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私の高校受験時代(3)~連立方程式そして冬合宿~

 私の母親が、伸学社の入塾説明会に行った話はすでにいたしました。このとき、母親は、伸学社では入塾1日目に、連立方程式を教えるのだ、という話を聞いてきたそうです。
 入江先生の気持ちを察するに、
「算数の文章題は、とにかく複雑でメンドウだった。それが、連立方程式さえ覚えれば、どんな問題でもできる。子どもたちは、「へぇー!」という驚きとともに、「勉強って面白い!」と感じるはずだ」
ということなのでしょう。
――とにかく、伸学社の授業には、決まりきった履修カリキュラムなどというせせこましいものはありません。
誰でも面白いはずだ!――そう信じているから、希望した生徒にはテストを受けずに入塾を認めるのだと思います。
 私の中1生は、200人くらいいたと記憶していますが、とにかく勢いのある進学塾でした。そして入江先生は、「受験の神様」と称される、愛すべき大人物なのです。
 伸学社の取り組み内容を聞いた私は、展開と因数分解に着手しました。
(X+3)(Ⅹ+2)を展開すると、Ⅹ2+5Ⅹ+6となるし、Ⅹ2+5Ⅹ+6を因数分解せよ、と言われたら、(Ⅹ+3)(Ⅹ+2)になる、ということです。
 しかし、基礎も何もわからないのに、理解できるはずがありません。父親からは、
「まず、基本からしっかりやれや!」と言われる始末でした(笑)。
                ☆
 余談ですが、中1の冬休みの期間、所属していた野球部がずっと休みになるという情報が入ってきました。私は、「学校の邪魔にならないなら……」と、伸学社の冬合宿を体験できることになったのです。これで問題ないなら、遠くにあるとはいえ、伸学社に行かせることも許可しようと、両親は腹の中で思っていたそうです。
 冬合宿は、当時合宿場として建設された兵庫県伊丹市柏原(柏原=かいばらと読みます)にて冬休み初日の12月25日~1月6日まで泊まり込みで猛勉強する、というものです。帝塚山から貸し切りバスに乗り込み、所要時間は約4時間というところでしょうか。この冬合宿の時点で参加者は約350人という大所帯だったと記憶しています。
 1. 12月24日の合宿前日、帝塚山に行って、外部生のみ一泊する。
 2. 1日目、クラス分けテストを行う。結果は柏原に着いた時に発表する。
というものでした。
 私は、慣れない外部生として、案内されるままに靴を脱ぎテストを受けるのでけっこう緊張しておりました。そしてあろうことか、荷物がトラックによって一斉に運ばれてしまったのです。
 つまり、私は、「靴がないんだけど?」という状況に置かれてしまったわけです。このときは、合宿に協力していた父兄さんにスリッパを借りてしのぐことになってしまいました。
一人だけ、靴ではなくスリッパ。
――他人からは奇異に映ったはずですが、私には恥ずかしいと感じる以外、何も考える余裕はありませんでした。(これっていったいどうなるんだろう??)と、不安の中、合宿初日を迎えたのです。(続く)

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