再会する。

妻とおたがいの仕事の打ち合わせがかぶらないようにスケジュールを調整しているときのこと。「あ、もう、そんなことしなくていいのか」と二人で笑った。

わたしと妻のどちらかが息子を見られるようにする習慣がなかなか抜けないらしい。もう登園自粛は解除され、息子はまた保育園へ通いはじめたというのに。

とはいえ、息子もまだ慣れないようで。今朝も保育園へ連れていこうとすると「いってらっしゃい」とわたしに手を振った。「いってきます」とついつい登園してしまいそうになったけれど、残念ながら行くのはわたしではなく息子である。

結局、きょうも息子はギャン泣きしてしまった。きっとお迎えのときには必死に駆けよってくることだろう。こんなふうに自分を全身全霊で求めてくれるのは息子だけかもしれない。だから、こちらも全身全霊で抱きしめてあげよう。しばらくは毎日が運命の再会劇となりそうである。

「なんだか離れると愛おしさが倍増するね」。そう妻がつぶやくのを聞きながら、いつも家にいた息子が座ってYouTubeを見ていた小さな椅子をじっと見つめる。たしかに離れれば離れるほど愛おしい。

もしかしたら、離れて暮らす家族や友人たちと外出自粛で会えない時間も悪くはなかったのかもしれない。きっと募りつづけた愛おしさを爆発させるような再会劇が世界中でくりひろげられるのだろう。もちろん、同僚や上司とも。いや、やっぱり。上司とはもうすこしだけ離れているのも悪くはないかもしれないけれど。

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