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ふさわしい不倫(24)

つまり、私は恋愛に安らぎを求めているのに、一緒にいたい男性はクズ男。

なぜなら、クズ男の前では、必死で隠している自分のクズ女がバレても許してくそうだから。

「許し」は「安らぎ」なんだ。

今日出会った男と酒を何杯も飲んで、酔っぱって、絡んでみて、人目も気にせずお店でキスをした後、ホテルに行って、その男のエッチがいまいちだったからとラインをブロックしても、許して欲しいのです。

あはは、
私こんな、あばずれだったっけ。

ちがう、ちがう。
ちょっと想像してみただけです。
しちゃいけないことできる女性になりたかっただけ。

みんなそうでしょ。
善悪の判断なんてだいたいつくし、
毎日会社に行って、
仕事を褒められることもあれば、
ミスをして謝ることもある。

職場の人ともうまくやっているし、
夜はスーパーで買い物して、簡単な料理も作る。

男性と飲むことがあれば、何時間もお店をリサーチして、予約することもある。

女友達の誕生日には、彼女をイメージする香りの5000円もするハンドクリームをプレゼントしたり。
自分へのご褒美は、50代にむけて諭吉クリームを使っている。

洗い物や乾いた洗濯物が放置されることもあるけど、土曜日の午後までには必ず片付いている。

ときどき洋服の毛玉も取るし、靴も磨く。

誰かにひどく迷惑をかけることもない、
誰かをひどく傷つけることもない、
自分のことは自分でできている。
まっとうで問題のない人間だ。

この私は40年も保たれている。
特別なことはできないけど、
人を頼らず生活してきたんだもの。
誇りに思いたい。

だけど、退屈で、窮屈で、寂しい。

横道で一緒に遊ぼうと大地が手を引いたんだと思う。
私はうれしかった。

私に子どもがいたら、こんなことにはならなかったのだろうか。

あれ以来、大地の子どもとは会わなかったが、大地は毎週土曜の夜遅くに家に泊まるようになった。

(つづく)





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