息子とクリスマスツリーを片づける。
クリスマスツリーをようやく片づけることにした。
息子にとっては人生ではじめてのツリー。いまでは「アリー(ツリー)」とその名を呼んでは「きれい」と褒めたたえ、自分のお菓子を「もぐもぐもぐ」と効果音つきで分けあたえるほどの仲に。すっかり家族の一員になっていることもあり、ついつい出しっぱなしにしてしまっていた。
妻とわたしが「また来年だね」と言いわけしながら飾りを一つひとつ外すたびに(正確には今年だけど)、息子も「あーないねー(また来年)」と不思議そうに手を振る。でも、てっぺんの大きな星を外すとさみしさがつのってしまったのか「アリー」「アリー」「アリー」と慌てたように何度も呼びかけはじめた。
妻とわたしはまさかの事態に崩落寸前の涙腺をなんとか抑えながらも無事にすべての任務を完了。ついに、お別れのときが。すると、息子は箱のなかで静かに横わたるツリーへ向けて「きれい」と最後に告げた。それは。さすがに。ずるい。もう。だめ。
ああ、はやくまたクリスマスにならないかな。わたしは決壊した鼻水をすすりあげながら「ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る」といつまでも口ずさみつづける。そして「いい加減うるさいな。まだ鳴るわけねえだろ」と妻に怒られる。
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