英詞で読み解く藤井風の世界 VOL.5
【英詞で読み解く藤井風の世界】
本日、5月20日はHELP EVER HURT NEVER発売4周年記念日ということで、第5回目の英詞で読み解く藤井風の世界をお送りいたします。
HEHN5番目の曲は「罪の香り」です。
なんとも含みのあるこの題名と、
この曲の歌詞の魅力に、Kazenglishの視点から迫ってみましょう。
【Flavor of Sin】
まずは題名からです。
文字通りに「罪の香り 」を英語にすると、普通には
"Smell of Crime"
"Scent of Crime"
という感じになるのではないかと思います。
香りを匂いとするなら
普通は"smell"か"scent"
良い香りなら"fragrance"
flavorは「 味覚」「 風味」と言う意味で使われることが多く「 香り」と訳されることはあまりないと思います。
そして「 罪」
なぜcrimeではなくsinなのか?
ここを心に留めて全体を見てみましょう。
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【声も聞かさないで出て行って】
これは誰に向かって言っている言葉なのでしょう。
英語訳にその答えがあります。
そう、"you" です。
そしてその"you"は後から
"Ego" エゴ
"Desire" 欲望
に向かって呼びかける時の代名詞となっています。
「 後で死ぬほど泣かなきゃいけない」は
"to cry as hell"
死ぬほど=地獄ほど
同じ死ぬでも行き先は天国ではない、ってことを表しているのですね。
そして歌い進むうちに
一人称は "I" 私、から"we"私たち
に変わっていきます。
そして面白いのは日本語の歌詞には、
「 私」も、「私たち」もいっさい出てこないところ。
そうです。
この「 誘惑に負ける弱い心」は、
歌の中で
「 私が闘う相手」から
「私たちが争う相手」へと変化していくということを、英語だけで、静かに説明しているのです。
自分だけの事として語っていた視点が、急にわーっと広がっていく感じを、主語の変化だけで表現している!
なんと言う見事な!
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さて、それではなぜ、罪という言葉をsinと訳したのでしょうか。
crimeとは、簡単に言うと法律に触れるような罪のことです。
それでは、sinは?
この単語は
「 道徳上、宗教上の罪」という感じを含んでいます。
人に優しくできなかった。
誰かを傷つけてしまった。
約束を破ってしまった。
自分の利ばかり求めてしまった。
楽な方を選んでしまった。
そんな罪は、crimeなのか。
それともsinなのでしょうか。
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そしてflavor。
アイスクリームのフレーバーは何にする?
チョコミントがいいな!
その「flavor 」には、味だけでなく、チョコレートの甘くほろ苦い香りとミントの爽やかで鼻に抜けるような香りのことも含まれていますよね。
そう!
flavorとは体の中に取り入れることで感じる香り。
なんと!
なんと卓越した言葉選びなんでしょう。
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この素晴らしい歌詞と、魅力的な不協和音とドラマチックなホーンセクションで彩られる名曲。
ああ!これがシングルカットもされていないアルバムの中の一曲だなんて!
そして時には「 夏の香り」となってピアノで演奏され、私たちの心を魅了し続ける。
藤井風というアーティストは、私たちが思っている以上に、恐ろしいほどの才能を持つ人なのかもしれません。
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