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シャニマス楽曲の一人称・二人称について_初期ユニット編

「ノクチルの曲って一人称が『僕』だよな…」
これは彼女らの曲を聴くと、たまに思うことである。中性的かつイノセントな印象があり、ノクチルが持つ世界観の構築に一役買っているようで個人的に好きなポイントだ。
また、女性が歌の中で「僕」という一人称を使うことによって、性別を超えた普遍的な視点が提供されているようで、それも心地良い。

ただ、本当にノクチルの一人称は「僕」なのだろうか。一部の歌詞の印象に引っ張られているだけではないだろうか。自分の中に湧いてきたこの疑問に「いや、ノクチルの一人称は全曲共通で『僕』だよ」と即答できるほど私はノクチルの歌詞に精通していない。モヤモヤする。また、こうなると他のユニットの一人称も気になるというのが人の性である。
上記のような経緯があり、調べてみた。せっかくなので、どのような二人称が使われているかも見ていった。その結果、分かった点は以下の通りである。

  1. ユニット楽曲ごとの一人称・二人称一覧

  2. ユニットごとの、なんらかの一人称、もしくは二人称を含む歌の割合

本記事ではこれらに加え、それらから読み取れることについて述べていく。
全てを1記事のみで解説すると冗長になってしまうため、今回は初期から登場している4ユニットに絞らせていただく。

追加ユニットおよび全体曲編はこちら

また、導入部分でノクチルの話をしておきながらノクチル曲の一人称・二人称を紹介するのが次回になってしまうという構成のチグハグさについては先にお詫びしたい。


分類について

現在実装されており歌詞の把握が可能な曲を対象に、歌詞内に登場する一人称・二人称・「みんな」という単語が何曲で登場しているかをカウントした。一人称・二人称については、単数複数かでそれぞれ分けている。二人称複数は全体で見ても非常に少なかったため、基本的には言及していない。

また、「みんな」という単語が指す対象は複数あり、一人称にも二人称にも三人称にもなりうるため、今回は「自分を含んだみんな」「自分を含まないみんな」かを文脈から判断し分類している。これに関しては私の主観での判断となっていることをご了承いただきたい。
(例)
「赤信号 みんなで渡れば こわくない」→自分を含んだ「みんな」
「赤信号 みんなと渡れば こわくない」→自分を含まない「みんな」

なお、Teamごとの曲やソロ曲などは今回除外している。


イルミネーションスターズ

特徴

  • 一人称は一貫して「私」

  • 一人称単数が多く登場する一方で、一人称複数は多くない

  • 二人称は「あなた」、「キミ(君)」。初期は「キミ(君)」が多く、『スマイルシンフォニア』以降は『枕木の歌』以外の曲全てで「あなた」になっている。

  • 二人称の登場は比較的多い

  • 自分を含む「みんな」は登場せず、含まない「みんな」もさほど多くない

感想

個人的にイルミネに持っている仲良しなイメージから、一人称複数や「みんな」が多いと思っていたが結果は違った。一人称単数と二人称単数が多めなのは、誰かに寄り添う・メッセージを届ける・勇気をあげるといった姿勢の表れだろうか。
また、ある時を境に二人称がほぼ完全に切り替わるというのは他ユニットでは見られない特徴であり、なんらかの理由があると考えるのが妥当だろう。理由として考えられるのは、作詞をされている方の変更である。イルミネ楽曲の作詞家はTwikle wayを境に変わっており、これは二人称が変わった時期と完全に一致しているわけではないが、年単位で大きくズレているわけでもない。


アンティーカ

特徴

  • 一人称は「僕(ボク)」が一番多く、次いで「私」。これらは一人称が出ない曲を交えながら交互に使われる傾向にある。

  • 一人称単数は多くも少なくもないが、一人称複数は多め

  • 二人称は「キミ(君)」、「貴方(あなた)」

  • 二人称の登場は比較的多い

  • 自分を含む「みんな」は多めで、含まない「みんな」は少なめ。

感想

同じくらいの頻度で「僕(ボク)」と「私」という二つの一人称が使われており、これは全ユニットを見てもアンティーカのみが持つ特徴である。曲の発表順に見ていってもどちらかへの偏りは見られず、一人称が「僕(ボク)」と「私」で反復横跳びしているのが印象的。
どちらの一人称も違和感がなく、これらの使い分けがアンティーカ楽曲独特の世界観を損ねることなく奥深さを与えているように感じる。
余談だが、一人称単数に限れば「僕(ボク)」を最も多くの楽曲で使っているユニットである。(ノクチルは複数、つまり「僕ら」を加えると最多となる)


アルストロメリア

特徴

  • 一人称は「私(わたし)」

  • 一人称単数は多くも少なくもないが、一人称複数は少ない

  • 二人称は「キミ(君)」が多く、「あなた」がそれに次ぐ

  • 二人称の登場は多い

  • 自分を含む「みんな」は登場せず、含まない「みんな」も少ない。

感想

恋愛を扱う曲が多いイメージがあったため、想いを伝える相手、つまり二人称単数が多くなるという予想をしていたが、おおむねその通りだった。一人称が全体的にそこまで多くないのは、テーマの一つが「女の子」であり、視点が一人称や二人称というカテゴリーとはまた違ったところにあるからだろうか。
二人称に「キミ」が多く使われ、それが時に「あなた」というやや大人びた視線になっているのもアルストらしさを感じる。


放課後クライマックスガールズ

特徴

  • 一人称はほぼ「私」

  • 一人称単数が全ユニット中ぶっちぎりで少ない。割合でなく数で見ても、曲数が1/4のコメティックより少ない。

  • 二人称は「あなた」、「キミ(君)」

  • 二人称の登場がかなり少ない

  • 自分を含む「みんな」が全ユニット中ぶっちぎりで多い。自分を含まない「みんな」も僅差とは言え最多。

感想

一人称・二人称の少なさ、「みんな」の多さともに最強にぶっちぎっているという、非常にわかりやすい特徴を持っている。「みんな」が多いのは放クラのイメージと合致しているが、一人称・二人称が少ないのは意外だった。これは放クラの世界観を構成する要素であろう「学校・青春」において、「個人の体験」というより、「学校や青春そのもの」や「仲間との共有体験」に焦点を当てる狙いがあるのかもしれない。一人称を控えめにすることで特定の視点を限定せず、聴き手が自分の経験に重ねやすくする意図があるとも考えられる。

終わりに

読んでいただき、ありがとうございました。
よろしければ、追加ユニット+全体曲編もお読みください。


データ

これより下は本記事で用いたデータを表として載せた。およそ他人に見せることを想定していない表であり、見づらい上に嵩張るおぞましいものだが、一瞥して「見づらいな!」と鼻で笑っていただければ幸いである。

データ:ユニットごとの割合

データ:登場する楽曲一覧

※下記表における1は歌詞内に登場したことを示しているだけであり、楽曲ごとの登場回数を表示しているわけではない。

データ:一人称単数

データ:一人称複数

データ:二人称単数

データ:二人称複数

データ:みんな(自分含む)

データ:みんな(自分を含まない)

データは以上です。ここまで見ていただき、ありがとうございました。
よろしければ、追加ユニット+全体曲編もお読みください。
https://note.com/chic_viper6678/n/n08f871a8cefe




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