スウェットの用語集
スウェットにより詳しくなれる、スウェット関係の用語集。
※五十音(アイウエオ)順に並んでいます。
この記事は、メンズファッションブランドナビの大人スウェットブランド【30代・40代】の一部を抜粋しています。
あ行
後付けパーカー
クルーネックのスウェットシャツに、後からフードを取り付けたパーカの通称。現在では高値で取引されるアイテムだが、その存在は縫製技術の問題でフードを別工程で一付けざるを得なかったことに起因する。
甘撚り
撚り回数が少ない糸のこと。対義語は強撚糸。甘撚糸を使ったニットや織物は柔らかな風合いとなる。別の見方をすれば、ハリ、コシがなくクタっとなるとも言える。起毛素材やニット製品全般によく使用される。
編み機
編み地を作る機械。生産効率から、シンカー機が主流となっている。
1×1リブ(いちいちリブ)
USMAのスウェットシャツのガゼット、リブにのみ見られる黒糸と生糸を交互に編み上げた生地。細かなドットのような特有の模様が特徴。
ウォームアップス
スウェットシャツが有名なチャンピオンだが、ウォーミングアップ用のウエアも定番アイテムとして学生に支持されていた。写真は、1990年代のジップアップウーォームアップ
裏毛(うらけ)
スウェットに使用されている編地。表側は天竺編で、表側はパイル状になっている。裏側のパイルを起毛させた場合は裏起毛と呼ばれる。
か行
ガゼット
首元に配され、たV字のパーツ。着脱時の伸縮を補強する目的、汗止めの目的を備えていた。写真はUSMAのスウェットシャツに付けられた1×1のガゼット。
カプセル
年号やゼッケン番号、記念の数字を記入するためにもうけられた楕円状のプリントデザイン。プリントを抜くことで数字や欧文をあらわす場合とカプセルすべてを塗りつぶし、使用者が手で記入するパターンが存在する。
カレッジプリント
各大学のブックストアを受注の窓口としたこともあり、カレッジプリントが入ったスウェットシャツが大量に生まれた。プリントされる大学名やチームマスコットのキャッチーさも手伝って、現在では人気の高いプリントとなっている。
ゲージ
編み目の密度をあらわす単位。ゲージは編み機に取り付けられた編み針の本数から割り出され、1インチの間に植えつけられた本数で示される。大きな数字ほど密度が高く、ファインゲージまたはハイゲージと呼び、粗いものをローゲージと呼ぶ。
合成繊維
種類は様々あるが、3大合成繊維というと、ポリエステル、ナイロン、アクリルを指す。このなかでも、圧倒的に使用量が多いのがポリエステル。レーヨンはパルプやコットンリンターを溶かして再編成して糸にするので、再生繊維。
交撚糸(こうねんし)
異種の糸をより合わせた糸のこと。混紡糸が繊維段階で異なる種類を混ぜ紡籍するのに対し、交撚糸は、糸になった状態で撚り合わせる。原料自体の異なる糸を寄り合わせるほか、色の異なる糸を撚り合わせることで、本を生むことができる。この生を出す糸は、杢糸(もくいと)とも呼ばれる。
交編フライス
フライスの編み方の一種。異なる種類の糸、または異なる色の糸を用いて編まれるフライス。異なる種類を編み合わせた場合は、早系では得られない伸縮性が出る。色味の異なる糸で編む場合は、表情が現れる。
コットンボール
綿系の原材料となる綿花のこと。種を取り除いた原綿の状態にしてから紡績会社などへ渡る。
混紡糸
1種類の繊維だけで紡績するのではなく、原綿段階で混ぜ合わせて紡績された糸。混紡することで、強度などそれぞれの繊維の長所を組み合わせることが可能となる。
さ行
サーマル
アウトドア用の下着素材として開発された布地で、厚手で伸縮性があり、表面が凸凹上になっているのが特徴。保温性を生むため、蜂の巣状に編まれた素材。ハニカム、ワッフル素材とも言う。
サイズタグ
タタキタグに、大きくサイズ|が記されたタグ。元来フットボールTシャツの裾に付くタグであったが、代用品としてスウェットのタグとしても使用されたことがうかがえるアイテムが存在する。写真はジャージーシャツにつけられたもの。
サイドラインジャケット
試合中にフィールド外で着用するジャケットで、真の上から着用するため、アームホールをはじめ全体的に大きなつくりとなっているのが特徴。写真は大胆なバックプリントが印象的な年代のもの。
サム・フリードランド
洗濯縮みに対するクレームを機に、リバースウィーブを開発した人物。同社入社以前の紳士服店での勤務経験が活かされたといわれている。
三者混
1970年代以降に登場する、防縮のためのポリエステル、着心地を向上させるレーヨンと綿の三素材の掛け合わせを指す。混率で、年代判別が可能。
三本針
振りミシンとよばれる左右にジグザグと縫えるミシンに、3本の針をセットして縫う手法。本縫い(1本の針で直線に縫うこと)に比べ、縫製部の伸縮性に優れる。外見的縫い目のボリューム感が出るため、ボディの裾部などではあまり見られないが、リブ付け等に用いられる。表に3本のラインが出る縫い方と、両振りと呼ばれる両面にジグザグが出る縫い方がある。
Cマーク
ランナー in Cが元となったといわれる、1969年に統一されたチャンピオン社のロゴマーク。現行のチャンピオン全製品の各所に付けられている。目玉マークとも。呼ばれる。
染み込みプリント
ボディに染料を染み込ませてプリントする技法。ミリタリープリントに多い。経年変化による色褪せが一あるが、その風合いが古着市場で、は人気となっている。
ジャージ
本来は羊毛のニット生地の名称であったが、近年では「反物として編まれた比較的厚手の生地」を広義に指す言葉となった。編み機の針の方式により、シングルジャージ(天竺)、ダブルジャージ(フライス)に分けられる。
シンカー機
大量生産に適した編み機。代表的なところではコーン90本を使い、一度に90段を編み上げる。
シングル編み機
編み機の種類で、針床と呼ばれる編み針の並んだ列の数が1つ(一列針床)であり、シングル・ニードル(1列針)とも呼ばれる。編み針で、生地の片側から編んで、編地が形成される。シングル編み機を用いる主な編地としては、天竺編み(シングルジャージー)が挙げられる。使用する糸や、ゲージ(針床の1インチ間に植えられた針の本数)を変えることで、編地のバリエーションは増え、広い用途に使われる。
スウェットパンツ
スウェットシャツと同様の進化を遂げたアイテム。写真は股下3枚はぎのリバースウィーブスウェットパンツ。
ステンシルプリント
文字をくり抜いた版にスプレーでプリントする技法。基本的には手作業となり、色の濃淡など表情ともばらつきとも取れる固体差が出るのが特徴。ミリタリーものに多い。
スライバー
紡績工程で、ほぐした繊維から不純物を除き、均等な長さにそろえて太いひも状にしたもの。
セットインスリーブ
スウェットシャツの祖先であるウールセーターの時代から継承される付け方法。運動性の高さから1940年代に主流となる。
た行
タコバインダー
肩から裾口にかけての型崩れを防ぐために、内側に横方向の伸縮を抑制する布テープを取り付ける。同色の糸で縫われることが多いため、ほぼ意識することはないが、この処理があるか否かでボディの持ちは大きく異なる、アメリカ製のTシャツに多くみられる。
タタキタグ
1990年代のリバースウィーブに多い、四辺を縫い付けたタグ。別名「貼り付けタグ」。一般的なのは、右のタグだが、左のサイズ表記が小さく、特許番号が中央に記されたタグは30年代の希少なもの。
タック
ニットはループ(編目)の繋がりが基本構成となるが、このループを2~5回程度飛ばして作る編み方。鹿の子のように編地に表情をもたせることができる。
ダブル編み機
ダブル・ニードル(二列針床)の編み機。シングル編み機と異なり、生地の両側から編んで編地を作るため、編み地には、表裏がない。主な編み地としては、フライス編みがある。シングル編み機のものに比べ、生地に厚さと安定性がある。
段
カレッジプリントに見られるアーチ型の文字列、カプセル、その下に配される文字列の組み合わせを、構成されるパーツの数で「段」という単位であらわす。写真は4段。3~5段が一般的。
単色タグ
リバースウィーブに縫い付けられた1970年代チャンピオンを代表するタグ。一色使いであることからこの通称で呼ばれている。写真のイエローのほかに、赤、青、エンジ、黒などが存在する。赤」は「アカタン」、青は「アオタン」などとばれる。
茶綿
染料等を使い着色されるのではなく、原綿の状態から茶に色づいた綿。その色味を生かした生地、製品を作り出すことができる。茶綿のほかにグリーン綿と呼ばれるものもあるが、褪色が早いため、原綿状態の緑色を保つころは難しいとされている。
ツートーン
ボディとリブのカラーが異なるパターンで、古着市場でも人気。同色部材が揃わず異なる色味のパーツを組み合わせたことに端を発する。
つけ
襟の取り付け手法のひとつ。襟とボディの首元を重ね合わせ縫いつける。バインダー(別項参照)による取り付けの場合、襟の端が表に見えるのに対し、「つけ」による取り付けは、襟の端はボディィの内部に入り込む。襟部の風合いが出やす。
吊り編み機
量産には適しておらず、1950年代ごろから徐々に姿を消した編み機。1日あたり3mという非常にゆるやかなスピードとなることも。特徴としては、伸縮性に優れ、ムラ感がある。
天竺編み
シングルニット、シングルジャージと同義。シングル編み機を用いて編まれる編み地。たて方向より、横に伸びやすく、薄くて軽い。Tシャツの生地に頻繁も用いられる。
天地ロック
袖口の縫製によく見られる縫い方。表面から見たときに縫製が目立たぬように、表に出る縫い目を最小限に減らした縫製方法。
天然繊維
糸の原料となる繊維は、大きく分けて天然繊維と化学繊維に分けられる。代表的な天然繊維には、種子毛繊維の綿、ジン皮紙維の麻、まゆ績維の絹、獣毛繊維の羊毛やカシミアなどが挙げられる。人工的に作る化学繊維と違い、天然繊維は太さ、長さともに種類によって大きく異なる。
トップ糸
原料の段階で染料や鉱物を用いて着色を施した糸。
度目(どもく)
編み目の密度を表現する言葉。度の詰まった編みたてを「度詰め」、逆を「度甘」という。度目のコントロールはシンカー機より吊り編み機の方が繊細に調整ができる。
トリコロールタグ
チャンピオンのシンボルカラーである赤、青、そして地の白の3色が使われたタグ。プリントなら1980年代、刺しゅうは現行と判別できる。
な行
二本針
糸2本による縫製方法。リバースウーィーブのサーイドリブが、2本針縫製なら1950年代以前、4本針なら1950年代以降と判別することができる。
は行
バータグ
ブランド名がブルーのボックスに白抜き文字で表されるタグ。
パイル
タオル地と、同義。パイル糸(表面のループ状の糸)が生地に織り込まれることで、経糸(パイルに隠れて見えない地の糸)より、タオル地特有の毛羽立ちが形成される。
バインダー
リブやトリムでボディを挟んで縫い付ける方法で1940年代以前のスウェットシャツに見られる。1990年代以降、は2本針での重ね付けとなる。
針抜き
テレコ、トタンとも言う。ダブル編み機を使い、配する針を減らすことで、凹凸をつける手法。
番手
糸の太さを表す単位で、数字が大きいほど糸は細くなる。3番手の糸は100番手の糸の2倍の太さ(断面積)を持つ。素材ごとに同じ番手表示でも太さが異なるので注意が必要。
ファミリージュエリー
服飾史においてエボックメイキングな存在となったリバースウィーブ。チャンピオン社を一挙に飛躍させた同アイテムを社員は愛着をもって「家族(社員)の宝石」と呼んでいる。
フィラメント
綿や羊毛、麻のような短い繊維(ステーブル)に対し、絹のような長い繊維の呼称。
船タグ
別名、三角タグ。両サイドが折り返されたタグで1950年代から見られる。コットンジャケットやナイロンジャケット、希少なポロシャツなどに付された。
フライス編み
ダブルニット、ダブルジャージと同義。ダブル編み機を用いて編まれる編み地。天竺よりさらに横方向への伸縮性に長け、袖や裾、襟部に用いられることが多く、リブの名でも一般的。体にフィットしたシルエットが出しやすいため、ボディの素材としても使われる。
フロッキープリント
0.1~0.2mmに切った繊維微粉(フロック)を生地に接着して、毛羽模様を表現するプリント手法。チャンピオン社はウエアに導入し特許を取得。リバースウィープの影に隠れた同社の名技術のひとつとされる。
ま行
丸編み機
円形の編み機で、編み出される生地も筒状となる。そのままの状態で丸胴として用いるほか、一度切り開いて、縫い合わせて製品とする場合ともある。
丸胴
製品となった際の胴回りのサイズに合わせ、丸編み機によって編み出される脇部に縫製のないボディを指す。丸編み機はサイズ展開に合わせて生地用意することとなる。縫製の手間が省けるという意味では、大量ロットで生産に適している。
一方、シルエットにこだわり少ロットでも丸胴を採用しているメーカーもあり、これは大量生産の効率とは異なる観点で評価されている。
杢(もく)
編み地に現れる霜降り模様の呼び名。編み糸自体にあらかじめ濃淡をつけておくことで、編まれた後に霜が降ったような文様があらわれる。
や行
USMA
米国陸軍士官学校もチャンピオンのスウェット等を正式導入した。1×1リブ、首元のガゼット使いなど、USMAのみの仕様あり。
然り糸(よりいと)
撚りを加えることにより、糸は強度・弾性を増し、太さが均一になる。撚りの方向には右撚り(S撚り)と左撚り(Z撚り)の2種があり、撚り回数の多少で甘(あま)然り、強(こわ)撚りに分け、単糸に加蒸したものを片系、2本以上撚り合わせたものを諸(もろ)撚糸という。
四本針
フラットシーマとも呼ばれる縫製方法は高級下着にも用いられる肌への摩擦が少ない手法。肌へのダメージと耐久性を考慮し、リバースウィープに採用。
ら行
ラグランスリーブ
襟ぐりから、脇へ斜めに縫製するアームの付け方。肩の位置が特定されず、1953~1960年代のカレッジスウェットの主流をなした。
ラバープリント
染み込み、ブラチゾルを経て、1980年代に登場する塗料が剥がれ落ちづらいプリント技法。色の乗りの良さのメリットがあるが、経年によるひび割れが発生する。
ランタグ
ランナーズタグの略称。ランナーが一ゴールテープを切るような様のイーラストがあしらわれたタグ。1940年代から登場し、1960年代には姿を消した。右はどちらもランナーズタグではあるが、上が名前を書く欄のある10年代のもの、左はブランド名が小文字の1950年代のタグ。
ランナー in C
ランタグの後に現れたランナーがブランド名の頭文字“C”の中にあしらわれた1960年代のタグ。このランナーが入ったCのデザインが現在も流通するCマークの起源となった。「C中(しーなか)わっしょい」とも呼ばれる。
リバースウィーブ
チャンピオンの画期的な発明であり、スウェットシャツの礎を築いた。ボディの生地を横使いとし、サイドにリブを配し、縮みを軽減。1938年に特許を取得。
リブ
主に袖と腰部分に取り付けられるバーツ。1950年代のものはハギのない筒状で、概ね長いものほど年代が古いと判別一ができる。
リフレクター
1980年代の米空軍士官学校のスウェットで登場するガラス粉を混入させたプリント。戦闘機からも視認できるよう反射性をもたせたもの。
リンキング
前身頃、後身頃、袖などのあらかじめ編まれた各パーツを、編み合わせることを指す。
ロックミシン
編み上げられた生地を裁断して縫製するカットソーにおいては、生地の端は切りっぱなしとなる。そのため、ほつれを防ぐ目的で、裁断後にロックミシンで端をかがる。ロックミシンの縫い目は、「環縫い」と呼ばれ、伸縮性に優れているのも特徴。