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我が家にやってきたもふもふくんの話

2024年 夏
もふもふくんは我が家にやってきた。

もふもふくんは、もともと保護主さん(以下Sさん)が通勤の際にたまに立ち寄るコンビニの周辺に  たむろしていた野良猫だった。コンビニのお客さんから餌をもらっていたらしく、猫好きなSさんも、ついうっかりいちどだけ、餌をあげてしまったらしい。もちろん、その優しさは間違った優しさで、ダメなことはじゅうぶん理解していたはずなのだけど。

そこのコンビニの店長さんは猫が大嫌いで、ねこたちを棒で追い回し、逃げ足の遅いもふくんはたたかれたこともあったらしい。

(暴力や虐待は絶対だめだけど糞尿のこともあるし食べ残しのエサにむらがるGとか衛生面とかを考えると迷惑だという気持ちはわからなくはない)

その現場を目撃してしまったSさんは  ちょうど同じくその猫たちを保護しようとしていた地域猫(保護活動)ボランティアさんたちと協力して、何匹かを捕獲。そのなかから、もふもふくんと、もう一匹   もふもふくんといつも一緒だった子猫をひきとる準備をする。
そのころのもふもふくんは 今のようにシャーではなくごはんのときにはすりよってきたり、常に若い猫たちと一緒に行動していたらしい。その様子と、小柄な体格から、面倒見のいい「メス猫」だと思われていて「もふもふママ」と呼ばれていた。


保護してみると、その態度は豹変。

生きるために、食のために、おとなしくしていただけであって、いつ叩いてくるかわからない人間なんて信じられない。

恐怖心から攻撃性が強く、こわくて誰ももふくんを触れない。


なんとか、保護団体指定の(TNRのために避妊去勢手術を格安で行う)獣医師のもとへと連れていったらしい。


その後いくつか一時預かりボラさんの元を転々とした後、ふたたびSさんのもとへ。

Sさんはもともとわたしの勤務先の動物病院の患者さんで、先代猫からずっと通ってくれていて、プライベートでも仲良くしてもらっている。(天然のかわいいお姉さま)


ある日、健康診断に「もふもふママ」をつれてきたSさん。

開口一番
「もふママ、TNRの獣医さんに、手術のときにこのこ子宮がありません!って言われて…そんなことってあるんですか?」

「へ?

(そんなことあります……?まさか…??)

(洗濯ネットに入れられたもふさんのおしりをチェックしつつ)

……………タマ、ついてますよ。オスですね。」


「え?!?!ええええええ?!え?!」

「オスです」

「ママじゃないのー?!?!」

「ですね!オスですからね
     子宮は…ないですね、オスですからね」


というわけで「もふもふママ」あらため、
「もふもふくん」に。

つまり
もふもふくんは雌雄の確認もされず、不必要におなかを開けられ、去勢手術もされず無駄に麻酔をかけられたわけだ。なんということ。この件に関しては言いたいことは山ほどあるけど、熱く長くなるため一旦おいておこう。(ほんとありえない)

その後無事去勢手術を終え、Sさん宅へ。

子猫のほうはどうにか慣れたものの、もふくんは触れないうえに、先住猫たちとの折り合いが悪く先住猫の体調のほうがあやぶまれたため 、やむなくまた  ほかの預かりさん宅で預かってもらうことに。


やっとの思いで見つけた預かりさん宅も母屋では他の猫がいて一緒には難しいということで、もふくんの預かり先はコンテナハウス。

Sさんは心配でお世話のために頻繁に通い様子をみていたが、この夏の酷暑のなか冷房がない部屋で  徐々に元気がなくなっていき、ウェットフードしかたべなくなって、毛繕いもできず、全身マット状の毛玉になってしまいひどい状態に。


と、ここではじめてわたしに助けを求めるLINEが。
(も~みずくさいよ~もっと早く相談してよ~)

一刻も早く環境を変えなければ、この酷暑(そのころ8月)を乗り切れないと判断したわたしはすぐに勤務先の病院に連れてきてもらい、そのまま治療してもらった。
(歯肉炎が酷かったため、8本抜歯。幸い、血液検査などはそこまで問題なかった)


そして、我が家へと緊急避難。
さわれない?そんなのぜんぜん大丈夫。
既に、猫は2匹いるが?2匹も3匹もそんなにかわらん。
いいよいいよ、おうちにおいで。


というわけで。
ここからはみなさんもご存知のことでしょう。我が家ではもりもりごはんを食べて、もりもりうんちして、たくさん遊んでシャーな毎日!元気な毎日!


Sさんは、もふくんに幸せになって欲しいという思いと、自責の念から自分の力で里親を探しだすか願わくば自分の家で飼いたいのだとずっと言っているけれど…どっちもなかなか難しい。(保護団体さんとの色々もあるらしい)

わたしとしては、急遽うちにきた子ではあるが、これもご縁。このままうちの子になってくれてもぜんぜんかまわない。わがやで幸せに暮らしてもらいたい。
幸いおじいちゃん猫も今ではもふくんを受け入れてくれているし。
わたしの家族もみんなウエルカムモードだ。


ただ、色々辛い想いをして奔走しているSさんの気持ちも尊重したい。Sさんの気持ちが落ち着くまでは「預かり猫」として。そして、近々(まあ、年内には)正式譲渡のお話をしようかなとは思っている。


そうだ、今夜  もふくんにもきいてみよう。





※TNRとは野良猫の繁殖を抑え、数を減らすことを目的としたボランティア活動のこと。TNRは、英語の「Trap(トラップ:捕まえる)」「Neuter(ニューター:不妊手術をする)」「Return(リターン:元の場所に戻す)」の頭文字を取った言葉。

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