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音楽と料理は似ている?

このnoteで記事を書き始めるにあたって、自分のページのタイトルの説明に

ガットギター専門、フラメンコ、タンゴ、フォルクローレを中心に活動するギタリスト智詠です。音楽のこと、趣味のことなど、おもむろに綴っていきます。

Chiei"s Report

とつけたのですが、そういえばまだ一度も「趣味」のことについて書いていなかったことに今更ながら気づきました…。以前の記事で、もし趣味は何ですか?と聞かれたとき、以下の8つの中からいくつか答えています。

①料理
②食べ歩き
③温泉巡り
④鉄道
⑤ドライブ
⑥写真
⑦ゲーム(スマホ)
⑧ネット検索(主に①~⑦について)

Chiei's report "「趣味」を「仕事」にした人の話" 

いずれも音楽を生業にしてきたおかげで実現してきた部分も多く、とてもありがたいことです。例えば演奏に行くための移動だったり、その土地での出会いだったり、再会した人と見る風景や、一緒に行動した仲間と楽しむ食事は至福の時間でした。

②~⑥に関しては、この2年間はなかなか実行に至らず、またそれなりに予算もかかるので…ここは演奏活動ができる状態になったご褒美に、と思っています。

そんな中で、①料理は、家にいる日はいつもしています。私の場合はすでに「家事」にもなっていますが、もともと仕事の中に趣味的な要素をブレンドする長年のクセがついているので、日々の料理は本当に楽しんでいます。

得意料理はこれ、というのは特にありません。できるだけ少ない予算で、地元の旬のものや、時にはいただいた食材で料理を作り、満足できたときの幸福感は、とにかく自分の精神を安定させてくれました。

この感覚、けっこう演奏がうまくいったとき、いい音楽ができたときの喜びと似ている気がするんです。

もちろん楽器に触れていなければ技術は向上しませんが、曲のイメージや構成をたてたり、実際にどんな「塩梅(あんばい)」の演奏にしたいかと考えるとき、日頃から料理していることが感覚的にけっこう役立っているようにも思えます。

音楽を作る(準備する)~演奏する(食べる・ふるまう)プロセスや得られる喜びは、けっこう同じなのかもしれません。もしかしたら、音楽をする人と料理をする人のメンタリティーは近い部分もあるのかも…と勝手に思っています。ただし、洗い物と片付けはちょっと違うスキルだったので習得には時間を要しました…何事も段取りは大切ですね。

実は以前から音楽関係の人と話す機会も多く、少なくとも私がご一緒してきたミュージシャンのほぼ全員が、食べることや料理に関して、何らかの強い関心を持っています。これは自分にとってはラッキーなことでしたが、とても興味深いことでもあります。実際にこれまでの自分の演奏活動の大半は料理やお酒を提供する場での演奏でした。

例えば以前、東京でのライブでお世話になったフルート奏者の方は「音楽と料理の関係」を探求する方で、実際に料理もご自身でプロデュースしたライブをお店とコラボする形で開催、私もバンドメンバーで何度も演奏したことがありました。本番前には実際にお客様へ提供される料理を試食させてもらって、みんなで幸せな気持ちでライブをした思い出があります。

一緒に移動した先輩や仲間と(打ち上げ含む)旅先で食べ歩きを共にしたのは数知れず、呼んでくださった主催者の方=ミュージシャン宅でよくごちそうになったり、逆に自分の家での打ち上げに料理を作ったこともありました。料理人の経験や海外での滞在経験がある人、味噌を自分で仕込む人、釣り道具や燻製器を車に積んでいた人もいます。

一方で、よくメディアに紹介されているように、飲食店を経営する現役あるいは元ミュージシャンの方は多いですし、そもそも音楽が全くかかっていない飲食店は少数派だと思われます。音楽と料理、または食事はとても密接な関係があるような気がしてなりません。

音楽(家)と料理(人)は似ている? その共通点


1.消え物であること
・残るのは余韻のみ

2.そのわりには準備に時間がかかる
・準備に時間や労力をどれだけ費やしても提供が始まれば一瞬で終わる

3.記録は紙に書くか、録音・録画するしかない
・音楽=楽譜やCD  料理=レシピや動画

4.3はけっこうな収入になることがある
・CDリリース、レシピ本の出版、動画がバズって仕事のオファー(希望)

5.相手がいて初めて成立すること
・演奏者と観客、作る人と食べる人など (時には自己完結もあり)

6.時間を共有するので、とにかく相性が大事であること
・よければ絶妙なハーモニー、合わなければとても気まずい空気に

7.フォーマルなものから家庭的なものまで多彩であること
・コース料理=オーケストラの組曲  各国料理=その地域の民俗音楽

8.季節や環境の変化に対応していること
・その時期や場所によって、料理も音楽も変化する

9.うまけりゃいいってもんじゃない
・雰囲気や味わい、見栄えまたは人柄の方が大事なこともある

10.プロを名乗ればいいってもんじゃない
・アマチュアの方の渾身の演奏、温かい家庭の味は、何度でも立ち返る原点

11.ライセンスに関してはあいまい
・資格を持っていなくても開業は可能らしい、でも継続するのは大変

12.社会情勢と妙にリンクしている
・影響を最初に受けがち(不要不急ではないと言いたかったけれど)

13.生業にしている人は自分の個人情報やスケジュールを公開している
・日頃から発言や行動には気をつけています

14.職人的な部分と芸術家的な部分を合わせもっている
・憧れの人や師・先輩を見てまねる、そこから自分なりのスタイルに

15.百聞は一見に如かず、されど百聞してこその一見の価値
・見れば一発でわかるが、先人の記録を読む・聴くプロセスは本当に大事

※全て個人の意見です

後半は心の叫びというか、半分こじつけなところも散見されます。料理に関わる方には大変申し訳ありませんが…私は料理を仕事にしている人、家族のために毎日料理を作り続けている人を本当に尊敬しているので、どうかお許しください。とにかく共通しているんじゃないかという部分はどんどん出てきます。ちなみに15番目は私の父(中南米音楽の愛好家)の言葉からの引用です。

さらに個人的な話をすれば、私はもともと子どものころはほとんど料理をしていませんでしたが(小学生のころの唯一のレパートリーは目玉焼き) 家にあった料理やお菓子の本を読んでいましたし、テレビの料理番組やアニメはけっこう見ていたような気がします。スーパーに家族で買い物に行ったりする回数は同年代の男子より確実に多かったと思います。音楽を生業にしている現在も、旅先ではほぼ必ずスーパーに寄っています。

けが・やけどのリスクはあるので、ゲン担ぎの意味でも本番の前日と当日はなるべく料理はしないようにしています(事前にカレーや作り置きのおかずを作っておくこともあります)。自分の場合は「料理」をする日は演奏の仕事がない日、でも同じような達成感をささやかに味わい続けています。


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