「いちご大国」栃木県 〜いちご農家の現在とこれから〜
いちご農家さんのいちご狩り体験🍓
先日、田植えをしたご縁などもあって、栃木の農家さんからご連絡いただきいちご農家さんのいちご狩り体験をさせていただくことができました。
今回はそのいちご狩りの様子と共に、いちご農家さんを取り巻く様々な問題のお話もお聞きすることができたので、こちらでも少し共有したいなと思います。
1.いちご大国栃木へ!
今回は、いつもお世話になっている農家さんからのお誘いもあり、栃木の那須塩原市にあるいちご農家さんでいちご狩りをしてきました。
まさかの開催前日に連絡をいただき、「朝8時からやるよ!」という農家さんのお言葉にたじろぎ、しばらく行くか迷ったものの、大のイチゴ好きである私は「いちご農家さんの作るいちごをタダで食べ放題、詰め放題とは行くしかない!」ということで、友人数人を募って早朝5時に東京を出発して那須塩原へ向かいました。
2.そこは色鮮やかないちごの宝石箱?!
那須塩原のいちご農家さんのところへは丁度8時頃に到着し、早速いちご狩りをさせていただきました。
着いてハウスに入ってみてまずビックリ。
外から見てもそこまで大きなハウスには見えなかったものの、およそ15a以上はあるであろうハウスの中にびっしりとイチゴが植っていました。
後から聞いた話によると、この畑には8400本のイチゴが植っており、予備も合わせると10000本、それを毎朝5時半から1時間半〜2時間かけて一株ずつ水やりを行って大切に育てているそうです。
いちご狩りは始めてみると、農家さんは「収穫期は終わった後だからそこまで大きいのが残ってないかもしれない」と仰っていましたが、全然スーパーでも良い値段のしそうな所謂「L」や「2L」に相当する大きさのイチゴがたくさんあり、参加していた人は皆さん思いおもいの量を箱に詰めたり食べたりして楽しんでいました。
私も開始早々に良い大きさのイチゴに出会い、まずは一口…。
「こ、これはなんだ…?!」という衝撃が走ります。
今までに味わったことのないような甘さと瑞々しさが口いっぱいに広がり、思わずニヤけてしまう、そんなとても美味しいイチゴでした。
いつもはスーパーのイチゴしか食べられない都会人間だからこそ、新鮮なイチゴの味はこのようなものなのか!と感動しました。
その後は箱いっぱいにイチゴを詰め込んでは食べという天国のような時間を過ごし、9時過ぎには満足して参加した皆さんと共にいちご狩りを終えました。
3.栃木県をNo.1イチゴの県にするために
いちご狩りが終わった後に、主催してくださったいちご農家の方からお話をしていただき、イチゴという作物についてのお話や、イチゴ農家が直面している問題、これからの展望などについて伺うことができました。
栃木県は現在、「とちおとめ」をはじめとした日本一と言われる誇るイチゴ生産量です。
しかし、近年は各県でのイチゴの競争が激化しており、福岡の「あまおう」にも迫られる状況だと言います。
それに対して栃木県は「とちおとめ」とは別に新たに「とちあいか」という品種の栽培に取り掛かっているようです。
4.新品種「とちあいか」とは
「とちあいか」は、従来育てていた「とちおとめ」よりも収量、や安定した大きさのイチゴが取れること、また耐病性などが高いなどの特徴があります。そのことから、少しでも安定した収量を取り、耐病性の高さから農家さんの手間を減らすという意味でも、栃木県では現在「とちあいか」と奨励しているとのことでした。
しかし、良いことだけではなく少しデメリットもあるようで、「味」というところでは、甘さは「とちおとめ」より若干劣るようです。
私は食べてみた感想として、十分すぎるほどに甘く、粒も大きかったため、問題ないのかなと思ったのですが、気にする方は気にするのでしょうか…笑
現在「とちあいか」は栃木県内のイチゴの6割ほどを担っており、生産は上向き傾向にあるようで、来年には栃木県の9割が「とちあいか」になるのではないかと農家さんは仰っていました。
因みに、全国で甘さ1位のいちごは埼玉県の「あまりん」で、岐阜県の「美人姫」などは一粒5万円という高額で取引されているそうです。
5.消費者のニーズに合ったイチゴ作りを
栃木県は「とちおとめ」から「とちあいか」への品種の移行を行っていますが、「とちおとめ」の人気もまだ高いようで、これからは消費者の行動に注視しつつ、どういった商品の展開をしていくかが大切だとも仰ってました。
収量を上げて安くで提供するのか、はたまた多少高くても甘くて美味しいイチゴを提供するのか。中々どちらも難しい問題ではありますが、今の「とちあいか」とベースにしつつ試行錯誤を重ねていくようです。
6.いちご農家、未来へ繋げ!
こちらの農家さんでは、私たちのような若者も快く受け入れてくださり、いちごについての様々なことを教えてくださいました。
その上で、栽培だけでなく、次世代のいちご農家へ繋ぐこととして、栃木の大学に新設された「いちご学科」とも協力しながら、イチゴやいちご農家の普及に尽力しており、大学生のいちご農家の体験を受け入れている他、大学と協力しながら近くの用水路を利用したヒートポンプ方式による暖房を取り入れるなど、SDGsにも沿った農業を模索しているようです。
7.今回のいちご狩りに参加して
今回はいちご農家という今まで全く関わったことのなかった方からのお話をたくさん聞くことができ、大いに学びになりました。また、お話の中で何度も農業の手間をかける大変さと、その重要性も教えていただけたように思います。
近年、化学も発達し、様々な農業の形が提案されていますが、依然として人手不足という大きな問題は解決していません。
私たちが普段なんとなく食べているケーキのトッピングのいちごだって、自然に生えているものを勝手に取って使っているわけではなく、どこかの農家さんが手間をかけて作ってくださっているのです。その事実を改めて認識したとともに、感謝して頂かなければいけないなと今も思っております。
どうしても身近に「農」を感じる機会がない私のような都会の人間は多いと思いますが、自分の体を作ってくれるものはどこからやってくるのかというルーツを探っていくのは案外これから生きてく上で重要になってくるかもしれませんね。