英詞で読み解く藤井風の世界 VOL.7
【英詞で読み解く藤井風の世界】
第七回目は「 特にない」です。
儚げで少し物悲しいような、美しいピアノの旋律で始まるこの曲。
しかし、なぜ、こんな題名なのでしょう。
何とも個性的なこの曲の歌詞の世界をKazenglishの視点から紐解いてみましょう。
【Not particularly】
まずは題名からです。
これは文字通りに
「 特にはありません」という意味なのですが、日常会話などではどのように使われるのでしょうか?
Did you enjoy the party?
パーティーは楽しかったですか?
No, not particularly.
うーん、そんなには。
どちらかというと、傍観的というか、少し乾いた感じを与えるかもしれません。
この曲では
望み wants
願い wishes
定め rules
乾き thirst
などは「特にない 」と言っています。
そしてその「 特にない」のところは
I do not particularly have
となっています。
これはなぜ、don'tではなく、do notなのでしょう。
はい、これは"do"と"not"を分けることで、否定の意味を強調しているのですね。
I don't want to go.
行きたくないなぁ。
I do not want to go.
絶対に行きたくない!
ニュアンスとしてはこれくらい違う感じです。
I love his songs.
彼の曲が大好き!
I do love his songs.
彼の曲が、大、大、だーい好き!!
肯定文だとこんなふうにも使えます。
そう、風さんは「特にない 」ことをわざわざ強調しているのです。
なぜなのでしょうか?
それは「特にない」というのは理想であって、
実は私たちには
「 望みも願いも定めも乾きも」
「 嫌になるほどたくさんある」
からなのではないでしょうか。
「いろんなものが欲しくてたまらない」
そんな自分を戒めるための啓発ソングだと捉えると、そこからKazenglishの世界がパーッと広がって行くような気がするのです。
今の私たちの気持ちで言えば
「 私、今回のことでやっとわかったの!風さんが元気でいてくれたら、こんなふうに姿を見せてくれたら、それだけで、他に欲しいものなんて、"特にない"ってことが!」
と言う自分と
「 こんなに好きなのに、なんでチケット当たらないの?本当に泣きたい。すごく楽しそうなライブなのに、何で私は行けないの?」
と言う自分との間で葛藤に揺れ動く姿とでも言いましょうか。
そう、自分の中にも何人もの自分がいる。
それがこの曲のテーマなのではないでしょうか。
【英語でしかわからないこの部分】
Expecting something in return would always makes us end up hurting.
見返り求めるからいつも傷ついて終わる。
Craving for some rewards would always make us feel hungry.
ご褒美欲しがるからいつも腹が減ってる。
さて、この二つの文だけ、他の部分とは違うところがあります。
そう、それは
「 私」ではなく「私たち 」なっているところなのです。
つまり、「足るを知る」と言っている「 私個人」から
「 無い物ねだり」の「 私たち」へ
問題定義が広がっていくさまを英語訳で説明しているのです!
うーん、なんという!!
藤井風、おそるべし!!
(知ってたけどな)
ああ!
これがシングルカットもされていない、アルバムの中の一曲だなんて!
(もうええわ)
藤井風さんというアーティストは、
昔の曲から、現在の私たちの心を癒しにきてくれるような、預言者のようなところがあると思います。
I am content with what I have.
私は今自分が持っているもので十分に満足しています。
欲しいものは、
特にない。
たぶん・・・・・・。
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