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日本発のアルゴリズム型ステーブルコインUXDを理解する
こんばんは。タイトルのとおりなんですが、UXDについて調べたところあまりにも馬鹿すぎて何も理解できなかったので、自分用に噛み砕くまとめを作りました。
・どういう仕組みなのか、
・他のステーブルコインと何が違うのか
・USTのようにdepegしてしまうリスクはあるのか
についてまとめました。
UXDとは
UXDは、アルゴリズム型ステーブルコインの一種です。
ポジトークだけどUXDが1番いいと思う。(当たり前)
— キルアΔ (@KentoInami_jp) October 18, 2021
UXD以外ならUSTはいいと思う。ただUSTはディープアウトザマネーのプットオプションをプレミアムゼロで売ってる。Daiもそう。
キルアでおなじみの稲見さんがFounderで、USTについて去年にも言及されていたので、UXDのアルゴリズムはUSTと比べてどのように違うのか気になって調べてみることにしました。
価格安定メカニズム
UXDのサイトを見に行ってみました。
![](https://assets.st-note.com/img/1653227904385-i3Pw82smcO.png?width=1200)
"UXD is a decentralized stablecoin , backed 100% by delta neutral position."
UXDは分散型ステーブルコインで、デルタ・ニュートラル・ポジションによって100%裏付けされています。
・・・100%担保型のステーブルコインらしい。そしてその仕組みはデルタニュートラルポジションによってなりたっているらしい。
デルタニュートラルポジションって何!!!
デルタ・ニュートラルとは、各オプションのデルタを加算するとゼロに近いポジションを構成することによりヘッジする方法です。
私はこれを読んでも理解できなかったので具体例で理解することにしました。
まず前提として先物取引の理解が必要なのでそれについてまとめます。
先物取引とは
先物取引とは、将来の一定期日に、あらかじめ取り決めた価格で、原資産を売買することを約束する取引のことをいいます。(オプションは権利ですが、先物は売買する義務が発生します)
現物取引と対比して考えてください。
無期限先物取引とは
ex. solanaの無限先物をショートする
=Solanaを現在の先物価格で空売りして、将来に同じ価格で買い戻す契約をすること
デルタニュートラルポジション
ではSolanaを例にとって、デルタニュートラルポジションについて具体的に説明していきます。
まず、Solanaの価格は大きく2つあります。
1.現物価格
2.先物価格
現物と先物は別々の金融商品ですが、基本的にはほぼ同じ価格になります。
そして基本的に、先物のほうが現物よりも売買しやすいという前提があります。これはなぜかというと、現物は持っていないと売れないが、先物は持っていなくても売れるためです。
たとえば先物取引の場合、現物を持っていなくても、証拠金を預けてショート(空売)することができます。
ここで、1solの現物と、1sol分の先物のショートポジションを同時に持つとします。
同時に持った瞬間の価値は、先物価格、現物価格どちらも1sol=100ドルだと仮定します。
ではその後、solanaの1solの値段が、101ドルになったとします。
このとき、
現物では1ドル損をする
先物では1ドル得をする
合計すると損益は0になります。
これがデルタニュートラルポジションです。
デルタ・ニュートラルとは、各オプションのデルタを加算するとゼロに近いポジションを構成することによりヘッジする方法です。
デルタとは原資産価格の変動に対して、オプション価格がどの程度変動するかを示す指標のことです。上の例のように現物と先物を同時に保有することで、デルタを合計して0にするのがデルタニュートラルという手法です。
この手法を利用すれば、solanaの市場の値動きに関わらず、固定された価格でsolanaを保有することができます。
UXDの仕組み
もし私がUXDを手にしたいとき、まずSolanaをUXDプロトコルに預けます。
このとき、ドル換算でいくらのSOLなのかが計算されます。
1SOL=100ドルだとしたら、
ここで100UXDが発行され、私はこれを受け取ることができます。
このとき、UXD Protocol側は、このSOLを受け取った瞬間に、デルタニュートラルポジションを作るのに利用します。(同額のSOLを無期限先物でショートする)
これにより、いくら市場価格が変動しても、SOLの価格は100ドルで固定され、この100ドルが、さきほど発行したUXDの裏付けになる。
これがUXDの、デルタ・ニュートラル・ポジションによって100%裏付けするという仕組みです。
更に詳しく理解するためにファンディングレートについて知る必要があります。
ファンディングレート
ファンディングレートは、簡単に言うと、金利のことで、先物を保有しているだけで、金利がもらえるよ!という仕組みです。
ただこれは、先物を持っていれば必ずもらえるわけではなく、ある時にはショートポジションを持っている人だけが手に入り、ロングポジションの人が逆に払わなきゃいけなくなったりすることがあり、つまり先物にはマイナスの金利があり得ます。
これはなぜかというと、ファンディングレートというのは、先物市場と現物市場市場の需要と供給のバランスをとるための仕組みだからです。
需要と供給のバランスをとるために、みんなが買いたいと思ってるときに売ってるやつには金利あげよ、逆にみんなが売りたいときに買ってくれるやつには金利あげよ、という仕組みになっています。
UXDプロトコルでは、UXDの発行量と同額分、Solanaでショートポジションを持ち続けることになるので、Solana市場が強気であれば(拡大し続ければ)、基本的にファンディングレートはプラスになり、金利がもらい続けられることになります。
しかもデルタニュートラルポジションを利用することで、Solanaの市場価格価格変動リスクが0になり、更に金利もらえるやん!やった~~!って言う仕組みです。
ただファンディングレートは、市場が弱気の場合マイナスになるので、その場合UXDプロトコルは損をすることになりますが、その場合はUXDの保険基金から補填されるそうです。
保険基金
UXDプロトコルは、ファンディングレートがマイナスになった場合の補填資金を保険基金から出しているのですが、これはどこから調達しているのかについて調べました。
これは二通りで、
1.UXP(UXD Protocol DAOのガバナンストークン)のトークンセール
2.ファンディングレートがプラスの場合の収益(UXP保有者にも分配されるので収益の一部がUXDプロトコルに入ります)
です。
UXDのすごさ
デルタニュートラルポジションが超発明
UXDは、デルタニュートラルポジションによって価値を裏付けするという仕組みを採用した史上初のステーブルコインです。
この試みがうまくいけばめちゃめちゃイノベーションです。
きょう仕組みを理解して、めっちゃすごない!?!?!?って友達と叫んでました。
アルゴリズム型ステーブルコインだが、UXD保有者は元本保証される
UST、LUNAの場合、元本が保証されなくなったので取り付け騒ぎが起こってUSTが死にましたが、UXDはデルタニュートラルポジションによって元本が保証されています。
10/ さらに、もし仮に保険ファンドの資金と $UXP の価格がゼロになったとしても、 $UXD 自体はデルタニュートラルポジションによって100%価値が裏付けられているため、担保資産と引き換えることができます。
— UXD JapanΔ (@UXDProtocol_JPN) May 14, 2022
ただこれについてはちょっと疑問点が残ったので次項で掘り下げました。
リスクについて
UXDがUSTのように崩壊してしまうリスクはあるのかについて考察します。
保険基金の枯渇
◯ベアマーケットが続く場合
ファンディングレートが負になる場合、UXDプロトコルは保険資金を取り崩す必要があるので、保険金が枯渇するレベルまでファンディングレートの負の状態が続いてしまうと、UXDプロトコルが持続不可能になる可能性があります。
◯スケーラビリティの問題
あと $UXD プロトコルみたいに大量にショートポジション抱えてる市場 (Mango Market) でロングポジション取ってCEXでショートしてデルタニュートラルにして、ファンディングレートもらうとか、ね。。。$UXD はまだ小さいけど、クジラショーターになったらこの手法でいつか保険は枯渇すると思う。
— びりある@クリプトグラファー#療養中 (@visvirial) May 15, 2022
このツイートで考察されているように、UXDプロトコルが拡大し続けて、大量のショートポジションを抱え込む場合、市場全体がブルマーケットだったとしてもUXDのショートポジションが大きすぎて、ファンディングレートがプラスにならなくなる可能性があります。この点でUXDにはスケーラビリティの問題があると言えます。
元本保証の確実性
100%担保が成り立つのは現物価格と先物価格が等しくなる場合に限るので、UXD保有者が一気にUXDを償還しようとした場合、このとき先物価格は上昇し、現物価格との乖離が生じ、100%担保が崩れる可能性はあります。
現物と先物価格が乖離している状態でポジションを解消しようとした場合、元本が保証されなくなる可能性はあると考えます。
カウンターパーティリスクについて
UXDがデリバティブ取引を行っているmango marketに問題が発生したり(流動性が死ぬなど)、UXDのプラットフォームであるSolanaに問題が発生してUXDが道連れになるリスクはあります。
リスクへの対策について
ファンディングレートがマイナスになり続けて保険基金が枯渇するリスクに関しては、公式のリサーチ記事が出ています。
パフォーマンスがふるわない稀なケースでも、保険ファンドが完全に枯渇する「破綻までの期間」は数ヶ月から1年あることに注目してください。これはUXD保有者が担保不足に陥る前に、1UXDで1ドル分のBTCやSOL等の担保を償還することのできる期間が少なくとも数ヶ月あることを意味します。
こちらの記事によれば、保険基金が枯渇するリスクはかなり低く、仮に保険基金が枯渇するとしてもUXD保有者に損失が生じるパターンは限りなく低いそうです。私はこちらの記事をきちんと遂行できていないので、今後やりたいです。
注意書き
こちらの記事は今年の2月に書いたものなので、情報がめちゃくちゃ古い可能性があります。あと正直内容に全く自信がありません。誤りなどあればぜひコメントやリプなどで教えてくださると嬉しいです!
参考文献
【重要】
— UXD JapanΔ (@UXDProtocol_JPN) May 14, 2022
1/ ここ数日 $UST ステーブルコインの崩壊が大きな話題になっています。
UXD Protocolの内部メカニズムはUSTとは全く異なりますが、同じステーブルコインプロジェクトとして、この機会に私たちの考え・目下行っている施策を改めて表明させてください。 https://t.co/lgG30iPBT2
https://docs.uxd.fi/uxdprotocol/