選挙のウグイスってどんなことやってるの?
ボンチノタミ、ジョーカーです。
山梨県知事選真っ只中です。今週末は投開票日。
加えて、甲府市では市長選も同日投開票ということで、会社の近くにもポスターが貼ってあるのを見かけます。
日曜日は仕事なので期日前投票に行ってきました。
わたしはそもそも選挙にも政治にもあまり興味がないタイプの若人だったのですが、その後、ウグイス(男性の場合はカラスという言い方もあります)をやったことがきっかけで、周りにも「投票行こう」と声をかけるようになりました。
みんな投票行こう。
ウグイスについては、各都道府県や各政党などでもいろいろやり方がありそうですが、今回はわたし自身が体験した話をちょっとしたいと思います。
ウグイスになるには
何をどうすればウグイスになれるのか? は、正直、わたしもよくわかっていません。
わたしの場合は、たまたま選挙事務所のお手伝いをする機会があって、それをきっかけに、という感じでした。
どこかに所属するというわけでもなく、一緒に乗ったウグイスの方から「次にまた選挙あったらよろしく!」みたいに言っていただいて、それから何度か経験した、という感じです。
党のウグイスさんとかはたぶん、もっとちゃんとしてるんじゃないかな。わからないけど。
ちなみに、他のウグイスさんについては、わたしの周りでは式場や斎場の司会をやっていた方なんかが多かったです。
いつも同じ人とコンビやチームを組んでいる方もいました。喋るテンポとか、交代のペースとか、合う合わないがあるんでしょうね。
狭い車の中で何日間も一緒に過ごすということもありますし、気心の知れた相手の方がやりやすいというのはあると思います。
期間と時間の話
市は1週間、町村は5日間です。
市町村長選、市町村議会議員選などですね。
市町村内での遊説活動となります。
わたしは市議選・町議選を何度か経験しました。
なお、政令都市だと若干変わるらしいです。
県議選は9日間でした。
市町村ごとの投票になるので、市町村内で遊説をおこないます。
こちらも何度か経験しました。
都道府県知事選は17日間です。
都道府県内全域で遊説をおこなうので、とても広い範囲を周ることになります。
これも経験がありますが、結構しんどかったですね。
国選(衆議院・参議院選)は、参議院選は17日間、衆議院選は12日間です。
衆議院の場合、山梨県の場合は1区と2区に別れていますので、どちらかの区内でおこないます。
これも両方とも経験があります。
マイクを使用しての遊説活動は、8時〜20時の間と決められています。それ以外の時間にスピーカーから声を流すのはアウトです。
ただし、例えば朝の辻立ち(交差点などで幟を持って手を振っている姿を見たことがあると思います)や演説会などは時間外におこなうことができます。
ウグイスも一緒に朝から手を振ったりします。
なので、8時〜20時と言えども、実働はもっと長い時間になります。
さらに、終了時刻も結構な時間になります。
例えば、事務所から離れた場所からスタートして事務所から離れた場所で終了時刻を迎えると、こんなスケジュールになることも。
実際、山奥の集落で20時に遊説が終了し、事務所に帰るのに1時間半くらいかかったこともありました。
それから事務所で車内の片付けや翌日の準備をして、帰宅。
こういうのがMAXで3週間くらい続きます。大変だったなあ。
仕事内容とお金の話
まずウグイスの喋りついてですが、基本的にわたしは原稿なしで喋っていました。
わたしだけでなく、先輩たちもです。
候補の名前はもちろん、政策なども事前に確認し、メモのようにまとめたものを持参し、それを元に喋る内容をその場で組み立てていました。
例えば住宅街付近では子育て政策、過疎地域ではインフラ整備、など、場面に合わせて自分で判断し、文章を組み立てて喋ります。
また、有権者の方の反応を見て喋るなど、臨機応変な対応が求められます。
遊説カーは常に動いているので、言葉は短めに。そしてこまめに名前を入れる。それが基本です。
また、バイパスなどでそこそこのスピードで走る場合には候補の名前のみを呼び続けることもあります。一瞬すれ違うだけの車に対し、政策を長々喋っても聞こえないからです。
これを「連呼」と呼んでいました。
ウグイスというと、車内で座って喋っている人というイメージだと思いますが、それだけではないこともあります。
候補が有権者と握手するために車を飛び降りていくと、それを追いかけるように走って候補についていく、というのは何度もやりました。
市町村だと大体2名、大きな選挙になると4〜5名くらいのウグイスが交代で喋ったりするのですが、喋らないときはほぼ候補と一緒に走っていました。
また、遠くで手を振ってくれている有権者を見つけることも得意になります。
マイクを通して声を届けられるポジションですので、遠方から手を振っている方に「2階の窓から手を振ってくださっている青い服の方、ありがとうございます」などとコメントするのです。
これが結構大事なんですよね。
肝心のお金の話ですが、車上運動員の報酬は1日15,000円以内と決められています。
基本的にお金のやり取りをしてはいけない選挙期間の中で、例外的に、運転手やウグイスは報酬をもらえる立場なんですね。
大きな選挙に乗るとまとまったお金が入るので嬉しかったですが、心身共にめちゃくちゃしんどいこともあるので、ラクして稼げる仕事というわけではありません。
遊説中の注意点
よく、選挙期間中は「落ちる」「滑る」などは使うな、と言われますが、当然ウグイスはそこにも気を遣わなければなりません。
例えばこんな感じです。
など。
気にしない方もいらっしゃるでしょうが、気にする方はものすごく気にします。
他にも、喋ってはいけない場所、大きな音量を出してはいけない場所やタイミングがあります。
以上の場所では全く喋らず無音で通り過ぎるか、声を小さくするか、などの対応をします。
他にも、信号待ちで喋り続けると周囲に停まっている車に迷惑になるので喋らない、という場合もあります。
意外と神経を使って喋っているのです。
車内の様子
遊説カーには基本的に、候補と運転手、ウグイスが乗っています。
遊説隊の方や、応援者が乗ることもあります。
応援者の方がいる場合は肩書やお名前を紹介しながら「本日は○○議員である○○さんも応援にかけつけてくださいました」などと言う場合も。
また、交代のウグイスの人数が多い場合には後続車両が、地区や地域によっては先導車両がつくこともあります。
正直言って、何台もいるの邪魔だよね。狭い道のすれ違いとか、本当に申し訳ないなと思いながら喋っていました。
ちなみに「狭い道」もあまり良い表現ではないと教わりました。「皆様の生活道路にお邪魔して」のような表現を使っていたと思います。
自分が住んでいる地域の道にでかい車で入ってきて狭いとか言われたら気分良くない人もいるよね。
そのほか
夏は暑い、冬は寒いです。
窓全開で片手を外に出して振りながらマイクを持って喋りつつ、手を振ってくれている有権者を見逃さないよう外を見続ける、というのは、かなり神経を使います。
選挙期間中、遊説カーうるせえなと思う方も多いと思いますが、頑張ってお仕事している人もいるんだなと思ってあげてください。
まあ、個人的には、今の時代は遊説カーよりももっと効率的な遊説活動の仕方があるんじゃない? とは思いますが。
それと、よくドラマで選挙事務所の外側にベタベタ顔写真入りポスターが貼ってあるシーンなどがありますが、あれは実際にはやってはいけません。わかりやすく演出としてやってるんだろうけど。
ポスターは決められた掲示場所以外に掲示してはならず、さらに、候補者の名前も選挙事務所の看板と遊説カーの行灯以外に出してはいけません。
ただし、党のポスターは別です。A党のポスター掲示場所に、B議員と、今回の候補者でありA党から推薦を受けているC議員が一緒に映っているポスターが貼ってあったとしましょう。これはOKになります。
幟に名前を入れるのもNGです。なので、大体は候補が掲げる政策のテーマやスローガンなどが書かれていることが多いですね。
また、期間中のチラシの配布などについてですが、選管に許可されたものしか配布できません。必ず許可シールが貼ってあるはずです。
これらはわたしが数年ウグイスを経験してきて感じた話です。全ての選対、全てのウグイスさんがこうというわけではないとは思いますが、こういうのもあるんだなくらいに思ってもらえれば。
みんな、投票行こうね。