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ちえちゃんはね
私の名前はかなり気にいっている。ペンネームも夢主の名前も本名もだ。本名の話。
私の名前をつけたのは父親だ。「さちえ」
理由は「知恵に恵まれますように」だけど私は、小学生の頃は自分の名前が大嫌いだった。いじめられたからだ。私の存在は気持ち悪いから、そんな大層な理由も名前負けしている自分も、なにもかもダサくてキライだった。テストの答案に自分の名前を書くのが苦痛だった。私の存在証明をしないでくれ、私。名前を書いたら気持ち悪い私がそこにいるのがバレてしまう。本当に冗談話でなく、自分の名前を恐れていた。
ある天才がそれを覆した。
神聖かまってちゃんと、ヒグチアイと、大森靖子だ。
ピンと来た方はもしかしているかも知れない。
そうだ、この天才達が紡いだ歌の中には「知恵ちゃん」「さっちゃん」「幸子」と微妙にさちえとは違う。違うがそこには確かに私のあだ名で悲しいくらいに真っ直ぐな歌があるのだ。向こうは私を知らない、知るはずない。それなのに。
私の人生と重ねてしまう。
頭良いからね知恵ちゃんは考えすぎてしまうんだ それでもね優しいね 天使のような人目指して みんなから嫌われて傷つくもんだとおもいます それでもね知恵ちゃんは優しい人で居なさいな
さっちゃんはね伝えることができた
本当の気持ちじゃなくて「おめでとう」
成長しないでさっちゃん
茶髪にしないでさっちゃん
彼氏作らないでさっちゃん最強でいてよ
僕の特別
あんなに子供の頃は忌み嫌っていた。
もっとお洒落でかわいい名前が良かったと親に泣いたこともあった。
けど、今思えば「さちえ」で良かったとすら思える。ただの偶然でも、知恵に恵まれますようにと込められたこの名前負けしないように、今日もぼちぼち心が折れた日にはこの3曲を傍らに自分を歩かせるのだ。