見出し画像

能力無効化キャラクターたちの背負う業について考えた

ボンチノタミ、ジョーカーです。

わたくし、以前、こんなツイートをしています。

能力バトルもので必ずと言っていいほど出てくる「無効化」の力について、作品ごとにポジションや描かれた方、使い方がそれぞれで面白いなあと思うのですよ。

2018/4/7のツイートより

これ。
能力バトルものによく出てくる「能力無効化」のキャラクター。

ある程度の制限や戦闘におけるハンデがないとただのチートになるし、かといって匙加減を間違えるとただの激弱キャラとか地味なサポートキャラになるし、無効化に関わらずだけど能力系の設定ってキャラが増えたり能力者が増えたりするほど大変よなって思う。

2018/4/7のツイートより

他にも「時間を操る(止める、巻き戻す、予知など)」「コピー(能力、容姿、声など)」「不死(または蘇生)」「治癒」といった無敵になり得る能力を持ったキャラクターって、一歩間違うと作品内の力関係やストーリー、全てのバランスが崩れると思うんですよ。
あと、コピーに近いんですが、変化とか変身なんかもずるいですね。

そんなわけで、今回はそんなキャラクターのことを考えてみたというお話です。

能力無効化キャラクター

というわけで、今回はこれ。
これはもう能力バトルにおいては本当にチート。だって相手の能力を無効化するんですよ? 勝てるわけないじゃん。
でもちゃんと弱点も作っている。
この「無効化キャラ」たちの発動の条件や弱点の作り方って、キャラクター設定ストーリー展開に関わってくると思うんですよね。

相澤消太(イレイザーヘッド):『僕のヒーローアカデミア』より

・個性「抹消
・相手の"個性"を打ち消すことができる
・相澤自身が相手を「視ている」ことが条件
・瞬きをすると解除される

彼自身が相手から視線を逸らすと使えない、というのが弱点です。
戦いの最中、瞬きもせずに見つめ続けるというのは不可能に近いので、発動条件は簡単でも持続するのが難しい能力。
そんな彼の、能力に関わる設定はこんな感じ。

・ドライアイを患っており、長時間は使えない
使用時間の制限
・作中で目の付近にダメージを受けたことにより、使用時間が短くなってしまった
ストーリー内での弱体化
・視線を隠すためのゴーグルを着用する
コスチューム要素
・個性を抹消するのみの個性のため、体術を鍛え、自分の個性に合った戦い方を編み出している
バトルスタイル要素

などなど。
チート能力にならないためのバランスの取り方は、使用時間の制限が主な要因、という印象です。
バトルコスチュームやバトルスタイルにも能力(個性)が反映されていて、ビジュアル面にも特徴が出ているのがわかります。

太宰治:『文豪ストレイドッグス』より

・異能力「人間失格
・触れた異能を無効化する
・発動している異能及び、触れている相手の異能の発動自体も封じることができる

要するに、相手に触れていないと使えないという部分が弱点です。

・自身に触れた者の異能を封じてしまうため、治癒の異能を持った者が触れても無効化されてしまう
治癒や強化など、自身にとってプラスになる能力も受け付けない)※この弱点については一応対策も存在しています。
・相手が異能を発動していなくても触れれば無効化できるため、相手の攻撃を待たずに仕掛けることができる
発動条件によるバトルスタイルの限定を緩和

触れる、という単純な発動条件は、こんな弱点も付与してしまうんですね。
仲間の中に治癒能力を持つキャラクターがいるのですが、太宰はその恩恵を受けられません。残念。
ただ、相手が何も仕掛けていなくてもこちらから先に無効化させることができる、というのは無効化能力の中でも結構強いと思います。
そうすると受け身のバトルスタイルにならなくて良いので、ストーリー上でのキャラクターの動きや味方の戦略に幅が広がりますよね。

アスタ:『ブラッククローバー』より

・魔法属性「」(反魔法
・どんな強力な魔法であっても全ての魔法を無力化する
・魔力の流れそのものを断つため、反魔法で攻撃された魔法には治癒魔法が効かない

無効化能力というより、能力(魔力)そのものがないという設定。
魔法使いの世界で全く魔力がない主人公ってすごいよ。とんでもない逆境だよ。
武器は主に。この剣を通して反魔法の能力を使用することで、攻撃を剣で受けたり斬ったりして無効化したり、治癒魔法の効かない傷を負わせたりすることができます。

・魔法使いのトップである「魔法帝」を目指しているが、自身に魔力が全くない
夢や目標への障害
・魔法以外の物質に対しては何の効果もない
発動条件の限定

アスタの場合は、能力によるバトルスタイルへの影響もありますが、一番は「魔法帝を目指しているのに魔力がない」というハンデの部分が最も設定として重要なのかな、と思います。
逆境の中で、多くの魔法使いたちと出逢い、戦い、新たな力を得ながら成長していく姿が、主人公らしいなと感じます。

能力無効化キャラクターが背負う業

とりあえず3人挙げましたが、恐らくあまりにも有名であろう上条当麻さん(『とある魔術の禁書目録』)など、無効化キャラクターは数多くいらっしゃいます。

その能力自体を細かく分類された記事などもよく見かけますし、一覧になっているものもインターネット上には存在します。

今回は、能力自体というより、それによりキャラクター自身の設定やストーリーの展開にどんな幅ができていくのかな、ということを自分用メモ感覚でまとめました。
無効化の塩梅って本当に難しいと思うので、能力無効化キャラクターを見かけると「この方は一体どんな業(作中の過去や設定などではなく、作者により作品内でどんな位置付けや展開を義務づけられているのかという業)を背負っていらっしゃるのか……?」とちょっとわくわくします。個人的に。

ある意味無敵の能力だけれど、強すぎても、弱すぎても面白くない。
そんな「無効化キャラ」たちは、自身の能力に対してプラスの感情を抱いているのか、マイナスの感情を抱いているのか。
キャラクター自身にとってアドバンテージになり得るのか、ハンデとなり得るのか。
受け身になりやすいバトルスタイルをどんなふうに変えていくのか。
その能力が、ストーリーにどう関わってくるのか。
なぜそのキャラクターを「無効化キャラ」に設定したのか。

考えると面白いので(※個人的の感想です)、今後も新たな「無効化キャラ」との出逢いを楽しみにしたいと思います。


ちなみに今回は触れませんでしたが、チート能力のうち「時間を操る」について、ちょっと違うけどその亜種(能力でなくアイテム)みたいなものでいちばん好きなエピソードはこれ。

時間を巻き戻すことで相手を胎児まで戻し戦闘不能にしようとしたところ胎児を越えて前世である妖狐まで遡らせてしまった、っていうの、私とても好きでした。これは能力というよりアイテムですね。何の漫画かはわかるな??

2018/4/7のツイートより

裏浦島、君のことは忘れないよ。
これ、蔵馬の妖狐というキャラクター設定と裏浦島の逆玉手箱というアイテムをうまく使ったストーリー展開だなと思います。ほんと好き。

よろしければサポートいただけると嬉しいです。作業環境の向上、猫のごはん代などに使わせていただきます。