふるまいになるかのように感じられるものです。

Q3-3 How does your life in social VR generally influence your life in the physical world? // ソーシャルVRでの生活はあなたの物理世界での生活にどちらかというとどのような影響を与えていますか?

●Positive influence // 良い影響
Negative influence // 悪い影響

Q3-4 Why did you choose the answer to the previous question? // 前の質問について、なぜその答えを選んだのか理由を教えて下さい

以下の良い影響(A)(B)(C)(D)(E)を悪い影響(F)と比較して、良い影響を享受し続けるためなら悪い影響は許容できると考えるからです。
(A)物理世界での人間関係の偏りや、コミュニケーションの量・内容の物足りない部分を補うことができていること、
(B)物理世界での経歴や職位を話題の中心とせず、各自がその都度持っている見識を交換し合うコミュニケーションができており、それを楽しく感じていること、
(C)社会通念や自己像を所与のものと思い込まず、自分たちで必要や関心に応じて見直していくことのできるものだと考えるユーザーと多く知り合うことができており、その考え方が自分とも合っていること、
(D)形成した新しいアイデンティティに対して、簡単に他の人からフィードバックを受けられることにより、アイデンティティが速く強化され、それを好ましく感じていること。好ましく感じるのは、Q2-5の回答(B-5)に述べたように、物理世界で新しいアイデンティティを他者のように扱って呼びかけることで、寂しさを緩和し、また自分を客観視する助けとすることができるからです。
(E)町や電車の中などで見かける他の人が、もしかするとソーシャルVRで知り合う可能性のある、または既に知り合っているユーザーではないかという考えが常に浮かび、一人一人の他者が表面上は見えない私生活の側面を持っていることが意識され、世界にいっそう奥行きを感じるようになったこと、
以上が良い影響です。
(F)就寝時間が遅くなったことが悪い影響です。

Q3-5 Do you keep your identity in social VR hidden from your friends or family in the physical world? // ソーシャルVRでのアイデンティティを物理世界での友人や家族に隠していますか?

●Yes // はい
No // いいえ

Q3-6 Why did you choose the answer to the previous question? // 前の質問について、なぜその答えを選んだのか理由を教えて下さい

以下の(A)かつ(B)の理由によります。
(A)物理世界での自分を知る人で、かつ、他者が見せているアイデンティティを他の場面でのアイデンティティとは別のものとして尊重し一緒に楽しむというソーシャルVRの慣習を共有していない人にソーシャルVRでのアイデンティティを知られると、Q2-6で述べたような、ソーシャルVRで新しいアイデンティティを形成しつつそれを物理世界でのアイデンティティにフィードバックするという、物理世界のアイデンティティとソーシャルVRのアイデンティティの間に保っている微妙な心理的距離が、その人たちが両者を同一視したコミュニケーションをしてくることによって乱れるおそれがあるからです。
(B)余暇を過ごしていることとその時間帯を物理世界での所属先の関係者に知られると不都合があるからです。

Q3-7 If you have different identities in social VR and the physical world, in the future, would you want your Social VR identity to become your main identity in your life rather than your real world identity? // ソーシャルVRと物理世界で別々のアイデンティティで生活している場合、将来的に、物理世界のアイデンティティよりもソーシャルVRのアイデンティティをあなたの人生のメインのアイデンティティにしたいと思いますか?

I use the same identity in social VR and in the real world // ソーシャルVRと物理世界で同じアイデンティティを使っています
My social VR identity is already my main identity // すでにソーシャルVRでのアイデンティティがメインのアイデンティティです
Yes, I want my Social VR identity to become my main identity // はい、ソーシャルVRのアイデンティティをメインのアイデンティにしたいです
●No, I do not want my Social VR identity to become my main identity // いいえ、ソーシャルVRのアイデンティティをメインのアイデンティにしたくないです

Q3-8 Why did you choose the answer to the previous question? // 前の質問について、なぜその答えを選んだのか理由を教えて下さい

現在のソーシャルVRでのアイデンティティは、現状の物理世界を渡っていくには優しすぎ、大人しすぎると考えるからです。このアイデンティティが物理世界で軽んじられたり、人前で活動する時間が増えることによって何らかの失敗を重ねて非難されたりするのを経験することは望みません。
ただし、物理世界での対外的な活動に耐える別のキャラクターを、アバターや声の加工技術を使って新しく形成し、将来的にそれを前面に出して生計を立てていきたいとは考えています。それは物理世界の名義に強く紐づくことになると予想されるため、ここではアイデンティティとまでは呼ばずキャラクターと呼びました。現在の物理世界のアイデンティティを完全に隠して、独立した新しいアイデンティティで生計を立てていくことは想定していません。しかし、もしも成り行きでそうなった場合には好ましく思って成り行きを受け入れると思います。

Please let us know if you have any comments or suggestions // その他ご意見や感想などあれば教えて下さい

ソーシャルVRでのアイデンティティについて考えていることをお伝えする機会を設けてくださり、大変感謝しています。
調査結果を待つ立場としては、日常的に複数のアバターを使っているかどうかと、その理由や使い分け方についても他の方のスタイルを知りたいと思っています。


〈以上〉

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