「健康食品」の基礎から最近の市場動向を解説します!Vol.2
こんにちは!この記事は元製薬会社MRが、現在健康食品ビジネスに携わるようになり、得られた知見を発信しております。
早速ですが前回の続きから記載していきます。
トクホと機能性表示食品の違い
機能性表示食品とは、トクホと違い「届出」をするだけでOKの制度でしたが、届出に必要な書類の中に「エビデンス」の項目があります。
機能性表示食品におけるエビデンスとは、臨床試験ではなくても研究レビューも可としているので、トクホよりもハードルは下がります。
また許可制ではなく事業者の責任のもと届出制なので、これまたトクホよりもハードルが低く、制定されてから届出がどんどん増えております。2020年末は届出数約3700件にも及びます。
https://www.google.com/amp/s/prtimes.jp/main/html/rd/amp/p/000000001.000076054.html
一方で届出からどれくらいのリードタイムで表示までに至るのでしょうか?
トクホは4〜5年と言われていますが、機能性表示食品は消費者庁へ届出てから差し戻しを数回経て、実際には1年位かけて表示ができるようになります。
現在の機能性表示食品の内訳としてはサプリメント51%、加工食品46%、生鮮食品3%となっています。
また全体の93%は臨床試験を組まず、機能性関与成分に関する研究レビューを使用しています。
これまでトクホにはなかった機能別の機能性表示食品も増えており、認知機能、目、睡眠、精神ストレス、疲労、関節など多岐にわたります。
関与成分として多いのはGABA 、デキストリン、DGA、ルテイン、などがあります。
コロナ禍で話題なものとしては、免疫、活力を謳うものが増えている印象です。
しかし、残念なこともあります。
消費者からの認知はわずか18%と、トクホの35%の半分にとどまっております。まだまだメリットを感じず、イメージが湧かない消費者が多いのが実情です。
ここは各協会や大手健康食品メーカーもプロモーションを強めているので、順次拡大していくと思われます。
今後狙うべき成長市場はASEAN
最後に、今後の市場予測についても触れたいと思います。
機能性表示食品の制度は、日本は世界でみるとリードしており、他国から真似されるほどです。
隣国でいうと、韓国、中国、台湾などが機能性表示の届出制度を真似して制度を整えてきました。
そして今後注目なのがASEAN加盟10ヵ国(人口約6億人)が機能性表示食品と似た制度の準備を進めていることです。
これが制定されれば、市場が一気に拡大します。
なぜならASEAN加盟国でも表示ができるようになると、機能性表示食品と同様なエビデンスを元にした届出制健康食品を、国家間での輸出入ができるようになるからです。(ちゃんとした健康食品は取引されやすい、ということです)
※記事の下の欄にもう少し詳しく書いてます。
ここに大きな期待が寄せられて、ASEANマーケットを狙いに行くストラテジーを組み始めている企業が増えております。
2021年3月に上場した化粧品、サプリメントを扱う株式会社アクシージアは、最初から中国マーケットを狙う戦略のもと、中国ビジネスに秀でた経営チームを組んでいました。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4936/tdnet/1936612/00.pdf
※成長可能性に関する説明資料
これと同様に、ASEAN加盟国への輸出入を狙うスタートアップがあれば今後大きくスケールする可能性を秘めていると考えられますので、今後が楽しみです。
以上、2回にわたって健康食品の分類から機能性表示食品の制定の背景、今後の市場予測について記載しました。
成長市場だからこそレッドオーシャンですが、マーケティングに基づいた明確な差別化を図り飛躍する企業が存在するのも事実です。
今後の市場の活性化に目が離せません!
ご精読ありがとうございました!
補足コーナー
※以下補足です
ASEAN では 2004 年以来、サプリメントの国境を越えた規制の調和に取り組んでおり、2021年現在、16 年あまりの議論を経て、加盟 10 か国の ほぼ最終合意に近づいています。
この合意は、加盟国間の非関税障壁を排除し、サプリメントの自由な流通を促進することが目的であり、 協定が結ばれれば、2026 年までに ASEAN のサプリメント市場は 100 億米ドルに達すると見込まれています。
一方日本では、機能性表示食品制度が始まって 6 年が経ち、現在、機能性表示食品として届出もされている 4 つの機能性成分の試験方法が JAS 規格となっています。
農林水産省ではさらにこの 4 つの試験方法の ISO 取得に向けて動いており、機能性を持つ食品の海外輸出促進が期待されます。