【連載小説】ふたり。(13) - side J / K【終】
前話
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
10月11日 16:35 恵比寿第一高校・写真部 部室
無機質なチャイムが鳴り響く。この時間帯には珍しい、校内放送だ。
「2年3組の、大空純さん。
2年3組の、大空純さん。
忍足先生がお呼びです。
至急職員室までお越しください。」
聞き覚えのある可愛らしい声が、事務連絡を告げる。
「大空氏。…出番だよ」
野木氏が促す。
「え?大空さん、どうしたの?」
3年生の部長はじめ、他の部員が騒ぎ出す。
「行ってきます。」
わたしは画像処理のデータを途中保存し、荷物を持って部室を後にする。
「大空氏。」
野木氏が呼び止める。
「…頑張ってきな。」
わたしは振り返り、口角を上げて頷いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
10月11日 16:38 同・職員室
「失礼します」
わたしは忍足先生の姿を探す。
「大空、こっちこっち」
小さめの声で席に呼ばれる。
「話は、聞いてるんだったな」
「はい」
「じゃあ、行こうか」
先生が早足で歩き出す。
私はその後ろをついて行く。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
10月11日 16:40 同・保健室
「どうぞ、おかけくださいな。」
「すいませんな、岡崎先生。澤井は…」
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