年はとりたくない
年の瀬の混んだスーパーのレジでのこと。
私の前におばあさんが大量の買い物をして、セルフレジでカード決済をしようとしていた。
せっかちな人の様で、カードを承認が終わる前に引き抜いてしまったらしく、エラーが出て、私のレジをしている女性店員に助けを求めて来た。
店員はそれにささっと対応し、再び私の買い物カゴに戻り、商品のバーコードを機械ににかざし、隣のカゴに商品を移していく。
私も、まごつくおばあさんに負けず劣らず、大量の買い物である。
まごつきおばあさんはまだ支払いが完了できず、まごまご…
そして
「あっ、あれ?なんで?」と
再び困っている様子。
また何かやらかしてしまったようだ。
女性店員は見かねて、私に
「すみません」と会釈して
おばあさんの対応をする。
すると、
「チッ 全く何やってんのよ。
あっちのレジに並んだ方が良かったじゃない」
と小さな声が背中越しに聞こえてきた。
私はちらっと後ろを振り返ると、私の前でまごついている、おばあさんと同じくらいのおばあさんが、不機嫌にブツブツ言っている。
いやーな空気が流れる。
仕方がない。
2人のおばあさんの行動は
仕方がない。
年のせいなのだと。
私は心の中でこう言いながら
ザワザワする気持ちを
なんとか落ち着かせた。
年をとると色々な事がスムーズにできなくなり、また堪え性がなくなるのだ。
私はこの2人のおばあさんに挟まれて、
老いることの悲しさを
年の瀬のスーパーで感じたのだった。
今年も暮れていく。
私もまた年を重ねるのだ。
もう十分だなと
思う今日この頃である。