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漠然とした不安 5
金曜 25:00
好きになってしまった。別になんでもない人(だと思っていた)と、別になんでもない飲み(だと思っていた)で落ちるなんて思わないところでスコンと落ちた。
「君って虚無感がすごい人でしょ」
私はバカだ。でもそんなことを言う人がいなかった。全てを見透かされてるみたいに思えた。だからすごく彼が気になって仕方なくなった。
でも私が今、落ちたこの沼はとても厄介だ。その理由は2つある。
ひとつめの理由は彼とはセックスの相性が最高だということ。とかく最近付き合っていたセフレはとにかくセックスが下手で(とにかく前戯がダメ)。彼とのコントラストをつけてくれるために存在したんじゃないかって思ってしまうくらい。とにかく良すぎるっていうのは良くない。
ふたつめの理由に、彼は妻子がある人だ。少し東京から離れたところに、それはそれは素敵な一軒家を建てて、朝は保育園に子どもを送りに行って、夜はお風呂に入れてあげる、そういう人だ。
おかげさまで今日も眠れない。音楽でもかけながら酒でも飲んで、眠くなるまでまどろんでいようと思う。
いつも陳腐に思えてしまうラブソングの歌詞が、こういう時はなんか染みたりする。こんなことを書いていて、やっぱり自分はバカだと思う。
人をバカにさせるのが、恋なんじゃないか、とも。