乗りこむ。

ゴールデンウィーク明けの仕事に追われていると、毎日がゴールデンな息子が「パパ、ブーブ(車のおもちゃに乗って遊ぼう)」と誘ってくる。

「またあとでね」とやりすごしていると、しばらくして車のおもちゃにまたがった息子が仕事部屋へ乗りこんできて、そのまま「ブンブン」とデスクのまわりを暴走しつづける。

このままでは仕事にならないので、荒ぶる息子に使っていないスマホとノートパソコンを渡してみる。すると、息子は「もちもち?」と電話をかけながらキーボードを叩きはじめる。こうして2歳児のリモートワークがご機嫌にスタートしてくれる。

ただ、すこし気合が入りすぎてしまったようで「ばいちんまん(ばいきんまん)?」などとスマホで忙しそうに話している最中に「鰤鰤鰤鰤鰤」とすさまじい音が響きわたる。

「おむつ替えようか」と声をかけるも息子は「またあとでね」とでもいうようにやりすごす。そして、何事もなかったかのようにキーボードを叩きつづける。何事もなかったわけがない。

「お忙しいところ大変恐縮ではございますが、どうかおむつを替えさせていただけませんでしょうか」。そう下手に出てみても息子はまったく相手にしてくれない。まるで、さきほどの仕返しとばかりに。

わたしは「こうなったら」と車のおもちゃにまたがる。そして、仕事に追われる息子のまわりを「ブンブン」と暴走しつづける。こうして息子は「パパ、ブーブ」との誘いを見事に達成する。

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