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「子宮摘出」発言の考察

 日本保守党の百田尚樹代表が「子宮摘出」発言なるものを行い、日本はおろか海外の40か国以上でこの内容が報道され、世界中からこの発言が非難されました。

 この発言に対しては、百田代表自身が釈明”を行ったり、擁護するコメントや非難するコメントが多数あります。ここでは、百田代表がこの発言を行ったオリジナル動画をしっかり視聴し、その内容を考察してみました。お時間のある方はぜひ読んでみてください。

事の発端

 事の発端は、2024年11月8日の「ニュース朝8」というユーチューブチャネルでの百田代表の発言です。この発言内容をいち早く2024年11月9日の「飯山あかりちゃねる」で飯山陽さんが「とんでもない発言」と非難しました。はじめは飯山さんぐらいしか非難しないと思われていたものが、どんどん広まり海外の40か国以上に拡散されてしまいました。

百田代表の対応

 それに対し百田代表は「キリトリだ!」と言って、百田代表の発言内容が歪曲されて伝えられたせいでこんな騒ぎになったと主張しておりました。この主張が通用しないとなると今度は、「全文を聞けば真意が分かる」と主張するようになりました。2024年11月10日の「百田直樹チャネル」でその釈明を行っています。

 すなわち百田代表の言い分では、発言内容の全てをきちんと理解できればそんな問題となるような発言ではなかったのに、このように問題が大きくなってしまったのは飯山陽が発言内容を悪意を持って歪曲して伝えたからだと主張しています。そして発言内容を曲解してしまうのは、その人の知力に問題があるというような擁護コメントもありました。

挑戦開始

 要は、百田代表の発言の真意を把握できないのは、「あなたの頭が悪いせい」と言いたいわけです。そんな発言を耳にすると、私の後遺症がまた発症してしまいました。「分かりましたでは拝聴させていただきます」ということで、問題の動画を視聴しました。メモまで取りながら…

 問題の動画はYoutubeにアップされている動画の始まってから1時間10分ぐらいから1時間33分ぐらいまでの約20分ぐらいの部分です。ここだけしっかり視聴します。

挑戦結果

 挑戦した結果、よく分かりました! 百田代表が「キリトリだ!」と逆切れした理由と、その百田氏が言う「キリトリ」の意味も分かりました。そしてこの動画を詳しく分析してみた結果、お二人の本性も。この後詳しく解説させていただきますがまずその前に…

番組自体

 番組の表題には「ニュース生放送 あさ9時 今朝もニュースを深堀します」と書かれていました。これを見れば、地上波のテレビでよくある「ニュース番組」か、もしくは「ワイドショー」の様なものかなと思いますよね。ところが、全然違いました。「ニュース番組」や「ワイドショー」なら、当たり前ですが一般視聴者に向けて”情報”を提供するというスタンスです。しかも『提供してやる』という態度ではなく、『提供させていただく』という態度で視聴者に対応するのが常識です。ところが…

●そもそも態度が極めて悪い
 私が見た動画では、百田代表、有本香氏、ゲストに森下つよし氏の三人が出演していました。出演者の服装ですが百田、森下両名は正式に人前に出るような恰好ではありません。このような格好で地上波テレビでニュースキャスターが登場したら、絶対顰蹙を買うような恰好です。普段着でやってきましたという格好で、百田氏はさらに無精ひげまではやしての出演です。「こいつ視聴者を馬鹿にしてんのか!」と思わされました。

 さらに番組中にコーヒーを飲んだり、きちんと視聴者の方(すなわちカメラの方)に向いて話すのではなく、どちらかといえば三人で雑談しているような態度です。百田氏に至っては途中で伸びをしたり、頭をなでたりと生放送中とは思えない態度。完全に視聴者を馬鹿にした番組といってよいかと私は思いました。

●単なる雑談
 その内容自体は、ニュースの項目があらかじめいくつか列挙されていて、その中から選択して”解説?”するようなよくある形式です。問題の動画部分を見た限りでは

 ★直近10年間の出生減少率のワースト1位秋田県41.5%

という項目の部分で、これに関しての「ニッセイ基礎研究所」のレポートを読み上げ(森下氏)、それに対して百田、有本両氏がコメントするというような形式です。しかし、コメントというよりはまとまりのない単なる雑談としか思えませんでした。事前に何か準備してきた形跡もなく、単にその場で思いついた感想を述べているにすぎないように見えました。こんな低レベルのコメント聴いているより、「ニッセイ基礎研究所」のレポートを読んだ方がよっぽどためになると思わされました。

「キリトリだ!」

 百田氏は「飯山あかりちゃねる」で飯山陽さんが「とんでもない発言」と主張したことを、「キリトリだ!」と言って非難しました。日本保守党の熱心な支持者も口をそろえて「キリトリだ!」と反論(?)しますね。この「キリトリ」ですが、世間一般では百田氏が問題発言をする前に”前置き”をしたのを意図的に切り取って、問題部分だけ取り出すことを意味しているように思われています。

 下記の問題発言
 ①女は18歳からの大学進学禁止
 ②女は25歳までに結婚しなかったらその後の結婚を禁止
 ③女は30超えたら子宮摘出


の前に、「良いわけではないけれど」とか「仮に」とか「SF」とかきちんと断っていると主張しています。でも、ほとんどの報道はこの部分も入れて報道しているのです。それでも百田氏が「キリトリだ!」と言って抵抗する理由は…

 少子化の問題に関しての『雑談』は、延々と1:10~33ぐらいまでの約20分ぐらい続きます(少子化に関する『雑談』は1:33できちっと終わったわけでもなく、その後もくだくだと『雑談』は続く)。そして問題発言の部分は動画の1:23~25ぐらいのおよそ2分ぐらいの発言で、長々と続く『雑談』のほんの一部です。つまり、百田氏から見たらものすごく多くの有意義な話(?)をした中で、ほんのわずかな部分でちょっと口を滑らした(いやちゃんと断ってると百田氏は思ってるでしょうが)部分だけをわざわざ「キリトリ」、スポットを当てた飯山陽が悪い!飯山陽が余計なことしなければ問題にならない発言だった!!と言いたかったんだと思います。

 このように「キリトリ」とは、過激な発言部分をわざわざ取り出し、そこにスポットを当てて「とんでもない発言」とアピールしたことを指しているのではないかと思います。

 「こんなとこだけ問題にするんじゃないよ!」と百田氏は思っていることでしょう。

切り出し

 飯山さんが行った事は、うっかりすると見過ごしてしまった百田氏の問題発言を、「切り取った」のではなく「切り出して」白日の下に晒したのです。

飯山さんが「切り出した」問題発言

問題の本質

 上記①~③の問題発言は表現が過激すぎるとか、女性蔑視だとか騒がれていますが、もっと本質的問題があることを見つけました。有本氏、百田氏各々の問題を提示させていただきますがその前に…

 「失言」に関してです、よく政治家や有名人が「失言」して謝罪するような事態が発生しますが、「失言」とは何でしょうか?

 「失言」とは、『心の内に秘めていた思いが、つい口をついて出てしまった事』と定義させていただきます。思ってもいなかった事を口に出しては言わないものです。日頃思っていたから口をついて出たのです。

 ですから、思わず口をついて出た言葉からその人の本性が透けて見えると考えます。以下は私が「失言?」から抽出した両名の本性です。

有本氏の本性

 百田氏の問題発言の直前に、誰も問題にしていないと思いますが有本氏が非常にひどい発言を行っています。有本氏は、少子化問題の原因は「女性が自由に自己実現ができることである」と主張されています。これを受けて百田代表が問題発言を行ったのです。

 有本氏の発言によれば、「女性を自由に自己実現させると好き勝手なことを行い、結婚したり子供を産まなくなったりしてしまい、これが少子化につながる」という考えです。この対策として、百田代表が女性に自由に自己実現させない方法を提示したのです。これは女性の『自由』を奪おうとするまさに「全女性の敵」とも言える思想だと思います。つい本音が出ちゃったかな…同じ女性の発言とも思えませんね。

 こんな思想を持った組織として世界的に有名なのがタリバンです。アフガニスタンで政権を取ってしまったタリバンは「女性の教育を制限」しました。これと同じようなことを日本で行おうというのでしょうか?

百田代表の本性

 「女性に自由に自己実現させない」ための施策として、百田代表が社会構造を変える施策を提示しました。それが問題発言①~③ですが、この施策を見てみると、国家権力で女性を強制するという内容です。今回の施策は女性に対してだけですが、その根本にある考え方は「権力」によって個人の自由や権利を制限することを是とする考え方です。これは典型的な【全体主義】の思想です。

 百田代表の自分が目立ちたいという強い欲求や、他人の反対意見をことごとく排除しようとするその姿勢、また「韓国人はおかしい。戦争したいね僕は 韓国と戦う為なら銃を持つ。」などと発言する好戦的な態度を考えるとどちらかと言えば【ファシズム】的な思想の持ち主であると思います。彼が目指している究極の姿は「日本を豊かに、強く」ではなく、「一人の指導者(自分のこと)が全ての権力を握り、個人の自由や権利が制限された日本」なのではないでしょうか。

 また、例えで上げた”極端な”施策ですが、全く効果が見込めません。仮に百田代表の施策を今の日本でそのまま実施したとします。その結果、日本に再び昭和に起きた第二次ベビーブームが再来すると思いますか?絶対起きそうもないことは明白です。”極端な”施策を例えで発言するのなら、いろいろな点で実際に行うのは難しくとも、実施したら絶大な効果が現れるような施策を提示すべきでしょう。このことからも、百田氏の施策立案能力は著しく劣っていると思えます。

 施策立案能力に欠けるファシズム的思想を有する指導者が権力を握ってしまったらと思うと背筋が凍る思いです。

まとめ

思想が極めて危険

「問題分析」がお粗末すぎる
 少子化の問題は単に”女性の自己実現”が原因ではない!

・対策として、”権力”を行使して対策を実行するという思想がそもそも危険!まるで「全体主義」か「ファシズム」。

”対策”が有効な対策になっていない!
 こんなことやっても子供が増えるわけがない
 対策立案能力に致命的欠陥がある

終わりに

 「子宮摘出」発言に対して百田代表は素直に「大変失礼な”例え”を発言してしまい申し訳ありません!」とか言ってひたすら謝っておけば良かったのです。

 変なプライドから「全文を聞けば真意が分かる」などと余計なこと言うから、全文を聞いてしまいあなたの”真意”が分かっちゃいましたよ。

 それから「ニュース朝8」ですが、実質上日本保守党の公式チャネルのようになっております。しかしどう見ても一般の国民向けに作成されているとは思えません。私の勝手な判断では一般の国民にとっては見るに値しない、限られた「身内」向けのチャンネルです。これがもし日本保守党公式チャネルというのなら、この政党は一般国民は相手にもしない、限られた(飯山陽さんの言葉を借りるなら)『信者』向けの政党と言えるでしょう。


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