『信茂と勝頼』を見てくれ【小山田信茂は本当に武田勝頼を裏切ったのか?】
ボンチノタミ、ジョーカーです。
先日、こちらの記事の中で『信茂と勝頼』という映像作品を紹介しました。
『信玄公祭り』で信玄公を務めたジャルジャルの後藤淳平さんが主演・小山田信茂役、山本勘助を務めた三谷昌登さんが脚本と穴山信君役で出演されている作品です。
信玄公生誕500年記念事業の一環として今年の春に制作されたもので、現在もYouTubeでご覧いただくことができます。
全5章構成で、1章あたりは7~9分ほど。最終章のみ13分ほどの長さの作品となっています。
全部見ても1時間かからない短い作品ですが、小山田信茂が信玄に仕えていた時代から武田勝頼が長篠の戦で敗れ武田家が滅亡するまでの流れを信茂と勝頼の視点で一気に見ることができます。
逆臣として有名な小山田信茂ですが、実はこんなエピソードがあったのかもしれないと思うと、信玄や勝頼との信頼関係にぐっときます。
ちなみにわたしも昔から「裏切った人」というイメージでした。
小山田信茂の知名度
先程から逆臣だの裏切った人だの好き放題言われている小山田信茂さんですが、一般的には、小山田信茂って誰? というイメージかもしれません。
地元では割と知っている方も多いですが、武田二十四将のひとりとはいえ、全国的な知名度はそこまで高くないかと思います。
山梨県内においては、小山田氏が治めていた郡内地域、特に岩殿城があった大月市周辺ではよく知られているのではないでしょうか。
例年『信玄公祭り』でも小山田信茂隊は大月市が努めています。
(余談ですが『信玄公祭り』では馬場隊は馬場家の祖となった教来石氏が白州・武川周辺に由来するため北杜市、高坂隊は高坂昌信の出身地が石和であったことから笛吹市、甘利隊は甘利山の名が今も残る韮崎市、などなど、所縁のある市町村が各隊を務めているパターンがいくつかあります。もちろん、それ以外の企業団体が担当している隊も多くあります。)
小山田信茂の知名度が一気に跳ね上がったのは、恐らく、2016年の大河ドラマ『真田丸』ではないかと思います。
ドラマで信茂役を演じたのは温水洋一さん。勝頼を裏切り織田に寝返るも、不忠を責められ斬首されてしまいました。
そう、これ。まさにこれ。小山田信茂といえばこの「裏切った人」のイメージ。
勝頼が「真田を頼って岩櫃城へ行く」か「小山田を頼って岩殿城へ行く」かという場面で、武田家の存亡はもちろん、真田昌幸と勝頼公との関係を描いた場面でもあったので、ドラマでもしっかりと描かれていました。
また、高木渉さん演じる小山田茂誠が真田との縁が深かったこともあり、小山田という名が良くも悪くも両方のイメージで全国に広まったのではないかな、と思っています。
『信茂と勝頼』で描かれる小山田信茂
頭が良く、冷静で、武田家への忠誠も厚く、民を大切にする領主として描かれています。
信玄そのと息子である勝頼との関係性についても、信玄から信頼されているようで、ときには憎まれ役に回ることも。
信玄を失い武田家を背負うことになった勝頼に対しても、物怖じすることなく、反論や厳しい言葉を投げかけます。
父・信玄の代から武田に仕え、勝頼のこともずっと見てきたからこその振る舞いなのだなと感じます。
ではなぜ、そんな小山田信茂が、武田勝頼を裏切ったのか。
それは、信茂と勝頼が築き上げてきた強い信頼関係と甲斐国の民を想う心があったから、という描き方をされています。
詳しい内容は、ぜひ作品をご覧ください。
信茂を演じるジャルジャル後藤さん、かっこいいです。『信玄公祭り』の御館様も素敵でしたが、小山田信茂とても良いです。
ここまで説明すると、超シリアスな作品という印象ですが、ちょっとしたコメディパートもあります。
各章導入部分には必ずイッセー尾形さんが出てくるのですが、忍びや織田信長など、毎回違う人物に扮しており、冒頭でストーリーテラーのような役割をしてくれるという構成になっています。
前回から今回までの時間経過や時代背景などをさらっと教えてくれるので「今何が起きているのか? どういう状況なのか?」がわかりやすいです。
小山田信茂に焦点を当てた作品、というのはなかなかないと思いますし、これを作ろうというのは地元ならではの発想だなと思います。
ぜひ、ご覧くださいませ。
いっぺん、見てみろし!(一度、見てみてね!)