大学生自転車日本一周旅四十三日目:京都府京田辺市から三重県鈴鹿市まで
本編
そもそもこの日は津までいこうと思っていた。京田辺市からは約90㎞、つまり6時間ぐらいの距離だったから、12時頃まで家にいさせてもらうことに。ただ、当日にホテルを調べていると津駅付近よりも鈴鹿駅付近のほうが安いホテルが充実していたので、鈴鹿市まで移動することも視野には入れておいた。
朝は、6時30分に起床して軽く朝飯を食べた後、7時30分過ぎにスパへと出発した。8時過ぎに到着し、さっそく浴槽へつかる。ホテルの風呂は当たり前だが広々とはしていないから、ここで出来る限り解放感に浸っておく。ぬくい風呂や電気風呂、炭酸風呂と種類が豊富で、テレビ付きの露天風呂もあった。これまでたくさん有名な温泉がある地域を通ってきていたけど、温泉自体が基本的に山の中にあるから時間や労力を考えて断念していた。だからこそ、その分ここでは長風呂を大いに楽しんだ。
サウナにも入ってみると、5分ぐらいしたらテレビの画面が急に切り替わってロウリュが始まった。とはいえ時間帯の問題なのかコロナだからか人がやってきて仰ぐわけではなく、機械で熱風を送るシステムのようだった。初ロウリュを喰らいまくったから、入ってから8分ぐらいでさすがに熱くて退出し水風呂へ。水風呂は苦手だからじっくり上半身をうずめていった。なんかキューンとしていつか心臓が止まっちゃうんじゃないかと勝手に不安になる。本能的に怖いってことは水風呂自体あんま体に良くないんじゃね?まあいいや。
水風呂から出ると、一目散に露天風呂のほうへ駆け出す(心が)。外気に触れていわゆる「ととのう」を体感しようと頑張る。だけど、全然「ととのう」が分からない。多分、自然とその状態に入って後から気付くやつだから「ととの」ってはいない。だけど、気持ちは非常に良かった。だから、ととのわなくてもまあいいやってなれた。
結局スパには一時間以上いた。とてもいい気持だった。ここでも結局したのは他愛もない話。やっぱりだらだらが一番だよ。これから先あと一週間ぐらいまだ頑張んなきゃいけないから、ここでは思いっきりだらだらしちゃおう。この甘える気持ちとは一生のお付き合い。
スパを出てからは近くのドラッグストアでc1000を買って一気飲み。沁みる。友達の自転車のかごに空き瓶を入れさせてもらっておうちへと戻る。京田辺の周りは基本山だから道も上り下りが多い。最初は登って、最後は下る。その下りでのこと。スピードが上がる自転車。そこはありがたいことに歩行者と自転車が分けられている歩道で、もちろんその歩道を走っていた。そしたら、車道と歩道の段差で籠の中身がジャンプ。入れてもらっていた瓶が道に落ちちゃってパリン!粉々になっちゃいまして、、、非常に申し訳ないとは思いながら拾って帰りましたとさ。瓶って捨てられる場所少ないから面倒くさいよね。割れたらもう凶器になっちゃうしね。
部屋に帰ったら勢いそのままに昨日差し入れで買った梨を食べる。2玉で800円以上したからかかる期待は大きい。この日限定の贅沢。男二人、もちろん皮を剝いたりしない。表面を洗ってかぶりつけ!やっぱり皮は剥くべきではないのです。皮との間に一番栄養が詰まってるみたいなのよく聞くしね(あれ、栄養じゃなくてうまみだっけ?まあいいけど)。だから、中学の家庭科の授業もリンゴの皮むきなんかしなくていいからかぶりつけばいいんです。そうやって果物のうまさを最大限かつ野性的に味わう。この心こそ学ぶべきではなかろうか。という少数派の意見。
ぽたぽた落ちそうになる果汁を頑張って吸いながら食べ、芯までかじりつくした。ちなみに芯はめちゃ酸っぱい。でも果物の酸っぱさって感じ。梨自体は期待に応えるうまさだった。食感もしっかりあるのにジューシーで甘かった。初めて二十世紀梨にトライしてみたけど大成功!
梨を食べ終わると、またもだらだらタイム。そうしたら頭がぼーっとしてきて、だんだん痛くなってきた。コロナじゃないよなとかビビりつつ、だけど、味覚も嗅覚も梨を食べたときは機能していたし、と何とか疑う自分を言いくるめて気持ちのいいままに寝ることに。昼寝にしては早かったけど、そのモードに入ってしまったら逃れられない。結局30~45分ぐらいZを放出していた。ちなみにその頭痛はその日のうちに治りました。めでたしめでたし。
起きたら、もう11時30分ぐらいになっていて、そろそろ行かなければならなくなった。本当はいきたくないけど、行かなきゃならん。近畿を越えたら、次は横浜の寮に帰るまで誰にも会う予定はない。さみしい。ここに留まろうとする心をビンタし準備を進めた。友達も一緒に出て大学に行くらしく、途中までは一緒に行った。大学の前の駅でお別れ。来年はアメリカに留学するらしいから、次会えるのはもしかしたら1年以上あと。その時は自分もどこで何やっているかわかんないけど、またどこかで会うと信じて。ばいびー!
京田辺からはまずは伊賀を目指した。距離的にも津までの約半分だし、いったん山を越えて伊賀に行くからそういう意味でもいい中継点だった。まずは木津川市まで南下。この道は前半戦でも通っているから懐かしい。途中で東に進路を変えて、山の中へ入っていく。ずっと店どころか家も道のそばにはなかった。両脇に人が住んでいる気配がないと本当に嫌になる。歩道も無いが雑草はある。何でお前だけは皆勤賞なんだい。危険と危険のアンハッピーセット。何度も危なかった(これ書きすぎて本当に危ないってこと絶対伝わってない)。歩道を塞ぐように車を停めて仮眠をとっている奴に関してはたたき起こしてやろうかと思ったよ。先の南山城村には道の駅があることが発覚。それが頑張りを後押ししてくれた。道の駅まで10㎞の看板を頼りに進む。
道の駅にたどり着いた。もう昼ごはんを食べてしまっていたけど、ここの推しはお茶だったかちょうどいい。ソフトクリームと団子を注文。団子はアツアツだった。温度的にはちぐはぐコンビだったけど、どちらもうまかった。まずね、とにかく濃厚。団子にかかるお茶のソースもアイスも、とにかく濃厚。既製品の濃厚とパッケージされた抹茶味の食品よりも断然濃厚。やっぱりこういうのは高くてもお金を払う価値がある。食べ終わった後はシンプルなお茶も買って一気に飲み干してやった。準備万端。
道の駅を出ると、県境までは目と鼻の先で、一瞬で三重県伊賀市に突入した。そこから伊賀市の中心部に行くまではあまり登りはしなかったような。伊賀市に入ってからは市街地を南に走っていった。小学校か公園かよくわからなかったけど立派で歴史のありそうな建物がいくつも残っていた。忍者はおらず。いや、見つからないところにいたのか?
伊賀市から津まではまた山道。思った以上の山道だったけど踏ん張って乗り越えた。舐めていたけど十分にしんどい登りだった。途中で急に歩道が終わってガードレールに閉じ込められちゃったりもしたけど、山を越えたらいざ津市街地へ。津市に入ってもなかなか県庁所在地の持つ都会感を感じられずに田舎続きだったからちょっとびっくりしたけど。
結局津駅に近づくまでは基本的にはずっと田舎だった。確かに三重ってあまり印象ないし、当然っちゃ当然かもしれないけど。津では体を「つ」の字にして写真を撮った。そのまま近くのセブンで軽く食べて予約したホテルのある鈴鹿市へ。結局ホテルは鈴鹿市に。気持ち・体力ともにまだいけそうだったし、明日の目的地に近づいておくことにした。ホテル代も安く済んだしね。
陽はもう落ち切るところだったし、山を越えた分疲れはしていたから、ゆっくりと鈴鹿を目指した。とはいえ夜は勝手にペースが上がっちゃって困ったりもしたけど。スーパーで買い出しを終えた後は鈴鹿駅まで行かずに、その手前にあるホテルへと行った。自転車はホテルの駐車場に留めさせてもらえたからよかった。ちなみにフロントは話すのが苦手なのか全然日本語になってなくて、わざわざ補ってあげたほど。何はともあれ、ホテルまで事故なく来れたからいいや。
ルート
京田辺市を出て国道24号線に入った後、木津川市で国道163号線へ。伊賀市まで移動すると、国道422号線で南下し、国道163号線で津市付近まで行った。津駅からは国道23号線を通って鈴鹿市のホテル付近まで移動した。
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