引きこもり浪人生が一人旅に出て大失敗した話②
前回↓
前回の終わり方からこの後どんな展開になるかは大体の方は予想が付くだろうと思う。
吉田寮に着き、ボロボロの建物の間を進んで受付に上がった。
ネットで調べた情報だと吉田寮は受付で挨拶をし、宿泊料(数百円)を支払えば誰でも受け入れてもらえるとの事。
僕も勇気を出して受付の人に声をかけた。キリッとしたお兄さんが対応してくれた。
僕「すみません。ここに泊めて頂きたいのですが」
受「?」
この時点で何か悪い予感がした。
僕「ネットでここに泊めてもらえると聞いたのですが…。」
受「あ〜寄宿舎制度無くなっちゃったんだよね〜。ごめん、今日泊まる所無いとか?」
一瞬フリーズした。
僕「無い…ですね…。」
受「どうしようかな…住人に聞いてみる」
この時点でであまり歓迎ムードでは無い。泣きたかった。
受付のお兄さんは何部屋か周り、客が泊まる余裕が無いか尋ねてくれたが、どこも微妙な反応だった。
受付「どうしよう…今日泊まる所無いんだっけ」
僕「無理なら良いんです…なんかすみません」
ずっと行きたいと思っていた場所に行っても何も感じず、会って話が聞きたいと思っていた人達からも歓迎はされなかったという事実に呆然とした。
いや待て、ネットでは泊まれるって色んな人が言ってたじゃないか。あの記事は嘘だったのか?師匠は夢でも見ていたのか?
僕「あの…寄宿舎制度っていつ頃無くなったんでしょうか…」
受「前はあったんだけどね〜コロナでね」
コロナの存在を忘れていた…!何と僕が見た記事の殆どはコロナ前の記事だったのだ。
↑阿呆である。
だがX(旧Twitter)には最近泊まったという書き込みもあったはず。あれはどうなのだ?という疑問も湧き上がってきたが今はそれどころではない。
受「どうする?」
僕「無理なら自分で何とかします…」
受「ごめんね。もしどうしても泊まる所が無いとかならまた来て」
僕「分かりました…ハハハハ…」
吉田寮に泊まるという最大の目的を果たせなかった事にかなり落ち込みはしたが、この時点ではまだ何とかなると思っていた。
今はネットの時代。スマホで宿を予約すれば何とかなるだろう。現金ならまだまだある。
続く