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漠然とした不安 3

金曜 9:00

通勤途中、駅までの道すがらよくすれ違う犬がいる。白い中型犬と初老の飼い主とのセットだ。

かなりの老犬で、一歩一歩、苦しそうに歩く。飼い主は犬に合わせて止まるようなスピードでその散歩に付き添う。身体は痩せ細り瞳は窪んで、毛には艶がなく、生気がない。

犬は老いぼれても「散歩に連れていけ」と飼い主にせがむんだろうか。まぁ事情は知らないが、家で休ませてあげればいいのに、と思う。

給料日まであと10日もあるのにもう現金がない。財布に1万円と口座にちょっと。先月、増税前だからと無計画に買い物をしたせいだ。

さらに台風の日にずっとスマホで映画を見ていたせいで、データ容量が切れ、私のスマホは低速通信モードである。

そういうわけでこの週末は彼の家(Wi-FiとNintendo Switch完備)で快適に過ごさせてもらうことにする。私が家にいれば、彼が勝手に出前でも取ってくれるだろう。 

彼とは別れたとして、あの居心地の良い彼の家を失うのが、とても惜しいように思う。スーパーマリオもまだ最後のクッパを倒していない。私は自分のそういうところ恐ろしく腹黒くて、都合が良い。

でも、そういうことばかりやっていると、そのきっといろんな貯金を使い果してしまう気がしている。