【Chessboard その6 】チェスボードに芽が生える
毎日聴いていた曲の歌詞が、ようやくしっくりきた。
ヒゲダン公式で、ChessboardのMVメーキングが公開された。ここで明かされた真実は、チェスボードに芽が生える、だった。中学生が成長していくにつれて、モノクロなチェスボードが緑あふれる風景に変わっていくというのだ。
意外な着想だった。先入観にとらわれていた。将棋指しやチェスプレイヤーにとって盤面は不変でやり直し可能なもの。市松模様はいつまでも市松模様のまま。そうでないと、次の試合ができないから。
しかし、この曲ではチェスボードに例えた人生は不可逆なもの。後戻りややり直しはできかったのだ。道を探していた子どもが通った盤面の後は、猫じゃらしが生えて緑色に変わっていく。
なんだか納得した。
そこで冒頭に紹介したこの歌詞である。これまで私の中では、どこからどこを見ているのか分からず、しっくり馴染んでいなかった。つまりはこういうことだろう。一つの巨大な盤面にいろいろな人が共存している。同じ盤面だけど、隣の「あなた」は遠くに見える。別の道を歩んでいるから遠くに見えるのだ。
私からは、「あなた」の歩いた道跡が美しい緑色に見える。いまは遠くにいるから「こちらには」見えているのだ。「あなた」は近すぎるから、見えていないかもしれないけれども、私は俯瞰して見ることができる、ということか。
そうのようなイメージで、この曲は書かれたに違いない。メイキングの冒頭の語りで分かったのだ。さらに、曲中で語られている「あなた」は親友かもしれないし先生かもしれない。もしかして、中学生の「自分」かもしれない。ここは解釈の幅があってもいい。
ようやく、Official髭男dismの Chessboard の一端が理解できた気がする。歌詞を自分に染みこませる迷いの時間が終わった。
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