Radio Chidorian #05
Opening
始まりましたRadio Chidorian。
ただの音楽好きが、気に入った新譜を中心に紹介していこうという、押しつけ型マンスプレイニング風 “読む” ラジオ番組です。
SpotifyのMusic + Talk機能が使えなくなるということで、当番組は文字で音楽を紹介する形に変わりました。
前回はちょっと特殊な構成でお送りしましたので、純粋に新曲を紹介するのは3週間ぶりになります。今回は5曲を厳選しました。
それでは、始めましょう!
M-1 『mada mada da!』 lyrical school
1曲目は、日本のヒップホップアイドルユニット・lyrical schoolのニューアルバム『DAY 2』から『mada mada da!』です!
lyrical schoolは2010年にtengal6として活動を始めました。2012年に現在の名前になって以来、幾度かメンバーの脱退・加入を経ながらも10年以上活動を続けてきた老舗のアイドルです。
最大の転機になったのが2022年、メンバー5人のうちの4人が脱退、リリスク初期から活動しているminanさん1人だけになってしまいましたが活動継続の道を選び、2023年にはオーディションで選ばれた7人を加えた、総勢8人の新体制で再スタートしたのでした。
驚いたのは加入した新メンバーのうちの3人が男性だったことです。男女混成アイドルというのはほぼありませんでしたからファンの間でも賛否両論があったことでしょう。
私は、リリスク・オタクというわけではなかった事もありますが、新しいアイドルの形を感じました。昨年のやついフェスで新体制のパフォーマンスを観ましたが、“男女共学”はとても楽しそうで、何より男性メンバーのアイドル力が高くてキュンキュンしてしまいました。
そして、新体制になって初めてリリースされたアルバムが『DAY 2』です。
既にリリースされたシングル曲に新曲を加え、それを短いスキットで繋げることでストーリーが浮かび上がるようになっていて、ここまで構成が練られトータルに作り込まれたアルバムも最近では珍しいのではないでしょうか。
それぞれの楽曲のクオリティも高く、このアルバムは是非頭から通して聴くことをお勧めします。とてもポジティブなエネルギーが感じられ、リリスクが紡いできたストーリーも重ね合わせて聴くと、感動もひとしおです。
ニューアルバムリリースと新体制スタートから1年経ったタイミングでのメンバーへのインタビューも、アルバムを聴くお供に是非。
M-2 『Bubble Gum』 NewJeans
隠れNewJeansおじさんとしては、なるべく触れないでおこうと思っていたのですが、注目せざるを得ない新曲が出てしまいました。
NewJeansで『Bubble Gum』です。どうぞ!
この曲は、もうひとつの新曲『How Sweet』共に、5月24日に昔で言う「両A面シングル」としてリリースされ、MVが先行公開されたというわけです。
楽曲制作はお馴染み250(イオゴン)氏が担当。シティポップを意識したミディアムテンポのダンスナンバーで、さすがのクオリティです。
トリビアとしては、イントロにYAMAHAのDX-7の音源が使われているそうです。
MVを観ても顕著なように、90's、Y2K辺りのイメージを強く打ち出していて、“VHSビデオ”は『Ditto』のMVにも出てきましたね。緩やかに世界線が繋がっています。
もちろんこれは、リバイバルブームとリンクしてZ世代に訴求するということもあるでしょうが、プロデューサーであるミン・ヒジン氏のノスタルジアでもあるのかなと思います。
パワーパフガールズとのコラボだったり、日本のアイドルグループSPEEDとの類似を揶揄されるイメージだったり、その辺りのコンセプトは一貫していると感じます。
もうひとつ!今回のMVは、メンバーの個性と関係性が理想的な形で映像化されていて、制作陣の“わかってる”感は素晴らしいとしか言いようがありません。
事ほど左様に、NewJeansはメンバーとスタッフがチームとして作り上げているアートだと思うので、HYBEとミン・ヒジン氏の確執が悪い形で影響しないように祈るばかりです。
M-3 『사람 (Me, Myself)』 김수영 (Kim Suyoung)
3曲目は、韓国のシンガーソングライター김수영 (Kim Suyoung)さんの4曲入りミニアルバム『Itsuyoung』から、『사람 (Me, Myself)』をお聴きください。
Kim Suyoungさんは1996年生まれで、2015年頃から音楽活動を始めたようです。YouTubeにアップした弾き語りのオリジナル曲やカバーの動画で人気が出ました。
今回リリースされた4曲はすべてKim Suyoungさんによるオリジナルです。
MBTIはISFJだそうです。真偽の程は定かでないネット情報です。
Mー4 『It Feels Good To Write A Song』 Vulfmon
さて後半はアジアから離れ、Radio Chidorianではレアなアメリカの音楽を2曲ご紹介します。
まずはVulfmonで『It Feels Good To Write A Song』です。
Vulfmonは、LAの超人気ファンクバンドVulfpeckを主宰するJack Strattonがソロで活動するときのアーティスト名で、この曲は、昨年からポツポツとリリースされている曲と共に、『Dot』というアルバムに収録される予定ですが、現時点でアルバムのリリース時期はまだ明らかにされていません。
この『It Feels Good To Write A Song』は、最高に楽しい高速ファンクですが、ボーカル・Antwaun Stanely 、ドラム&ベース・Jack Stratton、ウーリッツァー・Jacob Jeffriesという超シンプルな編成で、Vulfpeckにも増してホームメイド感溢れる演奏になっています。Kidsもいい味を出していますね。
Mー5 『Queen of the Sea』 Norah Jones
最後はお馴染みNorah Jonesです。
4年振りの新作スタジオアルバム『Visions』をリリースしました。
プロデュースはLeon Michelsで、曲作りから楽器演奏まで、多くをふたりだけでおこなったようです。ふたりの間にあるスタジオの空気感がガレージっぽいけどソウルフルなサウンドになっていて好きだと、インタビューで答えています。
今回ご紹介する曲はアルバムの中盤に収録されている『Queen of the Sea』というゆったりとしたカントリー調の曲です。
“私”が恋人との別れを回想しているのですが、それを悲しんでいる様子はなく、「あなたが好きだったけれど自分を失っていた。そしてついに私は自由になった!」と高らかに宣言する内容になっています。
ブルーノートレコードの社長でミュージシャン・プロデューサーでもあるDon Wasによるインタビューが、このアルバムをより良く聴く助けになるでしょう。
それでは今回のRadio Chidorianは、Norah Jonesの『Queen of the Sea』を聴きながらお別れです。ごきげんよう、さようなら。
※今回ご紹介した曲を加えたRadio Chidorianのプレイリストです。(NewJeansの曲は未配信のため入っていません)
私の好きな曲を厳選したプレイリストなので当然ですが、間違いなく私が一番聴いているでしょう。最高です。
Spotifyのみになりますが、よかったらお聴きください。