ただ歩いて食らうだけの番組

今年を振り返るにはまだ早いけれど、私には2018年という年は忘れられない一年になった。
年明けから病院に居た。私ではなく父が入院していた。父は春真っ盛りの桜が満開で散り始めた頃に自らの命を悟ったように亡くなった。
父の居る家が当たり前だったから、父の居ない場所にまだ慣れない。
そんな頃BS朝日で放送されていた不思議な番組に出逢う。
電車に乗るヒロシさんが外国の観光地じゃない場所に降りて駅前の食堂で飯を食らう。それだけの番組。
初めて観たのはトルコだった。
トルコで日本人好かれてるらしく何でもかんでも指をさして「これは何か?」と尋ねたいだけなのに、「なんだ?喰いたいのか?あげるぞ」とお金を払うということが発生しない謎の展開が面白く、スタッフも彼の発言をその場で訂正する訳でも、店を用意してる訳でもない。
トルコ人英語通じない、ヒロシさん英語話せない(なのに行く) だけれど、心は通じてしまうのか、うまくいってしまう。
金曜夜22時24分から火曜夜23時に放送枠が移動し、とうとう訪問国も15カ国目に突入したとのこと。

この番組を観ていて、私は外国旅行には憧れが無かったし、ただ無気力な中毎週観て居たのですが…。
政治・経済的にはあれやこれや軋轢が起きてる昨今ですが、路地や庶民の食堂に入り込んでみると、そこで提供される料理を楽しんで食べて、たとえ日本人グループであっても笑顔で接してくれる人たちがいる。
同じ食べ物を食べることで、心が通じて行くのだろうと思いました。
多分それを引き出せるのが彼のキャラクターや持っている空気感や優しさなのかもしれないでしょうけれど、ヨーロッパもアジアも土着的な食文化があるところでは、やっぱり楽しいなぁと思いました。
「言葉が解らない」は言い訳に過ぎないのもこんな語学ヲタなのに痛感しました。
英語がどんどん進化している彼にとても感動して観ています。
番組を観ていると、国や歴史問題は色々あるけれど、そこに住まう人々の笑顔や優しさはみんな一様に暖かくてその国の食文化に誇りを持っている。
そこに行き、体感して、彼なりの言葉で伝えてくれている番組は本当に貴重だと思う。
なので、今後もスタッフの方々にこの番組を企画して形にしてくださったことを感謝し楽しんで拝見させていただきます。

(出典:番組公式twitter)
「ただそれだけの番組」なのですが、
ただそれだけの中から、何を汲み取れるかを探しに行くのも楽しい時間だなと思いました。
その為に人は旅をするのもあるんでしょう。

ご本人はロケが過酷だとtwitterでつぶやいておられますが、120%くらいわかります。


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