【エッセイ】カプチーノについてくるアレ
2017年末、渋谷でロフトワーク展が開催された日。
私は会場内のDJブースの前でサイケなライトに照らされるイケイケな将棋コーナーを設置&監督する係だった。
搬入が終わり、開始まで少々の暇があったので、会社の社長と街ブラ。
「タバコ吸えるとこ。」とのご用命があり、通りの奥の方に目をやると、いい感じの老舗の喫茶店の看板が見える。
社長はカプチーノを頼み、
私はウィンナーコーヒーを頼んだ。
二人ともパソコンをポチポチしながら時間をつぶす。
おもむろにカプチーノの受け皿に添えてあるシナモンスティックを取り上げた社長。
パクッ
(えええええええええ)
...。
(木やで、それ。ただただ苦い木やで。)
社長は黙ったまま、かじったそれをコーヒーの受け皿にそっと戻し、
私は黙ったまま、そっと気付かぬふりをした。
(クルクルすると、美味しいんですよ。)
イケイケの将棋ブースの前で
エンドレスループしていたのは、夕方に社長に言いそびれた一言だった。
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