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つらいだけじゃない|七草にちかパラコレ

本カードにおけるパラレルにちかはアイドルではない
ステージ上に立っていないし、ふラiとぅTHEスカイもしない
ペンライトを振る側であり、飛行機を地上で見送る側になっている。



パラコレ初体験

ごく個人的な話で恐縮だが、私はこれまでパラコレを引いたことはなかった。
パラレルという形で未来を描くという反則スレスレの魔球に興味を持ちつつも、「まぁ石貯めたいしなぁ…」という想いで我慢するのが私の定番パターンだったのだ。

だがにちかのパラコレが登場し、薄々予想していた、いや恐れていた通りアイドルを辞めた彼女が描かれていたことで強く興味を抱いた。
また、私服・フェス衣装演出や公式4コマの内容などの全てにダメージを受けたので、これは流石に引いて内容を確認しなければ…と考えた。
我ながらチョロいものである。

これはあくまでパラレルなので、今のにちかが何か変わるわけではない。
だが、だからと言って私が負ったダメージが無くなるわけでもない。
この不思議な感覚はコミュを読み終えるまで続いた。


フェス衣装演出

引く前にフェス衣装演出を見たが、「そんなことしても辛いだけじゃないか…」と感じた。

とても良いイラストではある

フェス衣装のイラストはまるで具現化した走馬灯のようだ。
様々な衣装を着た小さいにちかが周囲にいて、当の本人は少し大人びた表情でペンライトを持っている。

アイドルだった頃が「綺麗な思い出」と化しており、それを懐かしんでいるように見え、とても残酷に思えた(ペンライトを振っている本人も綺麗に着飾っていて可愛いのだが、それはまぁ別の話である)。
彼女の周囲のミニにちかが可愛くても、いや可愛ければ可愛いほど辛いだけじゃないか…と思った。

また、演出はアニメの終わりによく使われるアイリスアウトで〆られている。
「これで終わりです」と言われているようでダメージを受けた。


パラコレにちかの日常

彼女は食べ物の補充関係の仕事をしているらしい。
声が明らかに大人びており、てきぱきと仕事をこなす姿ははづきさんを想起させる。

「どうもです!」というセリフも健在だが、声色が大人


上司は当然彼女の過去を知っており、色々と気遣われているように見える。
出番が少ないため何とも言えないが、少なくとも腫れもの扱いはされていない…と思いたい


たまに元ファンから声を掛けられることもあるようだが、他人のフリをしてやりすごしているようだ。
髪型を普段の長さでもロングでもないものに変えたり、私服演出で帽子を目深にかぶっていたりしたのは、人目を避けるという意図があるのだろうか。


最初のジャッジ

ある日プロデューサーと偶然再会するにちか。世間は狭い。
プロデューサーの、少しぎこちない心配をする姿勢は相変わらずのようだ。

にちかとプロデューサーは少々不器用な疑似家族にも似た関係に見えることがあった。
だがにちかがアイドルを辞めた以上、その関係は成立し得ない。彼女らの疑似家族は、アイドルとプロデューサーという関係が前提にあってのものだからだ。
パラレルのプロデューサーが距離感を掴みかねているのは、そういった事情もあると感じた。

この男相変わらずである

これからオーディションがあるというプロデューサーににちかが送る言葉は、彼女の過去に基づくものだ。

「私が言うのも、あれですけど…」と前置きしたうえで、「最初のジャッジはちゃんとで、お願いします」とにちかは言う。

言うまでもなく、彼女の283プロ所属アイドルとしての第一歩がプロデューサーへの監禁・脅迫から始まっていることを踏まえた発言だ。

私は以前にちかSTEPの感想で、下記のように書いた。

先述の通り今の私はにちかが好きなのだが、このプロデューサー監禁&脅迫コンボは読んだ当時なかなか受け入れがたいものがあった。正直今でも思うところはある。

それゆえに、ジムシャニや今回のS.T.E.P.のように、この行動に関するにちかの心理状態やはづきさんの反応などが補完されていくのは嬉しい。

この感想は今も変わらないし、このパラコレも(パラレルとは言え)補完の一つになっていて嬉しいとは感じた。
だがパラレルにちか自身がそれを引きずっており、アイドルを辞めた原因にも繋がっているのかもしれないという点はなかなか辛いものがあった。
「パラレルとは言え、そこまでやるか…」と大ダメージを受けた。

「受け入れがたいものがあった」だの「思うところはある」だの書いておいて、いざ辛いものが出されるとダメージを受けるのは我ながら勝手だと思うので、このあたりのスタンスはもう少し考えたい。

パラレルにちかとプロデューサーの会話の最後は選択肢によって分岐する。いずれもアイドルに復帰するともしないとも解釈できるものだったが、前向きではあったと思う。

この話は辛いだけじゃないし、彼女の人生が続く限り、救いもあると感じる。


終わりに:つらいだけじゃない

コミュを読む前後で大きく印象が変わるカードだった。

読むまでは、あらゆる要素が「こんなの辛いだけじゃないか…」と思わせるものに見えた。
だが読んだ後は、それだけではないと感じた。

この話は辛いだけじゃないし、にちかの過去に向き合う要素があると感じた。
にちかのアイドルの始め方について無かったことにせず、それがどのような結果をもたらしうるかを含めて描いていると思った。

また、パラレルにちかの人生は辛いだけじゃないし、アイドルに復帰してもしなくても、ビッグを目指しても細々と暮らしても、彼女は幸せに向かっていくのだと思う。

このセリフはパラレルにちか、引いてはにちかの人生をよく表していると感じた。

メタで身も蓋もない話をすると、私が見るにちかはコンテンツの特性上まず間違いなく最後までアイドルであり続けるだろう。
だがアイドル云々という見方を抜きにしても、彼女には幸せになってほしいし、そうなれるようにしていきたい。そんな風に思える話だった。
引いて良かった。自分のチョロさに感謝である。

読んでいただき、ありがとうございました。


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