悪評高い兵庫県・兵庫方式(5)
アルバイト講師に山田先生という方がいらっしゃいました。
理科の先生で当時大学生だと思います。
――これが、川端塾で私が受けた唯一の授業でした。
小6のとき、「月の満ち欠け」の理解が足りないなと思ったのか、部屋の電球を豆電球だけにして、その光をボールに当てて反射させ、これが回転によってどう変化するかを説明しようとしたんですね。
ところが、塾生のうちの誰かが照明(=電気スイッチです、もちろん)を切ったものだからもう大変―。電気が消えて教室内は真っ暗なまんま。
「なんだなんだ…!」
と騒ぎながら、電気をつけると、塾生の誰かが蹴飛ばされたりして、靴下なんかぬぎっぱなしになっていたんです。みんなが気づいたときにはもう大笑いでした。
これに味をしめたのか、山田先生の授業となると電気が消えるのが当たり前になってしまい、全く授業になりませんでした。
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こんな感じで塾らしい授業はまるでなく、唯一、演習をやるのみでした。それも、塾の終わりに、演習プリントを数枚配って、その中から1枚を先生が指定して答え合わせをやる、というスタイルでした。だから、演習プリントを自習で自主的に進め、塾は答え合わせが中心、というやり方を採っていたわけです。そして、塾の終わりに、得点の合計点を報告させる、という感じでした。
今考えると、このやり方って人ごとに適性の有無が分かれてしまいますよね。
自分の課題を把握しつつ自分で自主的に計画を立て、実行するという大人向けのものなのです。適当に生徒がちゃらんぽらんにやって、答え合わせの時、合っているかどうかわからない生徒にはどうしても太刀打ちできないんです。
四字熟語で、東□西□という問題があったとしたら、あなたならどう答えを導きます?
今でも覚えているのですけど、「東走西走」という二字とも「走る」という漢字で答えを書いたんですね。結果は、間違い。
そして、正解は、誰も教えてはくれませんし、正解を導く方法がわからなかったのです。
今なら、「東奔西走」が正解だとわかっているんですが、この方法で学力を伸ばすのって、少々無理がありますよね。
ともあれ、私は勉強第一で、猛勉強したことになっているのですが、算数の「応用自在」とか「自由自在」をやって、解答を見て答え合わせをしても、○か×かがわかるだけで、正しいやり方を見つけ出すなんて、どうやってもできません。つまり、やった勉強は、非効率そのもので、穴の開いたバケツで水を汲みだしているようなもんです。
当時は、年に数回、模擬試験があり、一応合格判定らしきものが出るのですが、私の成績は、B判定かC判定だった気がします。
まぁ、五分五分か六四で、合格したらいいね、という微妙な実力度合いだったと今にして反省せずにはいられません。(続く)