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やがて目覚めない朝がくる

この本はタイトルに惹かれて手に取った。淡々とした語り口で進んでいくストーリーは、「死」という重めになりがちなテーマを扱っていながら、ふわりと軽く、そして穏やかな気持ちにさせてくれる。気負わず、サクッと読ませてくれる一冊であった。

一風変わった環境で、沢山の個性豊かな人達に囲まれ、様々なカタチの温かな愛に触れながら育つ主人公、有加。

この本、何かに雰囲気似てるよなーと思ったら、「そして、バトンは渡された」と勝手にスッキリ。個人的に大好きなあの一冊に似ているから、引き寄せられたのかな?ざっくり言うと、家族だけでない、色んな人の愛に触れて成長していく女の子の物語。

少し違うのは主人公の女の子にフォーカスしてストーリーが進むのではなく、おばあちゃん的立ち位置の「蕗さん」を中心に周りを取り巻く個性豊かなキャラにもフォーカスし、尺が割かれているところ。

色んな人がいて、それぞれの人生があって、複雑で。そこでは皆一人一人、自分自身が主人公で、どんな映画よりも文句無しにドラマチックなのである。皆それぞれが何かを抱えながら生きていて、誰かを支え、支えられながら生きている。そんな事を思わせてくれた。

話の根幹だけ見たら、語り方によっては悲しくなりそうだよなってストーリーだけど、作者の構成とやわらかな語り口が、始終穏やかな雰囲気にさせ、ほんわかした優しさを残してくれる一冊。

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